民主党独裁を追求する民主党首脳陣の政治哲学
民主党敗北の参院選。その根本的原因は、政治についてのこういう哲学にあるのでしょう。
国民の意思に反する政治を実行するつもりがなければ、独裁政治なんて、あえて求める必要ありません。逆に独裁を正当化して追求しているのは、国民の意思に反する政治を実行しようとする強い決意の証拠なのだと思います。
2010年7月27日(火)「しんぶん赤旗」
「菅直人内閣の重要政策決定を主導するトロイカ体制」(民主党衆院議員)といわれる菅首相、仙谷由人官房長官、玄葉光一郎内閣府特命相(民主党政調会長兼務)。その危うい政治思想に永田町の目が向けられています。
○…菅首相は今年春の国会審議で、憲法と議会制民主主義の原則とは異質の国会観を披露しました。「言葉が過ぎると気をつけなきゃいけませんが、議会制民主主義というのは期限を切ったあるレベルの独裁を認めることだと思っているんです」(参院予算委3月16日)。
菅首相は、著書『大臣』のなかでも立法府(国会)と行政府(内閣)が一体化し、内閣が優位に立つとする「国会内閣制」を主張しています。国会を国権の最高機関と位置づける憲法から見ると、与党の多数独裁を認める独特の憲法解釈です。
○…公務員制度改革担当で入閣した玄葉氏も「独裁」という言葉に抵抗感が薄いようです。茂木友三郎キッコーマン会長(21世紀臨調共同代表)との誌上対談で次のようなやりとりをしています。
「茂木 政治形態でいちばんいいのは『ビナイン・ディクテーターシップ(優しい専制主義)』だという言う人が多かった…。
玄葉 まったくおっしゃる通りで、私もそう思います。非常に賢くて、権力を抑制的に使う人が、独裁体制のもとでリーダーになったら、いちばんいいですよ」(『味の手帖』6月号)
民主党が参院選で大敗した一因に、6月の首相交代後に慣例の衆参予算委開催を拒絶するなど民主党の強権的な国会運営がありました。数を頼みに強権政治へ暴走した背景に、政権を握った側の独裁は許されるという民主党首脳陣の安易な政治思想と関連付ける見方があります。
○…参院選で消費税増税を持ち出したのも、菅―仙谷―玄葉ライン。トロイカ体制をリードする仙谷氏は、自身が主催する21世紀改革研究会の発足講演(1998年12月11日)で語っています。
「かつて『貧乏人は麦飯を食え』といった政治家がおりますけれど、今はそんな度胸のある政治家はありません。私はここまで(注・のどもとを指す)でかかっておりますが、次の選挙でもう一回落ちたらもう立ち上がれないと思っていますので、ちょっというのを控えています…」(仙谷由人『金融・経済危機、そして日本』)。「独裁」の裏腹としての国民軽視の思想がにじんでいます。
仙谷氏が紹介するかつての政治家の発言とは、吉田茂内閣当時の池田勇人蔵相の国会答弁です。翌日の全国紙は「貧乏人は麦を食え」と伝え、当時の国民の憤激を呼びました。
低所得層ほど負担が重い消費税増税は、「貧乏人こそ消費税を払え」といわんばかりの現代版「貧乏人麦飯」論です。
○…参院選で国民は民主党に単独過半数を与えませんでした。民主党政権がはらむ危険を鋭敏な感覚で拒否したといえるかもしれません。
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