映画「硫黄島からの手紙」
クリント・イーストウッド監督。
これもテレビで見たのですが、全体を見終わってみればいい映画なんだろうなとは思いました。
しかし、僕は、最初から最後まで、どうにも作品の世界に浸ることはできませんでした。冒頭から登場する、二宮和也さん演じる西郷の、台詞・態度・雰囲気などすべてが、あまりにも現代的で、僕にはあの時代・あの場にふさわしい人物像が作られているとは全く感じられなかったからです。また、渡辺謙さん、中村獅童さん、伊原剛志さんなどその他の役者さんにも、程度の差こそあれやはり同様に感じてしまったからです。それぞれの人物像や事件が、現代的、あるいは、戯画的・図式的に作られているように感じられ、どうしてもリアリティーが感じられませんでした。残念です。
あるいはもしかしたら、歴史、しかも現代に直結している歴史、従って現代の社会と政治、それらに対する正確な把握と理解の上に、物語や人物像が作られているようには感じられない、ということなのかもしれません。
なお、この映画は2006年12月9日に公開されたようですが、「硫黄島」の読みに関して翌年以下のような新聞記事がありました。僕の小さい頃からある記憶でも「いおうとう」だったので、この記事のお蔭で謎が解けてすっきりしたんです。
硫黄島「いおうじま」から「いおうとう」に 国土地理院
(朝日電子版 2007年06月18日19時46分)第2次世界大戦の激戦地、硫黄島(東京都小笠原村)の呼称を「いおうじま」から「いおうとう」へ変えると国土地理院が18日、発表した。戦後も帰島かなわぬ旧島民の心情に配慮し、村が変更を要望していた。市販地図や教科書の基になる2万5000分の1地形図の図名が9月から改まる。
硫黄島には戦前、約1000人の島民がいて「いおうとう」と呼ばれていたが、戦時中、全員が強制疎開に。米軍が「いおうじま」と呼び、その後、都もこれを標準呼称として公報に載せたことから、地理院も82年から「いおうじま」を使ってきた。
村は昨年3月、地理院に旧称への変更を要望していたが、同12月公開のクリント・イーストウッド監督の映画「硫黄島(いおうじま)からの手紙(原題はLetters From Iwo Jima)」がヒットすると、旧島民らの間で、改めて本来の呼称を使いたいとの声が高まった。村は都の承諾を得て、村長が地理院に直訴。地理院は18日、海上保安庁と合同で地名修正の連絡協議会を開き、「現地の現称が原則」として変更に踏み切った。
母が旧島民の森下一男村長は「旧島民は戦争で故郷の名前を奪われ、複雑な思いを抱いてきた。遺骨収集などのたびに話題となっており、変更は大変うれしい」と話している。
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