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2010年8月 2日 (月)

女性自衛官が勝訴(札幌地裁・橋詰均裁判長)

 何とも嬉しい判決です。

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2010年7月30日(金)「しんぶん赤旗」

女性元自衛官が勝訴
札幌地裁 基地内の性的暴力・退職強要を認定

 北海道の自衛隊基地内で女性自衛官(当時20歳)が性的暴力を受けた事件で、札幌地裁(橋詰均裁判長)は29日、国に損害賠償を命じる判決を出しました。原告弁護団は「国が否認していた性暴力の事実を認め、自衛隊の事後の対応の法的責任を認めた画期的な判断」とのコメントを出しました。

 原告は、夜勤中の男性自衛官から基地内の一室で性的暴力を受け、その後、職場監督者が適切な対応を怠った上に退職を強要したと、国に慰謝料の支払いを求めて提訴。裁判所は原告の主張を全面的に認め、580万円の損害賠償を命じました。

 国側は、「合意のうえでの行為」と事実を否定しましたが、裁判所は暴行の事実を認めるとともに、その後、部隊の監督者が、婦人科を受診することを困難にし、加害者の男性自衛官をその後も基地内にとどまらせ、原告に退職強要した事実などを国の違法行為と認定しました。

 判決の朗読を終えた橋詰裁判長が閉廷を宣言すると、傍聴席からいっせいに拍手が起き、原告席に座っていた原告女性は涙を流しながら、深々と頭を下げました。

 判決後、原告の女性は、「全国で助けを求めている自衛官がたくさんいることは事実です。私を支えてくれた人たちに最上級の感謝を伝えたいと思います」とのコメントを出しました。

「勝ったよ」父にメール

 「私の訴えを裁判所が認めてくれた。言ってきたことが間違いではなかったとわかり、感動しました」―。

 判決で流した涙の理由を記者団から間われた原告女性は、かみしめるように答えました。記者団とのやりとりで終始、原告女性は硬い表情を見せ、3年3カ月という長く苦しい裁判闘争を物語っていました。

 「何度も体調が悪くなり、地獄でした」。不眠や食欲低下、頭痛に悩まされる毎日。自衛隊は、提訴した翌日に女性を使用されていない物置に配置転換し、その後も訓練からの除外や聞こえよがしに非難するなど、数々の嫌がらせをおこないました。

 原告女性は、「生きていくための仕事だったし、私はやめる理由はないと思った」と述べ、自衛官として現役を続けながら裁判をたたかった理由を語りました。2年の任期が切れた昨年、自衛隊は理由を明らかにしないで再任を拒否。退職に追い込まれました。このときが一番つらかったといいます。

 判決の後、父親に「勝ったよ」とメールすると、「『うれしすぎて気絶しそうだ』と返事がありました」と顔をほごろばせた原告女性は、「国は判決の意味を理解してほしい。これ以上裁判をしたくない。控訴してほしくないと強く思います」と強調。

 原告女性の勇気ある行動に励まされ、同様の被害にあっている全国の女性自衛官から相談が殺到しています。「特殊な訓練を受けていても自衛官も同じ人間。市民として人権が保障される組織になってほしい。もうこれ以上、同じ思いをする人は必要ありません」

解説
人権侵害 隊内まん延

 判決は、「裁判は暗闇の中の一条の光だった」という原告の性の尊厳、人権の回復を求めた訴えに、応えたものです。

 2007年5月8日の提訴から3年余、この間の原告のたたかいは壮絶なものでした。自衛隊は上司による性暴力の被害者である原告の保護・援助を怠ったばかりか、逆に退職を強要しました。判決は、性暴力と退職の強要を国家賠償法違反の行為と断罪しました。

 自衛隊でまん延するいじめ、暴力、セクシユアルハラスメントなどの人権侵害、多発する自殺は、その多くが原因や真相が究明されないまま内部処理というかたちで隠ぺいされてきました。

 こうした事件の背景として共通して指摘されるのが、自衛隊の変容です。

 自衛隊は「国際貢献」が本来任務となり、米軍と連携した「海外任務」が地球規模で拡大し、日常化しています。

 それにあわせるように隊内で声高に叫ばれているのが「精強な自衛隊」「所命必遂」といった精神論。そのもとでまかり通っているのが、現場の実情を無視した上意下達、上司や隊員による私的制裁(リンチ)、性的無軌道の黙認です。自衛隊の警察組織である警務隊による人権侵害の強引な捜査も広がっています。

 自衛隊には今回の判決を重く受げ止め、人権侵害事件の一つひとつについて原因究明と責任の明確化、再発防止のための対策の確立が求められています。(山本眞直)

空自で女性隊員に性的暴行と退職強要 札幌地裁が認定、
国に580万円賠償命令

(毎日新聞電子版 2010年7月30日 1時59分)

 同僚の自衛官から性的暴力を受けたうえに退職を強要させられたとして、北海道内の航空自衛隊基地に勤務していた元女性隊員(24)が約1100万円の国家賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は29日、女性側の訴えをほぼ全面的に認め、国に580万円の支払いを命じた。橋詰均裁判長は「上下関係などを利用した性的暴行で、その後も上司らが露骨に退職に追い込もうとした」と、組織的な不法行為を認定した。

 判決によると、女性は06年9月、夜勤中に飲酒していた1階級上の男性3曹(35)に内線電話で勤務部屋に呼び出され、無理やり胸などを触られたり、性的行為を強要させられるなどした。その後、女性は上司に訴え出たが、女性自衛官同席でなかったため細かい説明ができず、婦人科受診の申し出も「男性隊員が同行しないと認めない」と言われ、すぐには行けなかった。さらに事件から4カ月後、上司らから「周囲に迷惑をかけた」と退職を強要させられた。

 判決は3曹の「合意の上だった」との主張を退け「階級の上下関係を利用し、周囲から隔絶された部屋で女性の抵抗を抑圧した」と認定。また上司らの事後対応も「被害を訴えた原告を厄介者として退職に追い込もうとする露骨な取り扱いだ」と断じ、3曹の暴行による慰謝料を200万円、監督義務を尽くさなかった上司らの処遇による慰謝料を300万円と認定した。【久野華代】

 ◇「国は判決の意味考えて」原告の女性、涙抑え切れず

 原告の女性は、法廷で判決を聞きながら、涙を抑え切れずしゃくり上げた。「職場で私の被害は『大したことはない』という扱いを受けた。もう誰も同じ思いをしてほしくない。国は判決の意味を考えて」。写真撮影不可で応じた記者会見で、きっぱりと訴えた。

 「同じ被害に苦しむ現役自衛官の励みになれば」。3年前、現職のまま提訴すると、訓練に参加させてもらせいなど嫌がらせを受け続けた。人の役に立つ仕事がしたくて選んだ仕事。「何も悪くない私がどうして辞めなければいけないのか」。2年間踏ん張ったが、昨年3月の再任用は認められなかった。

 提訴後、職場でセクハラを受けたという女性からいくつも相談を受けた。傍聴席は支援者で満席になり、裁判長が退廷する時には拍手が起こった。「原告の主張に共感を持ち、被害実態に即した判断をしてくれた」と弁護団の秀島ゆかり弁護士。原告の女性は「被害者が悪いんじゃない。苦しんでいる人には、信じた道を行ってほしい」と語った。

 自衛隊員による職場のセクハラ問題は少なくない。防衛省によると99~09年度の相談件数は545件に上り、相談を端緒に懲戒処分に至った件数も91件(免職1件、停職48件、減給26件、戒告16件)に達する。08年には業務時間外の余暇活動で部下の女性の体に接触して著しい精神的不快感を与えたとして、空自第1術科学校(浜松市)校長だった空将補が停職処分を受けた。

 同省はセクハラ防止に関する訓令で、問題が生じた場合に必要な措置を迅速・適切に講じたり、相談員を配置することなどと定めている。判決について同省幹部は「訓令に基づき、今後もセクハラ防止対策を徹底していく」と話した。【久野華代、樋岡徹也】

    ◇

 弁護団の佐藤博文弁護士の話 全面的な勝訴。判決を今後の自衛隊のあり方に生かしてもらわなければいけない。国側は控訴しないでほしい。

 航空幕僚監部広報室の話 裁判所の理解が得られなかった。今後の対応は関係機関と調整して適切に対応したい。

 セクハラ問題に詳しい宮地光子弁護士(大阪弁護士会)の話 画期的な判決だ。特に「性的被害を訴える人が心身の被害を回復できるようにしたり、不利益を受けないように配慮すること」を職場監督者の義務として明示したケースは初めてだろう。判決を読むと、この組織は極めて前近代的。被害を訴える女性から男性が事情を聴くなど配慮がなさ過ぎる。職場や組織でセクハラなどに対処する上での指針となり得る判決で、影響は大きい。

空自セクハラ訴訟、国に580万支払い命令
(2010年7月29日15時24分  読売新聞電子版)

 北海道内の航空自衛隊基地に勤務していた元女性自衛官(24)が、男性自衛官から受けたわいせつ行為を上司に訴えたところ、逆に退職を促されたなどとして、国に慰謝料など計約1120万円の支払いを求めた訴訟の判決が29日、札幌地裁であった。

 橋詰均裁判長は、男性自衛官が性的暴行を加えた事実を認定し、国に580万円の支払いを命じた。

 これまでの裁判で、元女性自衛官は「抵抗したが、腕などをつかまれて逃げることができなかった。体を触ることを了解した言葉は一度も言っていない」と主張。「上司からは、自衛隊で問題を起こしたら、もうやってはいけないと言われた」としていた。

 これに対し、国側は「性的行為は原告の意思に反したものではなく、セクハラとは言えない。事後の対応も適切で、不当な扱いや退職を強要した事実はない」と反論し、請求棄却を求めていた。

 判決では、「上下関係があり、女性が心理的に反抗しにくいことを利用して部屋にとどまらせ、腕力で抵抗を抑圧した」と指摘。また「女性が周囲に迷惑をかけたとして、上司が退職に追い込もうとした」とした。

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