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2008年5月14日 (水)

映画「春にして君を想う」

 フリドリック・トール・フリドリクソン監督。

 「切ない」とも評価される作品ですが、それよりも人にとっての幸せというものを噛み締めさせてくれる、あるいは考えさせてくれる作品だと感じました。

 主人公のゲイリ役を演じるギスリ・ハルドルソンが最初から最後までとてもいい味を出しています。相手のステラを演じるシグリドゥル・ハーガリンの老人ホームにいるときの苛立ち勝ちの表情と最後に故郷を見たときの喜びの表情の対比も素晴らしい。その幸せな気持ちのステラの回想として織り込まれる昔の故郷のフィルムも効果的です。天使役でちらりと登場するブルーノ・ガンツが意外でした。「ヒトラー・最後の12日間」のヒトラー役で初めてお目にかかり、強い興味を覚えさせられた俳優さんです。

 ステラを亡くして以降のゲイリはまるでイエス・キリストのように描かれ、天使に報われ消えて行きます。原題の「Children of Nature」の方が適切かなと思い、また人にとっての幸せを描いた作品だと思う所以です。北極圏に位置して多くの火山を抱えるアイスランド独特の厳しい風景がこの主題と物語に適切な舞台を提供しています。

 映画は、農業を辞めるゲイリが、その売ってしまったと思われる羊をトラックに乗せながら、男たちと歌う素朴な合唱で始まります。この歌が作品の主題と物語を言い尽くしていると思います。引用しておきます。

太陽が恋しくなり
バイオリンを奏でながら
君に歌を捧げよう
君のもとに行こう

君の最後の願いが
城のように大きくても
全力でかなえてあげよう
君の心に口づけよう
全力でかなえてあげよう
君の心に口づけよう

春の季節が過ぎ去り
ついに闇が訪れる
君は神に祈る
僕に別れを告げながら
君は神に祈る
僕に別れを告げながら

 ついでながら、自分の娘の家族と折り合えないゲイリの姿や、故郷で暖炉の火を見ながら昔を思い出すステラの幸せな顔は、山田洋次の「息子」で三國連太郎が演じた主人公の老人を思い出させました。

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