韓国・統一地方選結果、韓国各紙の分析
様々な意味で興味深い韓国の政治・経済とその歴史。先日の統一地方選の結果についての韓国各紙の分析が、しんぶん赤旗にまとめられていました。記事をクリップしておきます。
選挙結果の報道は、6月4日の記事。
2010年6月8日(火)「しんぶん赤旗」
焦点/フォーカス
国民の声に耳傾けないから
惨敗 韓国与党
地方選結果各紙が指摘2日に行われた韓国の統一地方選挙。各地で野党候補が事前の予想を覆して勝利し、保守与党・ハンナラ党を惨敗させました。翌日の新聞各紙は、「国民の怒りの噴出」「政権への審判」と報道。与党大敗の原因は、哨戒艦沈没問題への対応をはじめ、国民の声に耳を傾けない李明博(イ・ミョンバク)政権の国政運営のあり方そのものにあると指摘しました。(中村圭吾)
「有権者の選挙革命」。現地メディアが、こう表現するほど選挙の結果は劇的でした。保守派の知事が続いてきた北東部・江原道で、最大野党・民主党の李光宰(イ・グァンジェ)氏が勝利し、同道では初の民主党知事が誕生。ハンナラ党は、地盤としてきた南東部・慶尚南道の知事選でも、盧武鉱(ノ・ムヒョン)前政権の閣僚だった野党系無所属候補に敗北。焦点となった16知事・市長選で6勝10敗の結果となりました。
同時に行われた教育長選挙でも、首都圏のソウル市や京畿道をはじめ、6カ所で「進歩派」が当選。全国の小・中・高校の52%、児童・生徒数では57%が「進歩派」教育長の影響下に入ることになり、ハンナラ党は、教育行政の主導権を失いました。
一方的国政運営
選挙結果について、翌日の新聞各紙は、「政府が一方的に推進してきた主要政策に対する国民の厳しい審判」(韓国日報)と指摘。「一方的な国政運営で抑え込まれたまま、積もりに積もった国民の怒りが噴出した」(京郷新聞)と報じ
ました。各紙が共通して問題視するのは、政府の「独善的」「一方的」な国政運営です。
李大統領は、環境団体などが環境破壊を招くとして強く反発している四大河川開発事業を推進。中西部・忠清南道に「首都機能」を移転する「世宗市」計画では、前政権が決めた同事業の白紙撤回を表明し、地元住民の反発を招きました。
保守派の最大紙・朝鮮日報は社説で、「政府与党が推進してきた四大河川再生事業、世宗市計画の見直し問題などで、世論の反発は非常に厳しい」と指摘。「与党は、任期が始まった当初から、『国民との意思疎通が危機的状況にある』という指摘を幾度となく受けてきたが、任期中盤になってもこの問題に対する改善の兆しは見られない」と述べました。
施策見直し促す
同じく保守紙の中央日報は、論説委員コラムで「李大統領は就任以後、記者会見らしい記者会見を一度もしなかった」「国民には教えようとだけした」「人見知りも激しく、知っている人でなければ起用しない」と問題点を列挙。「保守勢力が心配するのは、大統領の任期ではない。保守勢力の没落だ」「こんな風では、次の総選挙、大統領選挙でも変わらないだろう」と嘆き、世論の反対が強い施策の見直しを促しました。
与党内でも大統領への批判は強まっており、ハンギョレ新聞は、「政策の内容への反感だけでなく、推進するやり方に対する批判も強い」という与党議員のコメントを紹介。「与党内からも国政刷新の要求が洪水のようにあふれ出している」と伝えました。
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