○自治体を原発に縛る電源3法
しんぶん赤旗掲載からもう1週間も経ってしまいましたが、僕には分かりやすくまとめられた記事だったので、クリップしておきます。
2011年7月15日(金)「しんぶん赤旗」
電源3法
自治体を原発に縛る
交付金額 危険とセット政府・財界が一体で進めてきた原子力発電には、原子力発電所立地自治体を推進体制に組み入れる電源3法という仕組みがあります。その仕組みを見てみます。(山田英明)
電源3法は、原発などの電源開発を推進するために1974年6月、田中角栄内閣によって導入されました。電源3法とは、①電源開発促進税法②特別会計に関する法律③発電用施設周辺地域整備法ーの三つの法律。それぞれが原発などの「発電用施設の利用の促進及び安全の確保並びに発電用施設にょる電気の供給の円滑化」を図ることを目的に掲げています。
電源開発促進税は電力会社に課税されます。電力会社は、同税を電気料金に転嫁します。つまり実質的に同税を負担しているのは国民・消費者という仕組みです。
「ハコモノ」建設
電源開発促進税は、国の一般会計を経てエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定に組み入れられ、原発などが立地する自治体や周辺自治体に対する交付金として支出されます。
電源3法交付金は、2003年10月の「改正」までの約30年間、その使い道が公共施設の整備などに限定されていました。その結果、原発周辺自治体では、コミュニティーセンターや屋内運動場、資料館などの「ハコモノ」が相次いで建設されていきました。
同法の制定当時、中曽根康弘通産相は電源3法交付金について、原発に対する不安感などへの"迷惑料"だと見解を示していました。
政府や電力会社は、国民負担によって地元自治体に"迷惑料"を払い、原発推進政策を進めてきたのです。
電源3法交付金である電源立地地域対策交付金は、運転開始に先立つ調査の段階から交付が開始され、工事着工時には大幅に膨れ上がります。
運転開始で急減
原発の運転開始とともに立地自治体には、巨額の固定資産税が入ります。しかし、電源3法交付金は原発の運転開始から急減します(図)。さらに、固定資産税の税収も運転年数の経過とともに課税対象となる資産価格が減り、減少します。
交付金を受ける立地自治体と周辺市町村では、交付金と固定資産税が減少する一方で、電源3法交付金で建設した公共施設の維持管理費などが財政を圧迫することになります。
電源立地地域対策交付金は、発電施設出力の大きさや運転年数の長さなどで、交付金額が算定される仕組みが盛り込まれています。
出力が大きくなれば大きくなるほど、運転年数が長くなればなるほど、交付金が増える仕組みです。
その上、運転年数が30年を超える原発の立地道県には、原子力発電施設立地地域共生交付金が交付され、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再利用するプルサーマルを実施する都道府県には、核燃料サイクル交付金が交付されます。
電源3法交付金制度には、原発の増設や運転年数の長期化、プルサーマルなど、原子力推進のメニューを受け入れるほど交付金が増額されるという仕組みが織り込まれています。これらが、原発立地自治体を原発推進に縛り付けています。
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