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2010年1月10日 (日)

神水理一郎『清冽の炎』第1~5巻(リンク追加)

 昨年の6月に読んだものです。その頃しんぶん赤旗の広告が目に止まり、興味を惹かれたのでまとめて買って一気に読みました。著者の神水理一郎(くわみず・りいちろう)氏は、福岡県で弁護士をやられている永尾廣久さんのペンネームだそうです(河田英正のブログ 2008年01月03日「清冽の炎」)。なので、永尾さんの書かれた『星よ、おまえは知っているね-セツルメント青春群像』も引き続いて読ませていただきました。

 この『清冽の炎』、面白かったです。やっと東大闘争時のキャンパスの具体的な雰囲気が分かったように思えました。

 と言うのも、当時の学生は皆、こんな行動が政治や社会の変革に結び付くなどと本気で考えていたのか、ずっと疑問だったからです。この1968年頃の学生運動と言うと必ず、安田講堂に立てこもった全共闘を警察機動隊が排除・逮捕していくときの映像が流されますし、当時小学校6年生だった僕もこの映像をテレビで見ました。しかし、多数の学生が、持続的に、大学と街の施設を破壊したり学生・教員を暴行することで大学と社会・政治が変わると本気で考えていたとは、とても思えなかったのです。

 そこでこの『清冽の炎』に飛び付いたわけですが、正解でした。ああいう考えと行動に走った学生は、結局は少数派だったことが、具体的によく分かったからです。しかも、多くの学生が、こういう状態や学生を単に傍観して放っておくのではなく、それをなくすべく、立場・考えの違いを越えて力を合わせて真正面からたたかったということも具体的によく分かりました。他方で、当時の自民党政府・警察が、大学への管理を強化し、革新勢力のイメージを貶めるために、この破壊・暴力活動を利用する流れも分かります。

 事実関係は著者自身の実体験と十分な調査によりありのままに描きながら小説仕立てなので分かりやすい。小説の登場人物としては、神水という学生が、僕にとっては最も魅力的でした。

 この関連で、島泰三『安田講堂 1968-1969』(中公新書)という全共闘で安田講堂に立てこもっていた人が書いたものも読みましたが、情緒的な思考で自らを正当化する風のもので、全然ダメです。事実を歪めて書いていることも、この記事の最後に引用するブログの記事で具体的に指摘されています。

 この全共闘の破壊と暴力の活動は、結局その後の学生と国民から政治と社会への関心を奪っていったのだと思います。日本人の中の政治的・社会的に未熟な部分が全共闘になり、また、その行動が、日本人の政治社会意識の向上を大きく妨げたのだと思います。彼らの罪は大きいと思います。

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 福岡県弁護士会ホームページの中に設けられた「弁護士会の読書」というブログで読んだ方から詳しく紹介されています。

2005年12月16日「清冽の炎」
2006年12月27日「清冽の炎 第2巻・碧山の夏」
2007年07月27日「清冽の炎(第3巻)」
2007年08月03日「清冽の炎(第3巻)」
2007年08月10日「清冽の炎(第3巻)」
2007年12月25日「清冽の炎・第4巻『波濤の冬』」
2008年11月10日「清冽の炎(第5巻)」

 以下も参考になります。

2006年02月02日「安田講堂」
2008年08月01日「ゲバルト時代」
2009年10月09日「1968(上)」
2010年01月16日「1968年に日本と世界で起こったこと」

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コメント

「1968-1969」といえば、私の場合中学3年生でしたが、こんなことがあったなんて、知りませんでした。saruさんは、小学6年生でもかなり政治に関心があったようですね。
今日は、永尾廣久さんの著書『星よ、おまえは知っているね-セツルメント青春群像』も注文してみました。少し「セツルメント」に関心をもってしまったからです。
「清冽の炎」の第1巻を読み始めましたが、今のところ「セツラーネーム(98頁)」のところで止まっています。まだ第5巻は買っていませんが、第6巻の完成がいつごろになるかが気になります。

「あの頃の東大キャンパスの雰囲気を知りたいという気持ち」をもって、第1巻の6月13日(木)駒場のところまで読みすすみました。以下の文章からも、その雰囲気を少しだけ知ることができそうです。それから、リンク追加ページでの「1968年に日本と世界で起こったこと(毎日新聞社)」も読んでみたくなりました(図書館へ予約)。

一週間前に公示された駒場の自治委員長選挙は今まさにたけなわ。三派連合はあまりにも過激なので、学生の支持は以前より高まってはいるものの、当選の可能性は薄い。これに対して、民主派よりは闘う姿勢をうち出し、かといって三派連合ほど過激でもない前線派が綾小路を候補者にかつぐと、学生の人気が集まり、有力候補として民主派をしのぐ勢いだ。(P230~231)

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