核兵器廃絶の流れの中でも露わになる日本の外交戦略不在
GAKUさんのブログ「Internet Zone--WordPressでBlog生活」の記事(エントリー)で知りましたが、そこにある同じ毎日新聞の記事を引用させて貰います。
日本に駐留するアメリカ軍には、日本を防衛する任務の部隊は1つもなく、アメリカ自身の軍事・外交戦略に則って第三国を攻撃する部隊しかいないのにも拘わらず、日本政府は、日米安保条約によって日本の安全は守られていると偽りを述べて、日本の安全保障を蔑ろにしてきました。最近の国際政治においてさらに大きく成長してきた核兵器廃絶の流れの中で(4月30日の記事参照)、その日本政府の無責任な安全保障政策と外交戦略の不在が、一層露わになってきています。
風知草:麻生の手紙、志位の手紙=専門編集委員・山田孝男
(毎日新聞 2009年6月1日 東京朝刊)「すげえ話だ」
「どの辺が?」
「だって、核兵器を持ってる国が捨てると言ったんだからこれは、すげえ話よ」
× × ×
オバマ米大統領の核兵器廃絶演説をめぐる麻生太郎首相と志位和夫共産党委員長の対話(5月20日)である。15分間の党首会談。もちろん、「すげえ」を連発したのが首相だ。
いかにも、オバマ演説(4月5日、プラハ)は歴史的だった。最大の核保有国の指導者でありながら「核兵器のない世界をめざす」と誓った。そのために行動することが、広島、長崎に原爆を落とした米国の「道義的責任」だと言った。
志位が4月28日付でオバマに称賛の手紙を送ったところ、5月5日付で返書(デイビス国務次官補代理の代筆)が来た。大統領の謝意に続いて「日本政府との協力を望む」とあり、それを麻生に伝えた。
実は麻生も演説を聞いてオバマに親書を送っていた。こちらは4月15日付。非公表だが、本紙報道によれば、核兵器の廃絶宣言を支持しつつ、「日米安保体制の下における核抑止力を含む拡大抑止は重要」だとクギを刺したという。
拡大抑止とは、強国が自国だけではなく、同盟国の防衛にもにらみを利かせること。「いざとなったら『核の傘』で守ってくださいよ」と麻生は大統領に念押しした。中曽根弘文外相の軍縮演説(4月27日)にも同じ表現が出てくる。
「それでは核抑止という考え方自体を否定したオバマ演説と相いれない」と見る志位は、米側に拡大抑止は求めず、言葉を選びながら、核拡散防止条約(NPT)体制が揺らいでいる責任は核廃絶の努力義務を負いながらサボってきた核保有国にこそある、と書いた。
この手紙の作成に志位はエネルギーを集中した。パソコンで推敲(すいこう)を重ね、一度書き上げて破り捨て、半徹夜で400字詰め原稿用紙にして7枚の原文を仕上げた。英訳し、共産党委員長として初めて在日米大使館に乗り込み、ズムワルト臨時代理大使に手渡している。
東京の麻生・志位会談と同じころ、オバマは、ホワイトハウスにキッシンジャー、シュルツ(ともに共和党政権の元国務長官)、ペリー(民主党政権の元国防長官)、ナン(元上院軍事委員長、民主党)の4人を招き、意見交換していた(現地時間5月19日)。
かつて「力の均衡」に基づく核戦略の中枢にいたこの4人は、米ウォールストリート・ジャーナル紙の連名の寄稿(07年1月4日付と08年1月15日付)で「抑止力の有効性は低下する一方で、核廃絶しかない」と訴え、反響を呼んでいた。
オバマと超党派の大物4人の連携は、外務省のある幹部に言わせれば「自民、民主の大連立並みの衝撃」。別の幹部は「核兵器に依存しない新しいパワーストラクチャー(国際間の権力構造)を生み出すチャンスだが、我々は核政策について掘り下げて考えた経験がなく、準備がない」と指摘した。
手紙を出して記者会見、返事をもらってまた会見という張り切りようで「はしゃぎ過ぎ」とからかわれている志位だが、戦略不在の空白を突いた鋭い切り込みだったと思う。
ワシントンと世界の新潮流が戦後の日本の常識を超え、なかなか「すげえ」ことになった。どうするのか。政治の構想力が問われている。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
核廃絶:国会決議へ調整…抑止力めぐり難航も
(毎日新聞 2009年5月8日 21時17分(最終更新 5月9日 0時49分))核廃絶を目指す包括的戦略を表明したオバマ米大統領のプラハ演説を受け、核廃絶を求める国会決議の採択に向けた動きが出てきた。衆院議院運営委員会は8日の理事会で、決議の案文を調整して与野党協議に入ることで合意した。この種の国会決議は最近10年間は行われていない。だが米国の「核の抑止力維持」を求める議員と、核完全廃絶を訴える議員の隔たりは大きく、調整は難航が必至だ。
民主党は「核廃絶・軍縮・不拡散に向けた努力を一層強化すべきだ」などとする決議案文を各党に非公式に示している。文案が抽象論にとどまるのに社民党は難色を示している。
理事会後、社民党の福島瑞穂党首は国会内で河野洋平衆院議長と面談。河野氏は「プラハ演説直後に、日本も『その通りだ』と言うべきだった。非核保有国が機運を作らなければいけない」と語った。プラハ演説の翌日、河野氏は横路孝弘副議長らに決議の採択を検討するよう提言していた。
麻生太郎首相は、オバマ大統領への親書で「日本にとり、日米安全保障体制下での核抑止力を含む拡大抑止は重要」とプラハ演説にクギを刺した。河野氏の発言は、こうした姿勢を暗に批判したとみられる。だが、麻生首相は8日の衆院予算委員会でも、核開発を続ける北朝鮮を念頭に「核の抑止力は日本にとって大きな要素」と答弁した。【野口武則、木下訓明】
« 映画「60歳のラブレター」 | トップページ | 映画「ゾラの生涯」 »
「政治2(日本外交3-核兵器)」カテゴリの記事
- 核兵器廃絶の流れの中でも露わになる日本の外交戦略不在(2009.06.03)
- 世界は変わり始めた-憲法9条が生きる時代(補充)(2009.05.03)
- 核兵器廃絶問題 志位委員長がオバマ米大統領に書簡(補充)(2009.04.30)
- 核武装容認の小池氏就任は安倍首相の考えが問われる重大人事(2007.07.05)
- 原爆神話と核抑止力論の虚構に立つ読売社説、愚かなり(2007.07.05)
「政治3(世界1-アメリカ2-外交)」カテゴリの記事
- アメリカにとっての中国、日本、ヨーロッパ-外交問題評議会会員への世論調査(2009.12.08)
- 核兵器廃絶の流れの中でも露わになる日本の外交戦略不在(2009.06.03)
- 核兵器廃絶問題 志位委員長がオバマ米大統領に書簡(補充)(2009.04.30)
- イスラエルがアメリカ軍ミサイル防衛システムを配備(2008.09.30)
- 原由100ドル―求められる投機マネーの規制(2008.01.05)
「政治1(日本02-日米安保)」カテゴリの記事
- 松竹伸幸『幻想の抑止力 沖縄に海兵隊はいらない』(2010.06.23)
- 「無条件撤去」「日米安保なくせ」が沖縄で多数に(2010.06.06)
- 名護市長選、稲嶺ススム氏当選(2010.01.25)
- 五百旗頭真・防衛大校長、「辺野古に騒音問題ない ジュゴン見た人いない」と、米軍基地「移設」を主張(2009.12.07)
- 「私たちより米大事か」外相に名護住民怒号(読売新聞)(2009.12.06)
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 核兵器廃絶の流れの中でも露わになる日本の外交戦略不在:
» どちらに行くか、それが問題だ [JCJ機関紙部ブログ]
今週の土曜日ですので再度お知らせします。
同じ日にマスコミ9条の会の集会と重なっているので、参加者が少なくならないか心配しています。
結局、紙面がきつくなったので出しませんでしたが、日程が重なったことで注目度を高めようと、機関紙5月号には、以下のような記事を準備しました。
どちらに行くか、それが問題だ
6月6日、JCJ マスコミ9条の会がともに集会
K 残念だね。JCJの6月集会とマスコミ九条の会の集会が重なってしまった。
S 当方の「共同討論 米国... [続きを読む]
» 『秋葉原』事件から1年 [関係性]
あの事件から1年が経ち、被害者やその家族の気持ちを思うと、いたたまれない気持ちになる。そして、二度とこのような事件を起こさせないためにも、今抱えている金融不況とのつながりの深さを思い起こすことも大事である。
最近の経済ニュースからは不況の底打ちを示すデータが多くなっているが、その中で失業率が上がっている実態が隠されている。
この事件と金融不況の実質的時期(首切り)との関係を、4月4日付け「景気予測と関係性」としてエントリーした。
この中で、「加藤容疑者が働く自動車塗装会社は横須賀にあり、1... [続きを読む]
» 千葉市民の反自公の有権者はくまがいさんに! [日本国憲法擁護本当の自由主義と民主主義連合〜法大OBのブログ]
いよいよ今日投票の千葉市長選挙がせまっています。情勢ではくまがいさんが圧倒的な勝利をするといわれていますが、自公政権を今夏夏に選挙で完全打倒するためにも、くまがいさんの圧倒的勝利が極めて重要になっています。
とくに訴えたいことは、日本共産党シンパの方々に対してです。日本共産党系の候補者が出馬されていますが、今度の千葉市長選挙では自公に打撃を与える意味でも、来る総選挙で自公を選挙で下野に追い込むためも、ここは立場を超えて民主党・社民党推薦のくまがいさんを支援してほしいということです。
西松建設問題... [続きを読む]



コメント