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2009年11月16日 (月)

風知草:外交における信頼とは=山田孝男(毎日新聞 2009年11月16日 東京朝刊)

 ここに引用されている、不破哲三氏の『激動の世界はどこに向かうか/日中理論会談の報告』は、僕もとても面白く読んだので、この毎日新聞の記事を引用したくなっちゃいました。

 ついでに、東大の駒場キャンパスで開かれた公開連続セミナー「マルクスは生きている」についての、しんぶん赤旗の記事も引用しておきます。

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風知草:外交における信頼とは=山田孝男
(毎日新聞 2009年11月16日 東京朝刊)

 鳩山語録が荒れている。先週、首相はデタラメな資産報告について記者に聞かれ、「恵まれた家庭に育ったから」だと答えた。そんな理由があってたまるかと世間は怒った。

 もう一つ、首相は官邸を訪れた中国要人にこう言った。「われわれは小沢(一郎)首相をつくるために活動していたのですが、結果として私がなってしまいました……」

 事実その通りの経過ではあったけれども、今さらそれを言ってどうするのか。実権は小沢が握っていることをあえて伝えたとでもいうのか。

 二つの逸話に共通しているのは、中途半端な率直さで相手に迎合する「恵まれた男」の甘さだ。言わずもがなの一言で墓穴を掘る危うさだ。

 この特質は、米軍飛行場の沖縄県外移設を言うそばから前言をボカし、アジア重視と日米同盟を交互に叫ぶせわしさと無関係ではあるまい。先週末の日米首脳会談でこの悪癖が出なかったかどうか--。

 小沢の12月訪中が決まり、民主党国会議員秘書会と中国大使館の懇親会も開かれた。民主党と中国の交流が急速に広がる中で、不破哲三(79)=前共産党議長=の新著「激動の世界はどこに向かうか/日中理論会談の報告」(新日本出版社)を面白く読んだ。

 中国共産党の理論家たちが不破を質問攻めにしている。

 「今回の金融危機の根源を何と見るか」「マルクスの資本論で説明できるか」「アメリカはどう出るか」「社会主義国は危機に強いか」「中国のリスクは何か」……。

 不破はマルクス、エンゲルス、レーニンの博引旁証(はくいんぼうしょう)をもって丁寧に答えている。

 まもなく日本を抜き、世界第2の経済大国になろうという中国は、急成長とともに貧富の差が広がり、平等、公正の象徴として毛沢東が根強い人気を保っているという。

 1966年、36歳の不破は宮本顕治を団長とする日本共産党訪中団に加わり、毛との会談決裂を経験した。毛が共同コミュニケでソ連批判を求め、宮本はベトナム支援の統一戦線構築を理由に拒んだ。

 そこに至るまでの宮本の交渉相手が劉少奇、周恩来、トウ小平。不破も同席した。

 以来、日中の共産党は断交し、反目し、32年後の98年、和解した。党幹部と学者を交えた理論会談は05年から。世界金融恐慌を経た今春、北京で開かれた3回目は一段と白熱した。資本主義か社会主義か。その議論の記録が前掲書である。

 不破は共産党の書記局長、委員長、議長などを36年間務め、旧ソ連共産党とも対立し、和解した。中ソの違いを聞くと「ソ連は生き馬の目をぬくようなところがあり、交渉はいつも後味が悪かった。それに比べると中国は率直」だという。

 今春出した「マルクスは生きている」(平凡社新書)が6万5000部。鳩山政権評を求めると、百戦錬磨のコミュニストは、こう答えた。

 「我々も政治を変えたいのでシミュレーションとして注目していますが、難点がちょっと早く出過ぎている」

 「対米関係で言えばね、外交の信頼はアダ名(=ママ。ファーストネームのこと)を呼び合って生まれるわけじゃない。現実の懸案をぶつけ合い、お互いの立場と、立場の違う問題に対する誠実さを確かめ合って生まれるものです」

 含蓄が深い。(敬称略)(毎週月曜日掲載)

2009年11月14日(土)「しんぶん赤旗」

公開連続セミナー 「マルクスは生きている」
未来開く現代に生きがい
不破社研所長の講演と参加者の感想から

 日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長が講師を務め、10月30日と11月6日の2回にわたって東京大学駒場キャンパスで開かれた公開連続セミナー「マルクスは生きている」(主催は民青同盟東大駒場班と同セミナー実行委員会)。学生たちを中心にのべ1130人が参加し、「マルクスの本を読みたくなった」「世界と日本をみる目が広がった」など大きな反響が寄せられました。参加者の感想を交えながらセミナーの様子を紹介します。

第1回 大学時代にマルクスが必読な理由

世界を全体としてつかむ

 第1回セミナーのテーマは「大学時代にマルクスが必読な理由」です。不破さんは冒頭、東大の学生として終戦直後を過ごした思い出を交え、戦前まで「危険思想の中の一番ひどいもの」と扱われてきたマルクスの本が、終戦直後は新鮮な感動をもって学生たちに迎えられた時代状況を振り返りました。

 では、今はどうか。「買うのも自由、読むのも自由ですが、触れる機会は昔と比べて少なくなってきています。体制側の人たちは『マルクスは古くなった』『死んだ人間だ』と扱っています」。しかし―と不破さんは続けました。

126年間で実証

 「確かにマルクスは1883年に死んでいますが、死後126年間に自然の見方でも社会の見方でも、マルクスが初めて主張したことが『なるほどその通り』と実証されたことがたくさんある」。そのうえで「大学時代にマルクスが必読な理由」を大きく二つの角度から強調しました。

 一つは、自然の面でも、社会の面でも、丸ごと全体としてとらえるためです。

 21世紀は歴史に残る激動の世紀です。「若い世代がこの激動の時代を生きていくうえで、時代の流れを見定めずに目先のことに追われて生きてしまっていいのか。ぜひ自分の人生を、時代の流れ、時代の位置を見定め探求しながら生きがいあるものにしてほしい。マルクスを読むことが、そのことに大きくかかわります」と不破さん。

 もう一つは、いま学問が細分化されているなかで、自分の学んでいる分野が世界のどの部分と関係するのか、自然と社会の全体像をとらえて自分の専門を深めるためです。

 不破さんは「マルクスと盟友のエンゲルスは、彼らが生きた世界の知識全般をつかむ努力をしました。ぜひこの二つの意味でマルクスを読んでほしい」と期待をのべました。

 参加者からは「大学でどんな分野に進むにしても、マルクスを学ぶことが大きく役立つことが多面的にわかった。自分が研究を進めていくことに自信が持てた」(東京大学院生)、「マルクスを学ぶことが自分が学校で学んでいく上での基礎になるんだと実感した。『資本論』に挑戦してみたくなった」(医療・福祉の専門学校生)などの感想が寄せられました。

マルクスの自然観

 「あらゆることを証明できる科学の力はすごい。唯物論を身近に感じることができた」(東海大学1年生)、「“自然科学には歴史がある”というのを聞いて、その歴史をつくる人間になれるよう、まず自覚的な唯物論と弁証法を学びたいと思った」(東京大学1年生)――不破さんが講演のはじめに解説した「マルクスの自然観」にはこんな感想が相次ぎました。

キーワードは

 不破さんは、マルクスの自然観をとらえるキーワードは「唯物論」と「弁証法」だといいます。

 唯物論は、物質の世界である自然がまずあって、そこから精神や意識が生み出されたという見方。一方、観念論は精神や意識が先にあり、それが生み出しているのが物質という見方です。

 「私たちの時代は政党選択より世界観の選択が大事でしたが、いまそうした議論にならないのは、自然があって、そこから人間が生まれたことが当たり前になってしまったという違いがあるんです」

 こう指摘した不破さんは、人間の生命、意識の問題は物質からは証明できないという観念論にたいして、マルクスとエンゲルスは19世紀半ばに「生命は蛋白(たんぱく)体の存在様式である」「思考及び意識とは…人間の頭脳の所産」だとずばり答えを出し、その後の自然科学がマルクスの予言通りの方向で生命現象、精神活動を解明してきたとのべ、その歴史を詳しく跡付けました。

 たとえば、生命論の分野では1953年にDNA(デオキシリボ核酸)の構造が発見され、生命維持活動や遺伝情報活動などの仕組みがわかりました。精神活動の分野でもニューロン(神経細胞)のネットワークなどの解明で、感覚、意識、思考などの仕組みが明らかになりつつあります。生命現象でも、人間の精神活動でも観念論が入る余地はなくなっているのです。

 不破さんは、「ここで大事なことは、自分の唯物論を成り行きにまかせず、“自覚的な”唯物論者となることです。そうしないと、唯物論の立場に立っているのに、オカルトなどの落とし穴にはまることにもなる」と注意を促しました。

物見る方法論

 もう一つのキーワードの「弁証法」は、ものをみるうえでの方法論です。エンゲルスは「世界を出来上がった物事の複合体としてとらえるのではなく、進行しているプロセスの複合体として世界をみる必要がある」と指摘しましたが、自然を歴史の発展の中でみるこの方法論もその後の自然科学で見事に証明されています。

 不破さんは若いころ、自分が読んだ二つの本を紹介しました。一つは、1956年に出版された『宇宙と星』(畑中武夫著)。そこでは、太陽が燃えているのは、水素が燃えてヘリウムになる熱核反応の連続であることがわかり、それをもとにどんな星についても生成と消滅の歴史がわかるようになりました。もう一つは、71年に出版された『新しい地球観』(上田誠也著)。最近2億年くらいの時期に地球の大陸が大きく移動してきたことがわかり、プレートの相互作用で地球の歴史をみる見方が確立しました。

 「まさに自然科学は歴史ある学問に変わってしまった。弁証法で歴史をみる学問に自然全体の特徴がある」(不破さん)のです。

 不破さんは、ノーベル賞を受賞した小林誠、益川敏英両氏が素粒子の奥にクォークがあるとの立場から、ミクロの世界でぶつかっていた混迷を解決したことなどを紹介。「日本の物理学はマルクス・エンゲルスの見方を、自然をとらえることだけではなく、学問の世界に方法論として生かしている珍しい例です」とのべ、唯物論と弁証法が現代の自然科学の発展の羅針盤として働いていることを示し、「みなさんがいろいろな分野を研究される場合に、マルクスの自然観をつかんで、現代の自然観に生かしてほしい」と期待をのべました。

マルクスの社会観

 不破さんは次に、マルクスの社会観について話を進めました。マルクスが社会の見方に持ち込んだものは大きくいって三つあります。

 一つが、社会の土台にあるのは経済だということです。ものをつくる(生産)、ものを運ぶ(運輸)、つくったものがだれの手に入るか(分配)、そのなかで人間同士がどんな関係を結ぶか―経済関係は人間社会の土台をなしているという見方です。

 二つめは、社会の仕組みは交代し、いまの社会はいつまでもあるわけではないということです。マルクスは人間社会を不変不動と見ず、原始共同体社会、奴隷制社会、封建制社会、資本主義社会と発展的に概括し、そのさきに社会主義・共産主義社会を展望しました。

 三つめは、その社会の動きの主役をなすのが「階級」だということです。「これはいまではごくごく当たり前になっている」と不破さん。国会論戦の一つをとっても、政策でどの階級にプラスかマイナスかが一番問題になるし、歴史を区別するうえでも「階級」は常識になっています。

歴史観の変革

 この見方は、戦後、日本の歴史観の大変革をもたらしました。終戦まで日本の歴史は「天皇家と忠実な家臣」で組み立てられた“英雄冒険の歴史”で描かれていました。しかし、マルクスの社会観で日本社会を概括すると、原始共同体→奴隷制→封建制→資本主義と発展しています。「マルクスの見方は、過去の歴史も現在の社会の実態も無限の例証をもっている」(不破さん)のです。

 この社会観を根本の柱にしているのがマルクスの経済学です。

 不破さんは、マルクス以前の経済学について「さまざまな法則や概念はつくりあげたものの、資本主義以外の社会は目に入らなかった」と指摘し、16世紀に誕生した資本主義が400万年の人間の歴史からみればほんの「一段階」にすぎないことを解き明かしました。

 「経済といえば、利潤を増やすことが目的とされますが、資本主義が誕生する前までは利潤が目的の社会ではなかった」「マルクス以前の経済学では、恐慌がおきることの理論的な解明はできませんでした。しかし、マルクスは、なぜ恐慌が生まれるのかを資本主義の仕組みの中に見いだし、どういうたたかいをしなければいけないかを明らかにしたのです」

 参加者からは「(マルクスは)昔の人の思想だと思っていましたが、意外と新鮮。資本主義は歴史の一定段階だというマルクスの考え方が印象に残った」(東海大学1年生)、「マルクスの世界をとらえる際の視野の広さが伝わって感銘を受けた。既存の状況を大いなる流れの一断片ととらえているのは本当に面白い」(東京大学1年生)、「資本主義を歴史の通過点としてみることが、その限界をみて、乗り越えていくことができると思った」(和光大学4年生)など、新たな発見の感想が寄せられました。

資本主義の三大災厄

 「現代のわれわれが突き当たっている問題を見事にマルクスが言い当てていることに気づいた」(中央大学2年生)、「資本主義の矛盾から環境問題を説明した点は実に斬新で新鮮」(東京大学1年生)――。第1回セミナーの最後に不破さんが告発した資本主義の矛盾がはらむ三大災厄(貧困と格差、恐慌、地球温暖化)にも大きな反響が寄せられました。

 不破さんは、結果に責任を負わない利潤第一主義の無責任さをマルクスが『資本論』で「大洪水よ、わが亡き後に来たれ!」と表現し、その害悪をとめる力を「社会による強制」に見いだしたこと、イギリスの工場立法に始まった「社会的ルール」づくりの闘争は「社会による強制」であり、その後の世界がこの方向で大きく動いてきたこと、いま日本共産党がめざす「ルールある経済社会」もまさにその流れにそったものだと強調しました。

 恐慌が、消費と生産との矛盾という資本主義的生産の自己矛盾からひきおこされることを科学的に解明したのもマルクスでした。資本主義は80年前の大恐慌以後、ケインズ理論をよりどころに恐慌を国家の介入で防ごうとしたものの、結局行き詰まり、それにかわって登場した「新自由主義」も貧富の格差の拡大など矛盾を激化させ、ついに世界経済危機を引きおこしました。

地球管理能力

 さらに不破さんは、「地球温暖化はもっと深刻だ」とのべ、18世紀の産業革命以降の急激な温室効果ガスの増加が、31億年にわたる生命と地球の共同作業でつくりあげられた地球大気という“生命維持装置”を壊し始めていることを明らかにし、「資本主義がもしこの危機を解決する力をもたないとしたら、もはや資本主義には地球管理能力がないといわざるをえない」と断言しました。

 参加者からは「自分が今まで大学で学んできた分野では4年間、ついにマルクスの名を聞くことはありませんでした。マルクスのものの見方で今の世界をとらえると、こんなにすっきりと理解できるのか! と思いました。もう少し早くこの見方をしっかり学んでいたら、自分の学問への接し方も少し変わっていたかもしれない」(東京学芸大学4年生)、「『大洪水よ、わが亡き後に来たれ』という言葉はあらゆる面で目に見えるようになってきていると思います。今後の自然発展の壮大なロマンを想像すれば自分一人だけなんとかなればいいという考え方に落ち着いてはいられないと思った」(神田外語大学2年生)などの感想が寄せられています。

第2回 マルクスの眼で見た21世紀の日本と世界

21世紀の資本主義はどんな段階に・・・

 第2回セミナーのテーマは「マルクスの眼(め)で見た21世紀の日本と世界」です。500年前から未来社会まで時空を駆け巡って人間社会の発展模様を描き出した不破さんの講演。「正直、今まで資本主義がどーとか社会主義がどーとか1ミリも考えたことなんてなかった。でも、『意外とおもしろそうじゃん!!』って思いました。それと同時にショックでもあった。マルクスさんは地道に大胆な人だと思った。もっといろんなことを勉強していきたい」(千葉科学大学1年生)など参加者に新鮮な「ショック」を与えました。

二つの大変化

 不破さんはまず、21世紀の資本主義がどんな段階に来ているかをみました。

 16世紀に「世界の片隅」のヨーロッパで生まれた資本主義は、19世紀にはほぼ世界全体を植民地として支配します。20世紀は資本主義が最も栄えた時代ですが、その時代に二つ大きな変化が始まりました。一つは「社会主義をめざす国」が資本主義を離れたこと。もう一つはアジア・アフリカ・ラテンアメリカの植民地が資本主義の支配から離れたことです。

 「この流れを見事に図解したグラフ」(10月19日付の朝日新聞グローブ)を不破さんは黒板に張り出しました。アメリカ・ドイツ・日本・中国のGDP(国内総生産)が世界の中で占める割合をOECD(経済協力開発機構)の数字で500年にわたって追跡したものです。16世紀に断トツのトップだった中国は20世紀初めに「どん底」に落ち込みますが、現在は世界第2位におどりあがるところまで急浮上しています。

 また、ソ連解体後14年間の経済成長率をみると、社会主義をめざす国が4・8倍、アジア・アフリカ・ラテンアメリカが2・4倍に伸びているのに対し、発達した資本主義国は1・8倍にとどまります。

ひたひた迫る

 不破さんはこれらの事実を語った上で、現代をこう特徴づけました。「みなさんがいま生きているのは、資本主義が世界の一部分になった時代です。こういう歴史をたどってみると、新しい時代がひたひたと迫っている様子がよくわかるのではないでしょうか」

 歴史の中で浮かび上がる資本主義の位置。参加者から「今まで社会主義国というと経済的にあまり発展していない国。資本主義は発展している、世界の大半を占めているイメージであったが、そのような浅い考えが変わった。世界の見方が今まで表面的だったことを知った」(東京大学1年生)などの感想が出されました。

社会主義への動きは・・・

 では、社会主義への動きはどうなっているのでしょうか。不破さんは、▽社会がどのように変われば資本主義の矛盾を解決できるか▽社会主義をめざしている国ぐにをどういう角度からみるか―の二つの論点で講演を進めました。

 「マルクスのめざす未来社会は切実に求められている」(東京大学3年生)と多くの参加者の共感を呼んだのが、未来社会論です。

 マルクスは未来社会の設計図を描いたのではなく、「資本主義を乗り越えるには歴史はどういう流れになるか、その全貌(ぜんぼう)を明らかにしました」。不破さんはこう語り、第1回セミナーでのべた資本主義の三大災厄の根源として「経済が資本の利潤を第一の目的にして動く」利潤第一主義をあらためて指摘しました。

生産者が中心

 「利潤を目的に経済が動いたのは、人類何百万年の歴史の中で400~500年間だけ。その利潤第一主義がこれだけの災厄を生むなら、そこから見いだすべき展望は、社会をこの主義から解放することです」

 さらに不破さんは、巨大な生産体制を社会が握り、生産者の集団が主人公になってそれを動かす社会主義社会の展望を語りました。それは、資本主義の災厄が克服されるだけでなく、生存に必要な経済活動以外の「自由の時間」が生まれ、すべての人間がもっている能力を全面的に発揮できるようになる社会です。

 こうした解明は、参加者に衝撃を与えました。「利潤第一主義が当たり前の時代は人類の歴史の一部にすぎないという考え方に、とても驚かされた」(中央大学1年生)、「生産者が中心の社会、そして自由な時間が保障され、自分の才能を開花でき、利潤以外の面で人間的な発展ができるようになってくれたらいいな」(日本社会事業大学1年生)

 続いて不破さんは、社会主義をめざす中国・キューバ・ベトナムの現状を語りました。

 中国のGDPは急成長しているものの、1人あたりでみれば日本の15分の1以下です。不破さんは、これらの国は資本主義の発展が遅れた状態から出発した「社会主義を目標にしている発展途上国」であり、「これから資本主義と社会主義の競争の本番が始まる」とのべました。

 「資本主義と社会主義をめざす国との競争で、どちらが人・地球により良いかを見ていきたいなと思いました」(中央大学2年生)、「(中国などが)『社会主義をめざす国』である、社会主義の発展途上国である、という話を聞いて、なるほどと思い、違和感が軽減された。世界を、社会を、自然を丸ごととらえるために、より深くマルクスを学んでみたい」(千葉大学3年生)などの感想も。

アジア・アフリカ・ラテンアメリカの動き

 「このグループがどうなっているかをみないと、今の世界の流れがわからない」。不破さんが講演でこう強調したのが、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの動きでした。

世界観を超え

 不破さんは第一に、イスラムの国ぐにとの交流を紹介しました。日本共産党は「異なる価値観をもつ文明の接近と共存」に力をつくし、覇権主義に反対する立場をとって、ソ連のアフガニスタン侵略にも反対を貫きました。「こうした立場が明確なら、世界観を超えた共存が広がりうる時代。これが私たちの外交の大事な経験です」

 1991年の湾岸戦争前、サウジアラビアの大使館に「性急な軍事行動」反対のメッセージを伝えに行くと、大使は「共産主義者とは席を同じくしない」と日本共産党代表と5メートル以内に近づきませんでした。ところが2002年、イラク戦争に反対した際には、新しい大使が近寄って「不破さんたちの手紙は国王に確実にとどけました。アジアの心は一つです」。続いて共産党の代表団として初めてのサウジアラビア訪問も許可されました。こうしたエピソードを不破さんが語ると、会場は驚きに包まれました。

 「イスラムの国サウジアラビアの『社会主義キライ』の態度を『日本共産党ならいいよ』に変えたエピソードにはびっくりしました。異文化コミュニケーションのねばり強さをみました」(日本大学4年生)

 次に不破さんが語ったのは、ラテンアメリカで進行中の巨大な変化です。

 99年にベネズエラでチャベス大統領が当選し、一歩一歩選挙で民意を確かめながら革命を進める道に踏み出すと、ラテンアメリカでは次つぎに左派政権が誕生。人口の6割が左派政権のもとで暮らすまでになっています。こうした変化の中から「『ソ連とは違う新しい社会主義』が合言葉になってきた」と指摘した不破さんは「共産党とは違う勢力でも、アメリカの覇権主義とたたかい、国内改革をやろうと思うと、社会主義が目標に浮かんでくる。ここには現代の時代的特徴があらわれています」といいました。

 参加者からは「ラテンアメリカの話には、すごく驚きました。共産党以外の党で社会主義を訴えるほど、資本主義が批判されている時代なのだと思いました」(日本社会事業大学1年生)など世界の激動ぶりに目を見張る感想が寄せられました。

世界の中で日本資本主義を見てみよう

 「みなさんが生きている日本は、非常に特殊な資本主義国家です」。不破さんは世界の中でみた日本資本主義に移りました。「社会的ルール」づくりの遅れと国家的な対米従属という、「二つの異常」が特徴です。

 日本の大学の学費は国立で約82万円、公立で94万円、私立で130万円なのに、フランスでは国立で2万4000円(いずれも初年度)、しかも私立の大学はない―。あまりの違いに、学生たちがどよめきます。

 「ヨーロッパでは社会的ルールづくりが大学生活にまで及んでいるわけです。同じ資本主義でも、なぜこんなに違ってしまうのか」

「三つの画期」

 こう問題を投げかけた不破さんは、世界で社会的ルールづくりが進んだ三つの画期を語りました。

 (1)イギリスに工場法ができた19世紀半ば。日本はまだ江戸時代でした。

 (2)1917年に革命を成功させたロシアが社会保障の旗を掲げた時代。日本では幸徳秋水の大逆事件のあとで運動が締め付けられていました。

 (3)フランスの人民戦線政府のもとで抜本的な労働条件の改善が勝ち取られた1930年代。日本は戦争に突入、共産党はつぶされ、運動は過酷に弾圧されていました。

 「その状態を突き破って世間並みの体制をつくる課題を、戦後も財界中心の政府が押さえ込んできた。だからあらゆる面で遅れている。ルールある経済社会づくりは、やりがいのある、収穫の多い仕事です」

 対米従属の問題では、基地と軍事同盟の問題にくわえ、アメリカ資本が日本に入りやすくするための「構造改革」を毎年アメリカに突きつけられ、進ちょく状況を報告する仕組みがあると指摘した不破さん。「こんな仕組みをもっている国は世界にない」とのべました。

 「日本の社会を前に進めようと思ったら、この二つの災厄を取り払わなければなりません。ここに日本国民のエネルギーが一番発揮されるでしょう。それに成功したら、自分の力で変えられるという自信をもって、さらに社会を変える課題に進むでしょう」

 参加者は、実生活に引き付けて感想をつづっています。「日本の資本主義がルールなきものであることに改めて疑問であり、せめて学費だけでも安くできるように署名活動に精力的に取り組もうと思った」(中央大学1年生)、「毎日生活していても、いろんなことが漠然としていて世界のことも日本のことも見えにくい。私自身が目を向けていず、お金の心配やどう生きたらよいのかだけ考え、わからずにいた。歴史があり、その中で今や日本や世界を見ていこうとすると、日々に意味が生まれてくると思った」(会社員・30歳)

質問への答えと結び

 講演の最後で不破さんは、第1回セミナーで参加者から寄せられた質問に答えました。

物理役立つ?

 「物理の勉強が政治の世界で役立ったことがあるか」

 この質問に答えて不破さんが語ったのは、74年の「分析化研事件」。日本に入る米国の原子力潜水艦の放射能汚染を調べる仕事が分析化研という研究所に委託されていました。この研究所が出した「でっち上げのデータ」を発見した前後の経緯を不破さんが語ると教室からは爆笑が。

 最後に「現代を幸せな時代だと思うか」との質問を取り上げた不破さんは、マルクスの盟友エンゲルスのエピソードを語りました。

興味深い時代

 「19世紀のドイツでデューリングという人物が、未来の人間が現代をみたら未熟で幼稚な人類史の太古の時代だったとばかにするだろうといったんです。エンゲルスは反論しました。そんなことは絶対にない。この『太古』は、動物の世界から出てきたばかりの人間が、未来社会の人間が二度と再びぶつかることのないような大変な困難を克服してきた経過をその内容にしている。だから将来のすべての世代にとってこの時代は『いつまでも歴史上のきわめて興味深い一時代であり続けるだろう』と」

切り開く思い

 「これはエンゲルスの名言だと思います」。こうのべた不破さんは、次の言葉で講演を締めくくりました。

 「私は社会主義の将来、未来社会について話しました。おそらくそこで生きる人間は、今よりもっと発展しているでしょう。しかし、そこへの道を切り開く時代に生き、切り開くことに参加するのは、生きがいのあることではありませんか」

 現代という時代へのこの意義付けに、若い世代の感想はとりわけ集中しました。

 「今の時代を『生きがいのある時代』『激動の時代』ととらえ、未来につなげていく、役立てていくという考えを、ただの楽観的見地ではなく、マルクスの考察から説得力をもって話してくれたことに、素直にうれしさを感じます」(専修大学3年生)、「最後の“エンゲルスの名言”に大変感銘を受けました。エンゲルスやマルクスの著書にまた触れてみようという気持ちになりました」(武蔵野市の青年)

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