カテゴリー「政治2(日本外交3-核兵器)」の14件の記事

2009年6月 3日 (水)

核兵器廃絶の流れの中でも露わになる日本の外交戦略不在

 GAKUさんのブログ「Internet Zone--WordPressでBlog生活」記事(エントリー)で知りましたが、そこにある同じ毎日新聞の記事を引用させて貰います。

 日本に駐留するアメリカ軍には、日本を防衛する任務の部隊は1つもなく、アメリカ自身の軍事・外交戦略に則って第三国を攻撃する部隊しかいないのにも拘わらず、日本政府は、日米安保条約によって日本の安全は守られていると偽りを述べて、日本の安全保障を蔑ろにしてきました。最近の国際政治においてさらに大きく成長してきた核兵器廃絶の流れの中で(4月30日の記事参照)、その日本政府の無責任な安全保障政策と外交戦略の不在が、一層露わになってきています。

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風知草:麻生の手紙、志位の手紙=専門編集委員・山田孝男
(毎日新聞 2009年6月1日 東京朝刊)

 「すげえ話だ」

 「どの辺が?」

 「だって、核兵器を持ってる国が捨てると言ったんだからこれは、すげえ話よ」

    ×  ×  ×

 オバマ米大統領の核兵器廃絶演説をめぐる麻生太郎首相と志位和夫共産党委員長の対話(5月20日)である。15分間の党首会談。もちろん、「すげえ」を連発したのが首相だ。

 いかにも、オバマ演説(4月5日、プラハ)は歴史的だった。最大の核保有国の指導者でありながら「核兵器のない世界をめざす」と誓った。そのために行動することが、広島、長崎に原爆を落とした米国の「道義的責任」だと言った。

 志位が4月28日付でオバマに称賛の手紙を送ったところ、5月5日付で返書(デイビス国務次官補代理の代筆)が来た。大統領の謝意に続いて「日本政府との協力を望む」とあり、それを麻生に伝えた。

 実は麻生も演説を聞いてオバマに親書を送っていた。こちらは4月15日付。非公表だが、本紙報道によれば、核兵器の廃絶宣言を支持しつつ、「日米安保体制の下における核抑止力を含む拡大抑止は重要」だとクギを刺したという。

 拡大抑止とは、強国が自国だけではなく、同盟国の防衛にもにらみを利かせること。「いざとなったら『核の傘』で守ってくださいよ」と麻生は大統領に念押しした。中曽根弘文外相の軍縮演説(4月27日)にも同じ表現が出てくる。

 「それでは核抑止という考え方自体を否定したオバマ演説と相いれない」と見る志位は、米側に拡大抑止は求めず、言葉を選びながら、核拡散防止条約(NPT)体制が揺らいでいる責任は核廃絶の努力義務を負いながらサボってきた核保有国にこそある、と書いた。

 この手紙の作成に志位はエネルギーを集中した。パソコンで推敲(すいこう)を重ね、一度書き上げて破り捨て、半徹夜で400字詰め原稿用紙にして7枚の原文を仕上げた。英訳し、共産党委員長として初めて在日米大使館に乗り込み、ズムワルト臨時代理大使に手渡している。

 東京の麻生・志位会談と同じころ、オバマは、ホワイトハウスにキッシンジャー、シュルツ(ともに共和党政権の元国務長官)、ペリー(民主党政権の元国防長官)、ナン(元上院軍事委員長、民主党)の4人を招き、意見交換していた(現地時間5月19日)。

 かつて「力の均衡」に基づく核戦略の中枢にいたこの4人は、米ウォールストリート・ジャーナル紙の連名の寄稿(07年1月4日付と08年1月15日付)で「抑止力の有効性は低下する一方で、核廃絶しかない」と訴え、反響を呼んでいた。

 オバマと超党派の大物4人の連携は、外務省のある幹部に言わせれば「自民、民主の大連立並みの衝撃」。別の幹部は「核兵器に依存しない新しいパワーストラクチャー(国際間の権力構造)を生み出すチャンスだが、我々は核政策について掘り下げて考えた経験がなく、準備がない」と指摘した。

 手紙を出して記者会見、返事をもらってまた会見という張り切りようで「はしゃぎ過ぎ」とからかわれている志位だが、戦略不在の空白を突いた鋭い切り込みだったと思う。

 ワシントンと世界の新潮流が戦後の日本の常識を超え、なかなか「すげえ」ことになった。どうするのか。政治の構想力が問われている。(敬称略)(毎週月曜日掲載)

核廃絶:国会決議へ調整…抑止力めぐり難航も
(毎日新聞 2009年5月8日 21時17分(最終更新 5月9日 0時49分))

 核廃絶を目指す包括的戦略を表明したオバマ米大統領のプラハ演説を受け、核廃絶を求める国会決議の採択に向けた動きが出てきた。衆院議院運営委員会は8日の理事会で、決議の案文を調整して与野党協議に入ることで合意した。この種の国会決議は最近10年間は行われていない。だが米国の「核の抑止力維持」を求める議員と、核完全廃絶を訴える議員の隔たりは大きく、調整は難航が必至だ。

 民主党は「核廃絶・軍縮・不拡散に向けた努力を一層強化すべきだ」などとする決議案文を各党に非公式に示している。文案が抽象論にとどまるのに社民党は難色を示している。

 理事会後、社民党の福島瑞穂党首は国会内で河野洋平衆院議長と面談。河野氏は「プラハ演説直後に、日本も『その通りだ』と言うべきだった。非核保有国が機運を作らなければいけない」と語った。プラハ演説の翌日、河野氏は横路孝弘副議長らに決議の採択を検討するよう提言していた。

 麻生太郎首相は、オバマ大統領への親書で「日本にとり、日米安全保障体制下での核抑止力を含む拡大抑止は重要」とプラハ演説にクギを刺した。河野氏の発言は、こうした姿勢を暗に批判したとみられる。だが、麻生首相は8日の衆院予算委員会でも、核開発を続ける北朝鮮を念頭に「核の抑止力は日本にとって大きな要素」と答弁した。【野口武則、木下訓明】

2009年5月 3日 (日)

世界は変わり始めた-憲法9条が生きる時代(補充)

生まれて62年 憲法記念日
いま憲法9条が生きる時代
世界は変わりはじめました
(日本共産党HP)

 上記のリンク先は、5月3日付の読売新聞に掲載された、日本共産党中央委員会の意見広告です。確かに、軍事力、従って戦争で問題に決着を付ける試みは失敗し、他方で、政治力・外交力で紛争を解決する試みが広がり、また成果を上げています。

 恒例となった5月3日の憲法集会では、作家の落合恵子さん、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん、社会民主党の福島みずほ党首がスピーチしたそうです。

 また、日本共産党の志位和夫委員長は、「核兵器廃絶と日本国憲法9条」をテーマに発言し、憲法9条には、「二度と戦争を起こしてはならない」という決意とともに、「核戦争を絶対に阻止したい」という願いが込められており、それを世界の人びとによびかけたところに、この条文の世界史的な意義があると述べたそうです。

 これらの記事や動画を引用しておきます。

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2009年5月4日(月)「しんぶん赤旗」

銀座をパレード

2009050401_01_1b (写真)左から、大黒、笠井、志位、市田、益川、(1人おいて)福島の各氏ら

 東京・日比谷公会堂で開かれた「憲法集会」後の銀座パレードには、日本共産党の志位和夫委員長、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏、社民党の福島みずほ党首、全労連の大黒作治議長らが先頭に立ったのをはじめ、日本共産党の市田忠義書記局長、笠井亮衆院議員が参加しました。

2009年5月4日(月)「しんぶん赤旗」

“9条を世界遺産に”
「近所で説得されるんです」
改憲派からぼやき

 「近所にすばらしい奥様がいらっしゃるんですが、『九条を世界遺産に、改正したら戦争をする国になる』と、道で会うたびに私を説得しようとするんです」

 三日に都内で行われた、改憲をめざす民間憲法臨調のフォーラムで、自民党の山谷えり子参院議員はこうぼやきました。

 山谷氏は「『九条の会』がつくられて、高校の教科書には、いかに『九条の会』が立派な活動をしているかが書いてある。高校生の調査では、六割が『憲法九条を改正すべきでない』と答えている」と、憲法改定に反対する世論の広がりを嘆きました。

 民間憲法臨調作成の小冊子を宣伝した司会の西修駒澤大学教授は「読売新聞にベタ記事で報告されている」と述べた後で、「こちらはベタ記事ですが、一面広告で、“憲法九条を守りましょう 日本共産党”と大きく対峙(たいじ)されている」と日本共産党の広告に触れました。

 ほかにも「昨年来、ちょっと状況が変わってきた。一貫して改憲派の方が多数であったのに、護憲派の巻き返しが目立ってきた」(大原康男国学院大学教授)などの発言が相次ぎました。

「核兵器廃絶と日本国憲法9条」
(憲法集会での志位和夫・日本共産党委員長のスピーチ)

2009年5月4日(月)「しんぶん赤旗」

核兵器廃絶と日本国憲法9条
憲法集会での 志位委員長の発言

 みなさん、こんにちは(拍手)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。今日は、広い会場いっぱいのみなさんにくわえ、外でも多くの方々にお集まりいただき、感激しております。どうか最後までよろしくお願いします。(拍手)

 今日、私は、「核兵器廃絶と日本国憲法第九条」というテーマでお話しさせていただきたいと思います。

 核兵器廃絶を求める運動と、憲法九条を守り生かす運動は、戦後の日本国民の平和を求めるたたかいの二つの柱として発展してきましたけれども、この両者はどういう関係にあるのか。このことを世界と歴史の大きな視野からごいっしょに考えてみたいと思います。

被爆国・日本から「核兵器廃絶をめざす国際交渉を開始せよ」の声を広げよう

 世界を見ますと、この間、核兵器をめぐる情勢の大きな進展が起こりました。

 米国のオバマ大統領が、四月五日、プラハで行った演説は、世界に対して大きな問題を提起するものとなりました。私は、オバマ演説を、次の三つの点に注目して読みました。一つは、米国が「核兵器のない世界」――核兵器廃絶を国家目標とすると初めて公式にのべていることです。二つは、広島・長崎への原爆投下が、人類的道義にかかわる問題だと初めて表明し、その立場から行動する責任について語っていることです。三つは、「核兵器のない世界」にむけて諸国民に協力を呼びかけていることであります。私は、日米関係のあり方については、米国政府とはもとより立場の大きな違いがありますが、オバマ大統領のこれらの一連の言明は、心から歓迎するものであります。(拍手)

 私は、この演説はたいへん重要だと考え、四月二十八日、オバマ大統領に核兵器廃絶への具体的行動を要請する書簡を送りました(拍手)。アメリカ大使館を初めて訪問し(拍手)、ズムワルト臨時代理大使に書簡を手渡しました。

 書簡では、私の歓迎の気持ちを伝えるとともに、「同意できないこと」も率直にのべました。それは大統領が「核兵器のない世界」を呼びかけながら、その実現は、「おそらく私の生きているうちには無理だろう」といっていることです。

 私がこれに「同意できない」といったのは、理由があります。今年で戦後六十四年になりますが、核兵器保有国が、核兵器廃絶を正面からの主題にして国際交渉に取り組むことは、歴史上誰の手によってもまだ行われていないからです。交渉はおろか、交渉の呼びかけすら行われたことがありません。もちろん交渉の呼びかけから、交渉の開始、そして合意、さらに実行までには時間がかかるかもしれませんが、どれだけの時間がかかるかは、取り組んでみないとわかりません。取り組む前から「生きているうちには無理」というのは、気が早いのではないでしょうか。(拍手)

 その意思さえあれば、すぐにでもできることがあります。それは米国大統領として核兵器廃絶を正面の主題にした国際交渉を呼びかけ、交渉を開始することです。これはすぐにでもとりかかれることではないでしょうか(拍手)。ぜひ大統領のイニシアチブで、核兵器廃絶のための国際条約の締結をめざして国際交渉を始めてほしい。私は、書簡で、このことを強く要請しました。(拍手)

 アメリカに前向きの変化を促した根本の力は何でしょうか。私は、それは平和を願う世界諸国民のたたかいだと思います(拍手)。そして、この人類の生存がかかった大問題の帰趨(きすう)を決めるのも、諸国民のたたかいであります。みなさん、いまこそ唯一の被爆国・日本で、「核兵器廃絶をめざす国際交渉を開始せよ」の声を広げようではありませんか。(大きな拍手)

憲法9条には「核戦争を絶対に阻止したい」という願いが込められている

 みなさん。核兵器廃絶のたたかいと、憲法九条を守り生かすたたかいは、実は深くむすびついています。そのことを歴史の視野から見てみたいと思います。

 憲法九条はどうやって生まれたか。一九四五年六月に決められた国連憲章では、二度にわたる世界大戦の惨禍をふまえて「武力の行使、武力による威嚇」を厳しく禁止しました。翌四六年十一月に公布された日本国憲法第九条は、国連憲章のこの立場を踏まえながら、さらに進んで「戦争放棄」とともに一切の「戦力保持の禁止」を明記しています。

 日本国憲法九条には、国連憲章を踏まえつつ、国連憲章からさらに前に向かっての飛躍があります。恒久平和主義を徹底する方向への飛躍があります。それでは、この飛躍はいったいどうして生まれたか。

 日本軍国主義の侵略戦争がもたらしたアジアで二千万人、日本国民で三百十万人という甚大な犠牲とそれへの反省が、憲法九条を生み出す土台となったことはいうまでもありません。同時に、私たち日本国民が憲法九条を持つにいたったのには、私は、もう一つ事情があると思います。

 国連憲章が決められた一九四五年の六月の時点では、人類はまだ原子爆弾を知りませんでした。そのあとの七月に人類初の核実験が行われ、八月に広島・長崎に原爆が投下されました。この原子爆弾によって、二十万人を超える無辜(むこ)の人々の命が一瞬にして奪われ、美しい二つの都市が一瞬にして廃虚と化し、幾世代にもわたる言語を絶する犠牲をこうむりました。この地獄を、世界のどこでも二度と繰り返してはならないという強い思いが、憲法九条という私たちの宝を生み出した。私は、歴史のこの事実を強調したいと思うのであります。(大きな拍手)

 ここに日本国憲法が公布された一九四六年十一月に、内閣が発行した『新憲法の解説』と題する冊子があります。この冊子では、憲法第二章「戦争の放棄」の意義について、次のようにのべています。

 「一度び戦争が起これば人道は無視され、個人の尊厳と基本的人権は蹂躙され、文明は抹殺されてしまう。原子爆弾の出現は、戦争の可能性を拡大するか、又は逆に戦争の原因を終息せしめるかの重大段階に到達したのであるが、識者は、まず文明が戦争を抹殺しなければ、やがて戦争が文明を抹殺するであろうと真剣に憂えているのである。ここに於て本章の有する重大な積極的意義を知るのである」

 昔は政府もずいぶん良いことをいっています。(笑い、拍手) 

 原子爆弾の出現によって、文明と戦争は両立しえなくなった。「文明が戦争を抹殺しなければ、やがて戦争が文明を抹殺する」。そういう恐るべき現実が目の前に生まれました。それならば文明の力によって戦争を抹殺しよう。戦争を放棄し、陸・海・空軍、一切の戦力を放棄しよう。それを世界に先駆けて実行しよう。こうして私たちの誇る日本国憲法第九条が生まれたのであります。(拍手)

 憲法九条には、「二度と戦争を起こしてはならない」という決意とともに、「核戦争を絶対に阻止したい」という願いが込められており、それを世界の人々に呼びかけたところに、この条文の世界史的な意義があるということを、私は訴えたいと思います。(大きな拍手)

麻生・自公政権―前向きの「変化」は目に入らず、悪いところにだけ追随する

 麻生・自公政権は、この平和の課題にどういう態度をとっているでしょうか。

 この政権には、アメリカの前向きの「変化」は目に入りません。(笑い)

 中曽根外務大臣が、四月二十七日、オバマ演説を受けて、「ゼロへの条件――世界的核軍縮のための『11の指標』」なる講演を行っています。ここでは、オバマ演説を「強く支持する」といいながら、米国には核兵器廃絶のための具体的努力を何一つ求めていません。世界によびかけた「11の指標」のなかにも核兵器廃絶という項目がありません。「ゼロへの条件」というけれど、核兵器廃絶という点では“零点”をつけなければなりません(笑い)。そしてこの講演では、「日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止が重要」と、米国の核戦力への依存を続ける態度を表明しています。米国大統領が、「核兵器のない世界」への協力を呼びかけているときに、米国の核戦力への依存を言う(笑い)。被爆国の政府として恥ずかしい限りではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 他方、この政権は、アメリカが「変化」していない部分では、いいなり政治をつづけています。オバマ政権は、いまのところ日米関係では「変化」が見られません。米軍基地を強化・永久化し、自衛隊海外派兵を求めるという点では、「変化」が見られません。日本政府は、こういう問題に限っては忠実そのものです。(笑い)

 アフガニスタン戦争を支援するための自衛隊派兵を、何が何でもつづけています。そして、ソマリア沖に「海賊対策」として自衛隊の軍艦を派兵し、武器使用基準を緩和し、これまでともかくも「正当防衛」に限られていた武器使用を、「任務遂行」にも拡大しようとしています。米軍などが行っている銃撃戦や、「海賊」の殺害、船の撃沈を可能にする、本格的な武力行使への道を開こうとしています。戦後初めて「殺し、殺される」危険が目の前に迫っています。日本の軍隊は戦後一人も他国の国民を殺さずにきました。これは九条の偉大な力によるものであります(拍手)。この歴史を守ろうではありませんか(拍手)。憲法違反の海外派兵法を許すなの声を、ここでいっしょにあげようではありませんか。(大きな拍手)

 自民、民主の両党から、集団的自衛権――海外での武力行使容認の合唱が起こり、憲法審査会を始動させて、憲法改定原案を作ろうという動きが起こっています。わが党は断固として反対であります。こうした逆流を許さず、憲法九条を守る、揺るぎない国民的多数派をつくろうではありませんか。(拍手)

 麻生・自公政権は、世界の平和の声に促されて起こったアメリカの前向きの「変化」は目に入らず、ついていけない。「変化」していない部分では異常ないいなり政治をつづけています。良いところにはついていけなくて、悪いところには追随する(笑い)。哀れな姿ではありませんか。こんな政治に未来はないことは明らかではありませんか。(大きな拍手)

新しい情勢のもとで、「核兵器のない世界」「戦争のない世界」をめざそう

 みなさん。いま世界は大きく変わりつつあります。軍事力にモノを言わせて世界を支配する時代は終わりつつあります。どんな問題でも、外交的な話し合いで平和的に解決する、新しい時代が到来しつつあります。私は、日本国憲法第九条の出番の情勢だと訴えたいと思います。(拍手)

 この新しい情勢のもとで、憲法九条を守り生かすたたかいと、核兵器廃絶を求めるたたかいを、それぞれを大きく発展させながら、平和をつくる一つの大きな流れに合流させ、核兵器のない世界、そして戦争のない世界を築こうではありませんか。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)

2009年4月30日 (木)

核兵器廃絶問題 志位委員長がオバマ米大統領に書簡(補充)

 今日、志位和夫・日本共産党委員長の「核兵器廃絶問題でのオバマ米大統領への書簡」が、日本共産党のホームページに公表されていました。ここにも引用しておきます。

 その後、しんぶん赤旗5月1日付でも報道されたので、その記事なども併せてリンクしておきます。

4月30日の志位委員長の記者会見

4月30日にホームページに発表された書簡全文

その英文

5月1日付しんぶん赤旗の報道記事

5月1日付しんぶん赤旗に発表された書簡全文
(意味段落に番号が振られたもので下に引用。注釈とオバマ大統領自身の演説もあり)

5月1日付しんぶん赤旗に掲載された記者会見詳報

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核兵器廃絶問題でのオバマ米大統領への書簡

アメリカ合衆国大統領

バラク・H・オバマ殿

 私は、核兵器による言語を絶する惨害を体験した世界でただ一つの被爆国において、この地球上から核兵器を廃絶することを日本国民とともに求め続けてきた一政党を代表して、この書簡を送るものです。

 4月5日、大統領が、プラハで行った演説を、私は大きな感銘をもって読みました。

 あなたは演説の中で、「米国は核兵器のない、平和で安全な世界を追求していくことを明確に宣言する」とのべ、核兵器の最大の保有国アメリカが、「核兵器のない世界」――核兵器廃絶を国家目標とすることを初めて明示しています。

 また、あなたは演説の中で、「核兵器を使用したことのある唯一の核兵器保有国として、米国は行動する道義的責任がある」とのべ、広島・長崎での核兵器の使用が人類的道義にかかわる問題であったことを、アメリカの大統領として初めて世界に表明するとともに、その立場から核兵器廃絶にむけた責任について語っています。

 さらに、あなたは演説の中で、「協力のよびかけを非難したり、一笑に付すのは簡単だが、臆病な行為でもある。それは戦争のきっかけともなる。そこでは人間の進歩はとまってしまう」とのべ、「核兵器のない世界」にむけて「一緒になって平和と進歩の声を高めなければならない」と、世界の諸国民に協力を呼びかけています。

 あなたが米国大統領としての公式の発言で、こうした一連の言明をおこなわれたことは、人類にとっても、私たち被爆国の国民にとっても、歴史的な意義をもつものであり、私はそれを心から歓迎するものです。

 ただ、大統領が演説の中で、「核兵器のない世界」の実現は「おそらく私が生きているうちには無理だろう」とのべられていることには、私は同意するわけにはいきません。なぜなら、核兵器を保有する諸大国が、核兵器廃絶を共通の目標として、その実現のための交渉にとりくむということは、いまだに誰の手によってもおこなわれておらず、初めての仕事にとりくむときに、どれだけ時間がかかるかを、あらかじめ決めることは、誰にもできないはずだからです。

 国連が創設後、初めておこなった総会決議第1号(1946年1月24日)は、貴国など6カ国の提案、全加盟国の一致した賛成のもとに、国連が「原子力兵器などいっさいの大量破壊兵器の廃棄」にとりくむことを決定しました。しかし、それ以降の63年間に、核兵器を保有する大国間で、核兵器廃絶を正面からの主題としての交渉はもとより、交渉の呼び掛けさえ、行われないできたではありませんか。

 いま大統領が、「核兵器のない世界」をめざすイニシアチブを発揮することは、これまで誰もとりくんだことのない前人未踏の挑戦への最初の扉を開くものになるでしょう。交渉の呼び掛けから交渉の開始まで、そして開始から合意までには、多くの時間が必要とされるかもしれません。それは、あなたのいわれるように「辛抱強さと粘り強さ」が求められる歴史的事業でしょう。しかし、いまその事業を開始する、そのためのイニシアチブを発揮してこそ、プラハでのあなたの演説が、世界平和と進歩のための生きた力をもつことになると、私は考えます。私は、大統領に、核兵器廃絶のための国際条約の締結をめざして、国際交渉を開始するイニシアチブを発揮することを、強く要請するものです。

 大統領は、プラハでの演説の中で、「核兵器のない世界に向けた具体的措置」として、新しい戦略核兵器削減条約の交渉開始、包括的核実験禁止条約の批准、兵器用核分裂物質の製造を禁止する条約の追求などをあげています。私は、これらの具体的措置は、核兵器廃絶という目標と一体に取り組まれてこそ、肯定的で積極的意義をもつものとなりうると考えます。

 これまでにもこうした部分的措置にかかわる交渉は行われてきましたが、私は、核交渉の全経過が、核兵器廃絶という目標ぬきの部分的措置の積み重ねでは、「核兵器のない世界」に到達できないことを証明した、と考えます。実際、世界にはいまも2万個をこえる核兵器が存在しているではありませんか。

 とりわけ、1963年に締結された部分的核実験停止条約が、大気中での核実験は禁止したものの、地下核実験を合法化し、結果的に大規模な核軍拡競争をもたらす引き金となったことは、忘れることはできません。

 核不拡散条約(NPT)の体制をめぐっても、事情は同じです。五つの大国が核兵器を持ちながら、他国にだけ非核保有を義務づけるというこの条約は、歴史に前例のない差別的な条約です。わが党は、どんな理由であれ核兵器を持つ国が増えることにはもとより反対ですが、こうした条約の不平等性・差別性を批判してきました。

 それでもそうした不公平を、国際社会が受け容れたのは、理由があります。それは、核保有国が核兵器廃絶への真剣な努力をおこなうことを約束したからにほかなりません。そして、この条約にもかかわらず、新規の核保有国やそれを計画する国が増え続けているのは、NPTが発効して以後39年間、この約束が果たされてこなかったことに最大の原因があることを、率直に指摘しなければなりません。

 とりわけ、2000年のNPT再検討会議のさいに、「核兵器の全面廃絶に対する核兵器保有国の明確な約束」が同意されたにもかかわらず、2005年の再検討会議では貴国の前政権などによってこの約束が否定されたことは残念なことです。大統領は、プラハでの演説で、「この体制(NPT)が持ちこたえられない地点にまで到達してしまうかもしれない」と表明されましたが、あなたにそうした危険を強く感じさせている根底には、核保有国が過去39年間にとってきたこうした態度があるといわなければなりません。

 この危険から脱出する道は、核保有国が核兵器廃絶への約束に誠実で責任ある態度をとる方向に転換することにあります。核保有国は、自らが核兵器廃絶にむけた真剣なとりくみをおこなってこそ、他の国々に核兵器を持つなと説く、政治的・道義的な説得力を持つことができることを、強調しなければなりません。2010年の再検討会議において、核保有国によって、核兵器廃絶への「明確な約束」が再確認されることを、私は強く願ってやみません。

 わが党は、日米関係については、現在の支配・従属の関係を、対等・平等の関係に転換することを党の基本路線としています。対等・平等のもとでこそ、両国間の真の友情が可能になるというのが、私たちの確信です。この点については、貴国政府の立場とわが党には多くの相違点が存在しますが、この書簡ではあえて核兵器廃絶という人類的課題の一点にしぼって、私たちの考えをお伝えしました。

 核兵器が使われないことを保障する唯一の方法は、「核兵器のない世界」をつくることであり、大統領は、その大目標を世界の前に提起されました。この書簡が、あなたの発言を歓迎する立場から、その発言の精神が世界政治で生きた力を発揮することを願ってのものであることを重ねて表明し、日米両国間の友好と友情が発展することを心から希望して、結びとします。

2009年4月28日

日本共産党幹部会委員長

衆議院議員 志位 和夫

2007年7月 5日 (木)

核武装容認の小池氏就任は安倍首相の考えが問われる重大人事

 昨日の記事でも書きましたが、今朝のしんぶん赤旗の記事を引用しておきます。

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2007年7月5日(木)「しんぶん赤旗」

核武装容認の小池氏就任
安倍首相の考えが問われる重大人事
市田書記局長が批判

 日本共産党の市田忠義書記局長は四日、小池百合子防衛相の就任について国会内で記者団に問われ、「小池氏は、安倍晋三首相の安全保障問題担当補佐官として、『米軍再編』や沖縄への新基地押し付けの先頭に立ってきた危険な考えの持ち主だ」と指摘しました。

 この中で市田氏は、小池氏が、新聞アンケートで核武装について、「国際情勢によっては検討すべきだ」と答えていたことを指摘。また、改憲右翼団体「日本会議国会議員懇談会」の副幹事長を務めたこともあげ、「原爆投下を『しょうがない』といってやめた久間大臣の後に、事もあろうに、こういう人物をまた据えることは、安倍首相自身の考えがきびしく批判され、問われる重大な人事だ」と批判しました。

米高官発言許しがたい

 また、市田氏は、米高官が、原爆投下のおかげで第二次世界大戦の終結が早まり、数百万人の命が救われたとの発言をしたことに関し、「悪魔の兵器を肯定する異常な発言であり、許しがたい。歴史的事実としても誤っている」と批判しました。

 市田氏は、米占領軍最高責任者のマッカーサー元帥が、もし原爆投下について相談を受けていたら、日本はすでに降伏の準備をしており、投下は不必要だとの見解を表明しただろうとの趣旨の発言を戦後にしていることも指摘し、「今回の米高官の発言は、米国の一部の権力者が原爆投下を合法化するためにつくりだした『神話』ともいうべき異常な発言だ。海の向こうから久間章生前防衛相の原爆発言を擁護し、安倍首相が後任に小池氏を据えたことにエールを送る発言だ」と批判しました。

原爆神話と核抑止力論の虚構に立つ読売社説、愚かなり

 記事をクリップしておきます。

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2007年7月 4日 (水)

アメリカのロバート・ジョセフ核不拡散問題特使「原爆使用が何百万人もの日本人の命救った」

 久間発言と直接の関連性はないとされていますが、こういうアメリカの発言を許しているようでは駄目なのです。だからこそ久間発言は重大な問題なのです。改めて、核兵器の使用はどんな理由があっても許されないし、あくまでも核廃絶がなされねばならないと思います。

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(追加)

 さらに続報を見ると、安倍首相、腰が引けてます。外務省はもう少し踏み込んでますが、しかし腰が引けてます。

 広島・長崎への原爆投下は、本来違法なもので、アメリカがその誤りを認めて謝罪しなければならない問題です。

 「従軍慰安婦」問題で、河野談話にも反する行動を取りながら、公的で明確な謝罪をしようとしない、あわよくばこの歴史的事実を否定してしまおうなどという邪な心を持っているから、こうなるのです。

 北朝鮮問題でも、「理」のある外交をしてないから、こうなるのです。

 この首相、この政権は、「国益に真正面から反する」内閣であることがますます明らかになっています。

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久間章生防衛相辞任―核兵器の使用はどんな理由があっても許されない

 原爆投下は「しょうがない」と述べた久間章生・防衛相が辞任しました。

 ところが、後任の防衛相は小池百合子・首相補佐官だそうです。小池氏は核武装について毎日新聞のアンケート(2003年)で「国際情勢によっては検討すべきだ」と回答した人です。

 これは、安倍首相が久間氏の暴言を反省してない証拠です。久間発言の問題の核心は、「何らかの理由があれば核兵器を使用して良い」と久間氏が真正面から言い放ったことにあります。にもかかわらずその後任に核武装容認論者の小池氏を就けたのはこの問題点を認識してないことを示します。

 また、日本は米国の核戦略を一貫して支持し、「核抑止力」を中核とする日米安保体制にしがみついてきました。これは、日本政府全体が「何らかの理由があれば核兵器を使用して良い」という立場に立っていることを示しています。

 小池氏は、この点でも、アメリから強く要求されている集団的自衛権の解釈変更について、雑誌で「国会の審議の場において、時の総理が『解釈を変えました』と叫べばよい」と述べています。

 おまけに、町村派に属する小池氏は、日本の侵略戦争を美化する日本会議国会議員懇談会の副幹事長を務める「靖国」派です。久間氏はこの手の団体には所属してませんでしたから、また1人「靖国」派の大臣が増えたことになります。

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 長くなりますが、久間発言、それへの抗議、しんぶん赤旗の主張、論説等を引用しておきます。

 さらに、以下のブログの記事が詳しいのでTBさせてもらいます。

津久井進の弁護士ノート「争点は“核武装レジーム”の是非」(7月4日)

続きを読む "久間章生防衛相辞任―核兵器の使用はどんな理由があっても許されない" »

2006年11月 8日 (水)

核武装の議論の自由はない・再論

 前に書いた同じタイトルの記事(10月21日)にコメントを付けてくれた方がいたので、また考えてみました。

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2006年11月 1日 (水)

安倍首相、中川氏の「核議論」発言に、ようやく自制を求める

 先ほど届いた日経夕刊によると、安倍首相は、中川氏から訪米中の「核議論」発言について報告を受け、「この件は突っ込まれる」と自制を求めたそうです。

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2006年10月29日 (日)

愚か者の馬脚を現す中川政調会長

 何の用事があるのか、アメリカ訪問中の中川自民党政調会長は、「国連憲章上、41条に基づく経済制裁がうまくいかない場合は(軍事的措置を定めた)42条にいくことになっている」と述べ、「目的は北朝鮮に一刻も早く暴挙をやめさせることだ。(核使用が)起こらないために何をするかという議論の1つとして核の議論がある。あらゆる手段を議論しようという提案だ」と述べたそうです(日経28日付夕刊)。

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