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2008年7月20日 (日)

尾崎芙紀「問われる『二国家解決』の中身―パレスチナ問題はどこまで来たか―」(『軍縮地球市民』第11号(2008年冬号))

 今年初頭に、日本共産党国際局員の尾崎芙紀さんが、「問われる『二国家解決』の中身―パレスチナ問題はどこまで来たか―」と題する論文を、『軍縮地球市民』に書かれていたことを、つい最近知りました。パレスチナ問題の根本を理解できる論説は、手近な媒体ではあまりないと僕には思えるので貴重だと思います。ご本人と編集者の方の許可を頂きましたので、掲載させて頂きます。ありがとうございました。

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 アナポリス会議については、1月2日の記事を参照。

 最近の和解と停戦の動きについては、7月15日の記事を参照。

 尾崎さんの論文は他にも昨年10月9日の記事参照。

問われる「二国家解決」の中身
 ――パレスチナ問題はどこまで来たか

(『軍縮地球市民』第11号(2008年冬号))

尾崎芙紀(日本共産党国際局員)

 昨年十一月末、米メリーランド州のアナポリスで、米国主催の中東和平国際会議が五十四カ国・国際機関の参加で開かれた。オスロ合意の破たん以来、和平交渉は七年ぶりだ。和平の前進を期待する声もあるが、パレスチナ人の運動の分裂さなかだったことに加え、交渉の前途を占う次のような発言が波紋を呼んだ。

 一つは、ブッシュ米大統領が参加者を代表して読み上げた「合意」だ。「二国家解決」と言いつつ、解決のために避けて通れない「国境」「難民」などに何一つ触れていない。潘基文国連事務総長の前で国連に一言も触れず、「米国が『和平ロードマップ』の履行を監視・判断する」と述べ、国連排除と米国主導を強調した。

 二つ目は、イスラエルのオルメルト首相の第一声「私は今日、エルサレムからやって来た」という発言だ。テルアビブを首都に一九四八年に建国したイスラエルは、直後の第一次中東戦争でエルサレムの西半分を占領、六七年の第三次中東戦争で東半分も占領、八○年には、圧倒的多数の国々の反対にもかかわらず、東西を統合して「統一エルサレムはイスラエルの首都」と宣言した。だが、国連が同国のエルサレム領有権を公然と認めたことはなく、現在エルサレムに大使館を置いている国もない。これらの発言は、国連と国際社会への挑戦となっている。

「二国家解決」を損なう入植地

 国連のパレスチナ分割決議は、ユダヤ人国家にパレスチナの五七%の土地を与えた。イスラエルは第三次中東戦争までに、さらに二○%の領土を支配下におき、第三次中東戦争で残りの二三%、つまりヨルダン川西岸とガザすべてを占領した。パレスチナ人は一九八八年、最高意思決定機関である国民評議会で分割決議を認め、二三%の土地に独立国家を樹立することに合意、「分割決議はパレスチナ人の自決権を奪ったが、この決議は今なお、パレスチナ人の独立の権利を保障する国際的な法的枠組みとなっている」と宣言した。

 かつては「難民問題」としてしか扱われなかったパレスチナ問題が、七○年代半ば以降、「独立国家樹立を含むパレスチナ人の民族自決権」(国連総会決議)の問題として認められるようになった。近年、国際社会の認識が大きく変化し、中東和平のためには「二国家」が共存するしかないとの見方が広がってきた。一方で、「二国家」を口にしながら、事実上パレスチナ人の自決権を棚上げしようとする動きが一部で強まっている。

 それは何よりも、占領地を占領地と認めない立場、占領地へのイスラエルの入植地建設を容認する立場に表れている。現在、西岸には入植地百二十カ所以上、四十五万人ものユダヤ人が住む。二○○二年からは、高さ八メートルの分離壁が占領地に食い込んで建設されている。国連は昨年、第三次中東戦争四十周年にあたって西岸の地図を作製した。これによると、占領地のすでに四○%が入植地や分離壁、入植者用の道路でパレスチナ人の立ち入り禁止・制限区域になっている。国際司法裁や国連は、これらを「国際法違反」と決議、カーター元米大統領らも「入植地問題が中東和平への主要な障害になっている」と厳しく批判している。しかし、イスラエルはブッシュ大統領の「入植地の現状容認」の言質(二○○四年)をたてに、アナポリス会議後も土地収奪を止めようとしていない。

時間切れを危惧するイスラエル

 いま「二国家解決」が時間切れになることを恐れる声が相次いでいる。パレスチナ側は、イスラエルによる土地収奪によって、「国家」はできても国家の体をなさないのではないかと恐れている。

 一方、イスラエル側は、「二国家解決」が破綻すれば、「ユダヤ人国家」が終焉するのではないかとの危機感を強めている。イスラエルのユダヤ人六百万人。占領地住民や難民、イスラエル内のアラブ人計九百万人を抱え込めば、純粋なユダヤ人国家ではなくなるからだ。オルメルト首相がアナポリス会議で「ユダヤ人国家イスラエル」を保証するよう要求し、物議を醸した。戦乱のなかで国を離れざるを得なかった難民の合法的な帰還権を拒否すると同時に、イスラエル内のアラブ人差別につながるからである。占領地のパレスチナ評議会議員らは、この要求を人種主義的だとして次のように批判している。「国連の分割決議にある『ユダヤ人国家』は、西欧の『ユダヤ人問題』を解決するため、パレスチナ人の権利を脅かさない限りで、パレスチナの一部をユダヤ人に与えるものだった。こうした経過で建国された国が、他民族を差別するユダヤ人だけの国であってよいのか」。

世界と現地の反応

 昨年来、国連関係者が相次いで米政権の中東政策を批判し、さらに国連への苦言を呈してきた。例えば、アルバロ・デソト前国連中東特使は、米国のイスラエル偏向が国連の和平仲介の公平性を奪ってきたと告発し、ジョン・デュガード国連人権特使も「国連はパレスチナ諸勢力の仲介どころか、米国の影響を受けて分裂の一方の側を支援している。これは国連がとるべき態度ではない」と批判した。

 現地でも新たな状況に対応した運動が模索されている。イスラエルでは、多様な平和組織が、政府のパレスチナ人抑圧と土地収奪に反対して、困難ななかで地道な運動を続けている。パレスチナでも、長年の運動のなかで生じた問題と外部の干渉が相まって起きた深刻な内部分裂を克服し、ハマスとファタハの和解を実現するための努力が続いている。占領下でも公正な地方選や総選挙を行なってきたパレスチナ人が、両勢力だけでなく第三政党の成長も視野に入れた運動を展開しようとしている。

(おざき・ふき)

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