○救助されない「県外避難者」、支えることが政治の役割
「安藤たい作ニュース152号(2011年07月17日)」(PDF)で取り上げられた、品川区内の避難者住宅でのクーラー設置問題に、こんな背景があったことが分かりました。
2011年7月19日(火)「しんぶん赤旗」
記者ノート
首都圏総局 本田祐典救助されない「県外避難者」
支えることが政治の役割おえつが途切れ、こぼれた言葉は、「お金がどんどん減っていくのが怖い・・・、とても怖いんです」。
ふるえる体に、声をかけられず、ただ聞くことしかできませんでした。
東京都内の公営住宅に避難する、宮城県石巻市の30代男性。不慣れな土地での生活や、貯蓄を失う精神的な重圧が、津波によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療に影を落とします。
男性のように被災地を離れた「県外避難者」の人数を、国は正確につかんでいません。避難者の自主申告などにもとづく調査では、原発事故にともなう福島県外への避難者は少なくとも4万5千人を超えます。
福島県浪江町の女性は首都圏の国家公務員宿舎の一室で、「将来を考えないようにしている。考えたら最後、この部屋から飛び降りるしかない」と、冗談めかして言いました。
彼らが絶望を深める原因の一つは、救助の手が届いていないことにあります。
■口-----口■
たとえば、雇用促進住宅やUR(都市再生機構)といった公的住宅や自治体の公営住宅に身を寄せている、一般的な県外避難者の実態はこうです。
――仮設住宅では当たり前の設備であるエアコンがない部屋で、熱中症の危険にさらされている。
――災害救助法にもとつく食器や鍋など生活必需品の支給がなく、困窮している。
――6カ月など短い入居期限におびえ、生活再建の足場がない。
これらは本来、災害救助法を使えば容易に解決できる課題です。
こんなやりとりが厚生労働省とありました。「被災者の部屋を訪ねたら室温34度ですよ。なぜエアコンを設置しないんですか?」と尋ねると、担当者はあっさり「やれますよ。災害救助法を使ってその住宅を仮設住宅扱いにすれば、設置できますよ」(災害救助・救援対策室)。
実際、厚労省は公営住宅などを仮設住宅として扱う場合、エアコンやガスコンロ、照明器具、給湯器、カーテンを国費で設置できると都道府県に通知(5月30日)しています。
ところが、「災害救助法を使ってエアコンを設置している公営住宅の数は?救助が行われている規模は?」という質問には、厚労省は「把握していない」「やるかどうかは自治体の判断」と繰り返すばかりです。
■口-----口■
置き去りにされた被災者の一端が、具体的な数字で明らかになったのは12日の衆院総務委員会のことでした。救助の徹底を迫った日本共産党の塩川鉄也議員への答弁は注目すべきものです。
雇用促進住宅5540戸、UR賃貸住宅790戸に避難する被災者が法にもとつく救助を受けていないというのです。公的住宅を仮設住宅と扱って救助していると国が把握できているのは、UR賃貸住宅20戸だけという衝撃的な内容でした。
ほかにも、自治体が勝手な判断で救助を行わなかったり、災害救助法の使い方がわからなかったり、という事態が各地で起きています。「県営住宅に入居した被災者には救助法を使わない」(千葉県の担当者)と言い切る県まであります。
被災者なのに、なぜ救助を受けられない人が出るのか。故郷を追われた人々の苦悩と向き合い、支えることが政治の役割のはずです。姿が見えにくい県外避難者の声を掘り起こし、災害救助のあり方、この国のあり方を問い続けたい。
« ●区提供の避難者住宅にクーラー設置が実現/共産党のアンケート、議会質問が力に ●石巻震災ボランティア報告(2)被災と復興の状況は? (安藤たい作ニュース152号) | トップページ | ○自治体を原発に縛る電源3法 »
「政治1(日本08-経済・労働・社会保障)」カテゴリの記事
- ○漁民の怒りが押し返す「水産特区」構想/「撤回」へさらなるたたかいを(2011.08.21)
- ○関西にも節電要請/財界に被害者の顔ができるか(2011.07.29)
- ○電力不足 財界「海外移転」いうが、アジア 日本より深刻(2011.07.29)
- ○東電の賠償実現こそ国の責任(2011.07.28)
- ○自治体を原発に縛る電源3法(2011.07.22)
「政治5(品川区2-安藤たい作)」カテゴリの記事
- ●市民+野党で安倍政権倒し「戦争法」は廃止に/品川の若者・自衛隊員を戦場に送る激励会は中止を●住民の会が羽田新ルート問題で区へ要請●「豊洲移転は中止し、築地での現地再整備も含め抜本的解決へ向けた再検討を」 (安藤たい作ニュース280号)(2016.12.28)
- ●このまま進める事に「危惧」、区内への影響の具体的説明を/羽田新ルート、品川区議会で国への意見書可決●29号線廃止求める住民の暮らしと安全・環境を守る会の総会●「来年度の国保料の引き下げを」●避難所訓練の区内一斉防災訓練 (安藤たい作ニュース279号)(2016.12.28)
- ●高齢者住宅の募集 11月24日(木)~12月2日(金)/ひとり暮らしで住宅にお困りの方は忘れずに応募を!●天王洲のアール・ブリュット展鑑賞●品川の医療と介護をよくする会の学習会●図書館市民フォーラム品川 定例学習会●29号線廃止求める住民の暮らしと安全・環境を守る会の総会 (安藤たい作ニュース278号)(2016.12.28)
- ●名古屋市で相次ぐ道路廃止の現場を調査/品川区も都市計画審議会を開き29、28号線、放射2号線廃止を●国会議員(池内さおり衆院議員)になんでも聞いてみよう●人権シンポ「性的マイノリティ(LGBT)と人権」●11th原発いらないさよなら原発品川パレード (安藤たい作ニュース277号)(2016.11.17)
- ●「(影響は)基準の範囲内」「(被害)予見しない」と無責任答弁/品川区は羽田新ルートの被害を認めて反対を●学習会「精神障がい者の『暮らす』と『働く』を支える」●太子堂の修復型防災まちづくりの現地見学 (安藤たい作ニュース276号)(2016.11.12)
この記事へのコメントは終了しました。
« ●区提供の避難者住宅にクーラー設置が実現/共産党のアンケート、議会質問が力に ●石巻震災ボランティア報告(2)被災と復興の状況は? (安藤たい作ニュース152号) | トップページ | ○自治体を原発に縛る電源3法 »
コメント