映画「シークレット・サンシャイン」
イ・チャンドン監督。
この人は最も好きな監督の1人です。「グリーン・フィッシュ」、「ペパーミント・キャンディー」、「オアシス」と見てきて驚嘆し、この人が元小説家であることを知って、その作品を読むために韓国語を覚えたいと思ったくらい好きな監督です(韓国語の方は挫折したままですが(^^;)。
当然期待して見に行きましたが、予想を上回る素晴らしい作品でした。
たぶんこの作品でもと言っていいと思いますが、監督は人間をとことん追求してひん剥いていきます。ひん剥くというと言い過ぎかもしれませんが、乱暴にではなく容赦なく人を覆い隠しているものを剥がしていくのです。登場人物に楽をさせません。安易に幸せや希望、救済を与えません。だって、それが現実の人生なんですから当然です。
この作品では、主人公の女性シネがひん剥かれます。でも、全てがひん剥かれる訳でもありません。この作品で描かれているのはシネの人生の一局面でしかないのですからこれも当然です。でも、一局面とは言っても、とても重大な局面ですから、恐ろしくひん剥かれます。
では、ひん剥かれたままで、何も救いや希望、あるいは再生はないのかというと、本人が気付こうが気付くまいが、人には、あるいは人生には陽射しがあるのです。秘密の陽射し=ミリャン(密陽)=シークレット・サンシャインという訳です。もちろんそれは示唆されるだけです。
この作品は、ラブ・ストーリーだと宣伝されていますし、監督も「ひょっとすると愛の本質に極めて近いことを語った作品かもしれません」と言っていますが、ラブ・ストーリーとあまり思わない方がいいと思います。これまた監督自身が「この映画をラヴ・ストーリーだと強調するつもりはありません。ラヴ・ストーリーを慣習的に捉えているお客さんがそれを期待してこれを見たら、騙されたと失望するかもしれませんから」と述べている通りです。
シネの相手役として、ソン・ガンホ演ずるジョンチャンが登場するのですが、飽くまでもシネの人生の背景として描かれるだけです。ソン・ガンホさんが背景に徹し切った演技を見せてくれます。ジョンチャンは確かにシネを愛しているのですが、その愛はこの作品においては背景に過ぎません。ただし、重要な背景ではあります。
シネを演じるチョン・ドヨンさんは初めて見たのですが、熱演です。確かに素晴らしい俳優さんです。
パンフレットにある西川美和さんの解説が秀逸で、この映画への理解を共有でき、また深められた気がしました。
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