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2008年6月16日 (月)

南米諸国連合(UNASUR)設立条約調印、リスボン条約否認

 歴史と経緯、また局面も異なる、中南米カリブ海諸国とヨーロッパであり、また、片や条約の調印、片や条約の否認ですが、諸国民の求めているものには共通性が窺えます。

 南米諸国連合(UNASUR)設立条約は、「統合は多国間主義の強化に向けた決定的な一歩」だと強調し、主権の平等に基づいた多極化世界、核兵器や大量破壊兵器のない世界を目標として明記すると共に、「社会的、経済的な不平等の根絶」も掲げ、貧困や社会的排除とたたかう決意を強調しているそうです(外務省の解説はここ)。

 他方、リスボン条約は、欧州委員の削減などの機構の効率化や迅速な決定が可能な多数決制を採用し、常任議長として任期2年半の大統領を選出、外相に相当する外交安保上級代表がEUとしての外交を統括するなどEUの機能を強化するものであり、反面、ストなどの社会権を明記した「欧州基本権憲章」は条約本文には盛り込まれず、付属条項で触れられるにとどまりました。

 リスボン条約否認を受けて、フランスのジュイエ欧州問題担当閣外大臣は「欧州の戦略と市民の懸念との間には、かなりの温度差があることを示した」と述べ、欧州議会内の社会党グループ「欧州社会党」のマルチン・シュルツ代表(ドイツ)は、「われわれが望んでいる欧州とは・・・より社会的な欧州だ」と述べたそうです。

 ここに窺える共通性に注目しておきたいと思います。それは、後期高齢者医療制度の問題、派遣労働の問題、憲法9条の問題、米軍再編の問題などで揺れる日本の政治にも見られる共通性だと思います。新自由主義と総括される今の資本主義社会の到達点のままでは社会が立ちゆかなくなっていることを示しており、少なくとも資本主義のバージョン・アップが求められているのだと思います。

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 関連するしんぶん赤旗の記事を引用しておきます。

2008年6月15日(日)「しんぶん赤旗」

リスボン条約承認否決
アイルランドで国民投票

 【パリ=山田芳進】欧州連合(EU)の新しい運営体制を定めた基本条約、リスボン条約批准の賛否を問うアイルランドの国民投票(十二日)が十三日、開票され、53・4%の反対で否決されました。投票率は53・1%でした。

 リスボン条約は二十七の全加盟国の批准が必要なため、二〇〇九年一月の発効はなくなりました。同条約は、多数決制、大統領職などを導入し、EUの機能強化をめざしたもの。しかし前身の欧州憲法条約が〇五年にフランス、オランダの国民投票で否決されたことに続き、再び挫折しました。統合深化と拡大を続けてきたEUは当面、停滞が避けられないとみられています。

 条約はこれまで十八カ国が国会の多数により批准。アイルランドだけが憲法上の規定で国民投票を実施しました。

 欧州委員会のバローゾ委員長は同日声明を発表し、国民投票の結果を尊重するとしつつ、アイルランドの投票結果は、リスボン条約が解決しようとしていた問題を解決したことにはならないと主張。十九、二十日に開かれるEU首脳会議で対応を協議すると述べました。

 リスボン条約 二〇〇七年十二月、ポルトガルの首都リスボンで調印された基本条約。欧州委員の削減などの機構の効率化や迅速な決定が可能な多数決制を採用しています。輪番制のEU議長国に代わり、常任議長として任期二年半の大統領を選出し、外相に相当する外交安保上級代表がEUとしての外交を統括するなどEUの機能を強化。前身の欧州憲法に比べ、国歌・国旗や憲法の名称は削除し、連邦的な色彩を薄めました。ストなどの社会権を明記した「欧州基本権憲章」は条約本文には盛り込まれず、付属条項で触れられるにとどまっています。

解説
市民と政府ずれ浮き彫り

 アイルランド国民は、十二日に行われた国民投票で、リスボン条約批准拒否の意思表示をしました。この結果は、欧州統合を深化させようという各国政府の姿勢と、EU各国の市民の間にある不安とのずれを浮き彫りにしました。

 欧州議会内の社会党グループ「欧州社会党」のマルチン・シュルツ代表(ドイツ)は、「アイルランドの労働者が反対した事実が示すのは、われわれが望んでいる欧州とは、食料や燃料価格の高騰など、市民が日常生活で持つ危機感にこたえることのできる、より社会的な欧州だ」と述べました。

 各国で国民投票の実施を求めていた左翼政党などで構成する欧州統一左翼グループ代表のフランシス・ビュルツ氏(元仏共産党国際局責任者)は今回の結果を「有益な衝撃」と歓迎しました。

 もともと、欧州の左翼は欧州憲法のときから「新自由主義的条項がある」と批判。燃料高騰で漁民やトラック運転手などのストが相次ぐ中、有効な対策を打ち出せないEUに批判が集まっていました。

 理解が進まないままでの基本条約批准には国民の不安感も強く、アイルランドの反対派は、同国に伝統的にある平和・中立の外交政策を背景に「主権国家を見捨てるのか」とキャンペーン。投票結果は、基本条約による国家主権制限の可能性への不安が反映したものです。

 バローゾ欧州委委員長は、残りの国での批准手続きは「継続されるべきだ」とし、リスボン条約になお執着する構えです。しかし「欧州の戦略と市民の懸念との間には、かなりの温度差があることを示した」(フランスのジュイエ欧州問題担当閣外大臣)と認めざるをえない状況です。(パリ=山田芳進)

2007年12月15日(土)「しんぶん赤旗」

EU 新基本条約調印
欧州統合 新たな段階へ

 欧州連合(EU)加盟国二十七カ国首脳らは十三日、ポルトガルの首都リスボンで新基本条約「リスボン条約」に調印しました。加盟国の批准を得て二〇〇九年に発効を目指します。EUは大統領と外相を置く新たな体制に移行し、欧州統合の深化への新段階に入ります。

 現地からの報道によると、調印式で議長国ポルトガルのソクラテス首相は「この条約はわれわれの前の世代が夢見たものであり、未来へのビジョンをもつものだ」と訴え。フランスのサルコジ大統領は「欧州は押しとめられ、前に動くことができなかったが、この条約で解決した」と指摘。EUの執行機関、欧州委員会のバローゾ委員長は「完ぺきなものではないが、東西に分断されていたヨーロッパが初めて共通の条約によって統一された」と語りました。

 新条約では、これまで輪番制のEU議長国に代わり、常任議長として任期二年半の大統領を選出し、欧州委員会の副委員長も兼ねる外交安保上級代表(事実上の外相)がEUとしての外交を統括します。EUの決定方式としては、迅速な決定が可能な多数決制が大部分で採用され、加盟国数による決議と、総人口を基準とする決議という「二重の決定方式」が二〇一七年までに導入されます。

 「リスボン条約」は前身の欧州憲法が〇五年にオランダ、フランスの国民投票で否決され、発効できなくなったことから、全体として欧州憲法の内容を引き継ぐものの、いくつかの点で変更がある新条約としてつくられました。

 EUを巨大な国家とするような構想に反対が強かったため、「リスボン条約」では国歌・国旗などは採用されず、憲法の名称も使用されませんでした。

 EUの市民の権利やストなどの社会権を明記した「欧州基本権憲章」は、英国やポーランドが「自国の法律でスト権制限や家族倫理を定めている」と反対したため、条約本文には盛り込まれず、付属条項で触れられるにとどまりました。

2008年5月25日(日)「しんぶん赤旗」

南米諸国連合設立へ
12カ国首脳会議 条約調印
主権平等・核のない世界目標

 【メキシコ市=島田峰隆】南米十二カ国の首脳会議が二十三日、ブラジルの首都ブラジリアで開かれました。各国首脳は、地域統合の目的や原則など共同体の詳細を定めた南米諸国連合(UNASUR)設立条約に調印しました。条約は主権平等や核廃絶を明記。十二カ国中九カ国の批准で発効します。

 会議にはウルグアイ以外の十一カ国の首脳が参加。条約案をまとめた臨時議長国ボリビアのモラレス大統領は「今日は南米諸国民にとって歴史的な日だ」と強調。ブラジルのルラ大統領は「南米地域の諸国民は、発展、社会正義、民主主義、平和という共通の課題に取り組む力を持っている」と語りました。

 条約は「統合は多国間主義の強化に向けた決定的な一歩」だと強調。主権の平等に基づいた多極化世界、核兵器や大量破壊兵器のない世界を目標として明記しています。「社会的、経済的な不平等の根絶」も掲げ、貧困や社会的排除とたたかう決意を強調しました。

 統合の主要原則として、主権尊重、領土保全、民族自決権、連帯、協力などを挙げました。

 「市民参加」条項では、「統合過程で国民の全面的な参加を促進する」とし、社会団体などとの対話を重視しています。

 議長国は輪番制で、年に一度首脳会議を開催。他の中南米・カリブ海諸国の加盟も可能とし、ラテンアメリカ全体の統合を視野に入れています。

 ブラジルは地域の協力強化と紛争予防を目的とした南米安全保障協議会構想を提案しました。しかし、コロンビアが国内事情を理由に不参加を表明したため、作業部会を設けて今後三カ月間検討することになりました。

 南米十二カ国は二〇〇四年十二月に南米諸国共同体を設立。〇七年四月の第一回エネルギー首脳会議で名前を南米諸国連合に変更することを決め、統合の深化を目指してきました。

2008年5月27日(火)「しんぶん赤旗」

米の越境空爆など批判
サンパウロ・フォーラム閉幕

 【モンテビデオ(ウルグアイ)=菅原啓】中南米地域の左派・中道左派政党が参加して当地で開かれていたサンパウロ・フォーラム第十四回会議は二十五日、米国の干渉政策の強まりを批判し、地域統合の促進を呼びかけた最終宣言を採択して閉幕しました。

 討論には、エクアドルのコレア政権のパティニョ政治調整相も出席。三月に発生した同国領内へのコロンビア側の越境攻撃について、空爆作戦が米軍機によって行われたことが判明したと報告し、テロや麻薬対策を口実に他国の主権を侵害する米国の行動を厳しく非難しました。

 最終宣言では、エクアドルへの越境攻撃、ラテンアメリカを警戒対象とする米第四艦隊の再設立などを列挙して、米国の干渉政策に反対する立場を明らかにしました。

 宣言は、二十三日に設立条約が調印された南米諸国連合や南米防衛理事会創設の提案を支持。この動きの強まりが、「ラテンアメリカ・カリブ海諸国だけで構成される常設機関の創設への前進を可能とするだろう」と指摘し、米国抜きの地域的安全保障機構をめざす展望をのべています。

 閉会式であいさつしたニカラグアのオルテガ大統領は、地域の左派政権がさらに力関係を変えていく必要性を強調。メキシコの中道左派野党、民主革命党(PRD)のエスコバル国際担当書記は、「左派勢力の政権は、国を運営するためでなく、変革するためにある」とのべ、多くの国で政権与党となった左派勢力がこれまで以上に大きな責任を担って奮闘する意義を強調しました。

 会議には、ラテンアメリカ地域外からの参加を含め三十カ国の政党、団体の代表約六百五十人が出席しました。

 日本共産党は、サンパウロ・フォーラムの招待を受け、菅原啓国際局員がオブザーバーとして出席しました。

2008年6月15日(日)「しんぶん赤旗」

主 張
南米統合
自主的協力の新段階へ

 南米の全十二カ国が参加する南米諸国連合(UNASUR)が五月下旬に設立されました。中米・カリブ海諸国にも開かれ、中南米全域にわたる統合を視野に入れています。

 ベネズエラで一九九九年にチャベス政権が誕生して以来、波打つように中南米各国に広がった進歩的な政治変革は、平和と社会発展をめざす自主的な地域共同へと発展してきました。南部共同市場(メルコスル)とアンデス共同体などを通じた共同の取り組みが南米全域の恒常的な機構として結実したことは、同地域の発展の新段階を画すものです。

 設立条約は、貧困一掃と格差克服、持続的成長などを掲げ、社会保障や保健、教育、地域横断インフラ、地球温暖化への取り組み、中小企業育成、金融統合など、経済・社会面での多面的な共同をめざしています。

 中南米にとって八〇年代は「失われた十年」、九〇年代は「絶望の十年」と呼ばれ、経済・金融危機下で貧困が拡大しました。むき出しの市場原理にもとづく新自由主義が、米国の主導する国際通貨基金(IMF)や世界銀行を通じて押し付けられたことが、その大きな要因でした。条約は貧困とたたかううえで自主的、民主的な経済運営と域内の共同が重要だとの認識にたつものです。

 政治・安全保障面では、条約は核兵器や大量破壊兵器のない「多極的で均衡のとれた公正な世界」の実現をめざすと表明しています。主権の尊重と民族自決、民主主義と人権の尊重などを共通理念とし、対話による問題の解決を強調しています。

 中南米はかつて「米国の裏庭」と呼ばれました。米国はいまも干渉政策を捨てず、キューバへの経済封鎖を続け、ベネズエラではクーデター未遂事件(二〇〇二年)を起こしました。コロンビアに軍事支援を続け、今年は中南米をにらむ「第四艦隊」を五十八年ぶりに再設置しました。

 米国の干渉に対して、中南米には、干渉を排して問題を域内で解決しようとする動きが脈々と流れています。中米の紛争に際して、八〇年代に「コンタドーラ・グループ」や、それを拡大した「リオ・グループ」がつくられました。南米諸国連合はこの流れを受け継ぐとともに、中南米での政治変革によって一段と広がった共同を通じて、同地域の平和を確保しようとするものです。

 十二加盟国のうち、コロンビアは軍事的に米国と深くつながり、エクアドルやベネズエラなど国境を接する国々との間で最近も緊張が起きました。こうした矛盾を抱えながらも、コロンビアも加盟で足並みをそろえたことは、域内の紛争を対話を通じて平和的に解決する枠組みがすえられたことを示しています。

 連合は首脳会議を最高機関とし、輪番議長(任期一年)にチリのバチェレ大統領が就任しました。全会一致を原則とする民主的運営をうたっています。「南米議会」も創設し、機構を拡充する予定です。

 歴史的、社会的、文化的に共通性をもつ中南米諸国の統合は自然な流れであり、今後は欧州連合(EU)にも比肩しうるものとして、中南米諸国の共同に拍車をかける求心力となるとともに、対外的に同地域の発言力を増すことになります。

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南米諸国連合:発足…12カ国が署名、地域統合目指す南米諸国連合(UNASUR)。これだけでピンとくる人も多いだろう。そう、南米では、反自由主義の潮流が大きな流れとしてはっきり認識されるようになってきた。連合の設立はその到達点だ(写真は日経電子版5・24)。 12カ国が署名している。前身の南米共同体に参加していたのは以下の諸国。 アンデス共同体(CAN) ボリビア コロンビア エクアドル ペルーメルコスール(Mercosur) アルゼンチン ブラジル ウルグアイ パ... [続きを読む]

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