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2008年1月 2日 (水)

アナポリス会議に始まったプロセスはパレスチナ問題を解決できるか

 何で今頃と言われそうですが、自分の覚え書のために書いておきます。

 昨年11月27日、アメリカのアナポリスで、アラブ連盟加盟国を含む約50の国や国際機関が集まり、ブッシュ大統領の提唱になる中東和平国際会議が開かれました。

 その結果、アメリカ、イスラエル、パレスチナの三者が共同声明を発表し、当事者が運営委員会を作って、2003年4月30日にアメリカ・ロシア・EU・国連の四者で合意したロードマップを実行に移し、2008年末までに平和条約の締結を目指すとしました。さらに、一方で、オルメルト首相とアッバス議長が隔週で交渉を行いこの運営委員会を補完し、他方で、アメリカはロードマップの進捗状況を監視し、かつその状況次第で平和条約の締結時期を判断することとしました。

 これでロードマップの内容が完全に実行されれば問題はないのでしょう。内容では、2002年3月28日にアラブ連盟首脳会議でベイルート宣言として採択され、2007年3月28日、29日に再度リヤド宣言として採択されたアラブ和平案と矛盾はないそうですから(以下に引用する11月27日付の松本眞志氏の記事、同29日付のアブデルアリーム・モハメド氏のインタビューを参照。なお、2007年4月3日の記事参照)。

 しかし、ロードマップは2003年の段階で既に第一段階からつまずいて失敗したものです。今度は本当に大丈夫なのか懸念が残ります。

 また、パレスチナ人多数の支持を得ておりまた直接の当事者であるハマスが除外されています。当事者が除外されてどうやって上手くいくのか、懸念が残ります。

 さらに、ロードマップは上述のように四者の合意でしたが、今回はアメリカの監視・判断の下での2国間協議となりました。国際的な協力抜きで本当に実現できるのか、やはり懸念が残ります。

 またこの点に関わり、イラクを侵略・占領し続け、中東で最大の軍事力を展開しているアメリカが本当に監視・判断する仲介者の役割を果たし切れるのか、これも懸念材料です。

 スムーズに実行され、アラブ和平案にある内容が実現されることを望みます。

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 アナポリス会議に関わるしんぶん赤旗の記事を引用しておきます。

2007年11月27日(火)「しんぶん赤旗」

きょう中東和平会議
米主催で交渉再開めざす
打開の糸口つかめるか

 イスラエルとパレスチナの二国家共存の和平交渉の再開を目指す中東和平国際会議が二十七日、米メリーランド州アナポリスで開かれます。残り一年となる任期満了までに、混迷する中東間題で何らかの「成果」を残したい米ブッシュ政権が呼びかけ主催するもので、イスラエルのオルメルト首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長のほか、サウジアラビアやシリアを含むアラブ諸国の閣僚級が出席の予定です。

 米国が主催する中東和平会議は、二〇〇〇年のクリントン大統領(当時)が主催したキャンプ・デービッドでの会議以来、七年ぶり。

 ブッシュ大統領は就任後、「イスラエルの安全保障」を前提とした「パレスチナ国家の樹立」を認めると表明しましたが、〇一年九月の同時多発テロからイラク戦争へ突き進み、中東地域の安定をかき回してきたのが実態です。〇六年のパレスチナ議会選挙では米国が「テロ組織」と指定するハマスが勝利し、同政権が打ち出した「中東民主化構想」も影を潜める結果となりました。

 会議を主催するライス国務長官は二十一日、ブッシュ政権の任期終わりまでにパレスチナ国家の樹立のための「交渉の終結」を目指すと改めて表明。一方、交渉の成功は「誰も保障できない」とも語りました。

(ワシントン=鎌塚由美)

パレスチナ国家樹立・難民帰還
根本解決ヘアラブ結束

 アラブ諸国二十一力国とパレスチナで構成するアラブ連盟は二十二―二十三日に外相会議を開催し、米国が呼びかけた中東和平国際会議への参加を確認しました。

 参加の是非が注目されたサウジアラビアは、中東和平に向けたアラブ側の戦略、中東包括和平構想(アラブ和平案)で示されたパレスチナ国家樹立やエルサレムの帰属問題、パレスチナ難民問題など、イスラエル占領問題の根本的解決を要求し、アラブ側の結束を呼びかけて参加を表明しました。

 エジプトやヨルダンも、イスラエルに対して国連諸決議に基づく公平で包括的和平を求め、和平プロセスへの具体的な行程表を要求しています。

 アラブ和平案は、二〇〇二年のアラブ連盟首脳会議でサウジアラビアが提唱。①第三次中東戦争(一九六七年)時の占領地(シリアのゴラン高原を含む)からのイスラエルの全面撤退②東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立③パレスチナ難民の帰還の実現―の三点を柱とし、イスラエルがこれらを受け入れればアラブ諸国はイスラエルと外交関係を樹立するというものです。

 二〇〇七年三月の同連盟首脳会議で中東和平実現のための原則方針として加盟国によって確認されました。同案は国連や欧州連合(EU)からも支持を得ています。

 ライス米国務長官も三月の中東訪問で同案に前向きの関心を示したと報道されました。しかし、イスラエルは事実上、拒否する姿勢を明らかにしています。

 一方、ブッシュ米大統領は、七月に和平会議を提唱したさい、〇三年の中東和平四者協議(カルテット=米国、国連、EU、ロシア)が策定した和平案(ロードマップ)を会議の焦点にするとの考えを示しました。

 ロードマップそのものはアラブ和平案の原則と矛盾せず、アラブ側も両案を組み合わせた文書作成を検討しているといわれます。しかし、ロードマップについてもイスラエル側は留保条件をつけて、受け入れていません。

 アラブ側は、イスラエルが中東和平のための明確な目標を示さず、拘束力のない共同宣言で会議の幕を引こうとしているのではないか疑っています。サウジアラビアなどが最後まで出席表明をためらったのも、そのためでした。

 占領地からの撤退、エルサレムの帰属を含む国境線の画定、難民の帰還権という、イスラエルとパレスチナが互いに譲ってこなかった基本的な対立点を克服する道を開きうるのか―会議の行方を見通すことは困難です。

(カイロ=松本眞志)

問われる課題は

 中東和平で解決を迫られる中心課題には①国境画定②エルサレムの地位③難民問題があります。

 イスラエルは一九六七年の第三次中東戦争でパレスチナの領土、ヨルダン川西岸とガザ地区、東エルサレム(旧市街)を占領。西岸と東エルサレムにユダヤ人入植地を建設し、その数は百五十カ所で、西岸・東エルサレム全体の土地の8%に達しています。

 イスラエルはさらに西岸に分離壁を建設しました。分離壁の西側の土地は西岸と東エルサレムの土地全体の9・5%です。

 パレスチナ側が東エルサレムを首都とし、西岸とガザ地区からなる国家建設を求めています。イスラエルは東エルサレムの占領後、これを併合し、西エルサレムと統合してイスラエルの首都としています。

 イスラエルが二〇〇五年九月に一方的に撤退したガザ地区はパレスチナのイスラム武装抵抗組織ハマスが支配しています。

 パレスチナ難民は、一九四八年の第一次中東戦争で現在のイスラエル領から追われた人と第三次中東戦争で追われた人と、それらの家族から成っており、中東各国で難民生活を余儀なくされています。イスラエルはとくに、第一次戦争での難民の帰還をかたくなに拒んできました。

(伴安弘)

2007年11月29日(木)「しんぶん赤旗」

中東和平 交渉再開へ
国際会議 「行程表」復帰を確認

 【アナポリス(メリーランド州)=鎌塚由美】イスラエルとパレスチナの和平交渉の「踏み台」とブッシュ政権が位置づけるアナポリス会議が二十七日、メリーランド州アナポリスで開かれ、パレスチナ国家の樹立に向けたイスラエルとパレスチナの交渉再開を確認しました。三者による共同声明を発表したブッシュ米大統領は、二〇〇八年末までの「平和条約」締結を目指すと述べました。ライス米国務長官は同日、和平交渉を二十八日にホワイトハウスで正式に開始すると述べました。

 ブッシュ大統領とイスラエルのオルメルト首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長は同日、会議開催前に三者会談を行い共同声明に合意。声明によれば、当事者が各交渉責任者で構成する「運営委員会」を立ち上げ、〇三年に米国、ロシア、欧州連合(EU)、国連の四者(カルテット)で合意したロードマップ(行程表)を実行に移します。第一回「運営委員会」は十二月十二日に開催します。

 声明は、オルメルト首相とアッバス議長が隔週の会談を行い「運営委員会」の交渉を補完するとし、米国が、ロードマップの進ちょく状況を「監視」し、その状況次第で「平和条約」の締結の時期を「判断」するとしました。

 アナポリス会議には、約五十の国と国際機関の代表が参加。閉会にあたりライス国務長官は、サウジアラビア、シリア、レバノンの出席を評価。アラブ諸国の中東包括和平構想(アラブ和平案)に言及したサウジの発言を「大変重要だ」と述べ、シリアとレバノンの発言を、イスラエルとアラブ諸国の「包括的和平へ導く協議のステップ」だと評価しました。

 アッバス氏は、東エルサレムや難民の帰還問題などに言及し、「最終的地位に関するすべての問題の、包括的な奥行きのある交渉の開始」が必要だと主張。「われわれはテロの脅威の停止、扇動と憎しみの停止を要求する」と述べたオルメルト首相は、「これらの願いを実現するために、痛みを伴うが妥協の覚悟がある」と語りました。

2007年11月29日(木)「しんぶん赤旗」

ハマス排除など多くの問題

 アナポリス会議で決まった今後の交渉の基本は二〇〇三年四月に中東問題の四者協議(カルテット)が公表した「ロードマップ」(行程表)です。これはイスラエル、パレスチナの両国の存立を目指すものですが、その実施はなんらの進展もないまま放置されてきました。アナポリス会議は、ロードマップの出発点に戻ったものといえます。

 ロードマップはパレスチナ側のテロ停止とイスラエル側の入植地凍結という「第一段階」で行き詰まりました。今後の交渉も同様の障害にぶつかりかねません。

 さらにいくつかの間題があります。第一は両国の交渉が米国の「監視」と「判断」のもとで行われ、「平和条約」を〇八年末までに締結すると表明したことです。

 カルテットと支援国会議の役割が、「共同宣言」には盛り込まれず、問題を多国間協議から米国の監視下での「二国間協議」にゆだねたとも受け取れます。

 第二は、パレスチナ住民の多数が選挙で支持したハマスを除外していることです。イスラエル抹殺論から抜け出せないハマスにも問題はあります。しかし直接の当事者でもあるハマスを最初から交渉の枠組みの外におくことで、根本的な解決が可能なのか疑問が残ります。

 第三は、米国ことにブッシュ政権がこの間題で「仲介者」として振る舞えるのかどうかです。米国はイラクを侵略・占領し続け、中東で最大の軍事力を展開しています。そのブッシュ政権のもとで「監視」される交渉には中東諸国の協力が得られるのかどうか、危うさは否めません。

(アナポリス=山崎伸治)

2007年11月29日(木)「しんぶん赤旗」

中東和平問題
エジプト・アルアハラム政治戦略研究所副所長に聞く
米の「イスラエル優先」懸念

 中東和平をめぐる問題について、エジプト・アルアハラム政治戦略研究所のアブデルアリーム・モハメド副所長に聞きました。(カイロ=松本眞志)

 ブッシュ米大統領は今年七月に中東和平国際会議を提唱したとき、アラブ諸国が示している和平案にも言及すると同時に、二〇〇三年の中東和平四者協議(カルテット=米国、国連、欧州連合、ロシア)が策定したロードマップ(行程表)を会議の焦点にするとの考えを示しました。

 ところがイスラエルは〇三年当時、ロードマップについて十四項目の「留保」条件を示して受け入れを事実上拒否しました。

 二十七日の米アナポリスでの国際会議にあたって、イスラエルは問題解決のための明確な目標を示していません。イスラエル国内の右翼勢力は、占領地からの撤退、難民間題、エルサレム帰属問題を解決するための最終合意を与えないようにオルメルト政権に圧力をかけています。

 オルメルト首相が最近、イスラエルを「ユダヤ人国家」だと宣言したことは、追放された百万人以上のパレスチナ難民の帰還権を無視するものだといえます。

 米国は、こうしたイスラエルの態度に圧力をかけず、イスラエルの安全保障が優先との立場をとっています。このことが問題解決を困難にしています。

 一方、中東包括和平構想(アラブ和平案)を提唱したサウジアラビアは、国際会議を前に独自の外交活動を展開しました。欧州など域外の国々との交流活動のなかで重要課題と位置づけ、理解を広げています。

 アブドラ国王は、最近の欧州歴訪でバチカンのローマ法王と会談し、異なる宗教間の共同と対話を強調しました。

 ロードマップはパレスチナ独立国家の実現をうたっており、アラブ和平案と基本的に矛盾するものではありません。サウジやエジプトは、アラブ和平案とロードマップを組み合わせた案も検討しています。

 エジプトとヨルダンなどアラブ諸国は、パレスチナ自治政府とともに、イスラエルに対して国連諸決議に基づく公平で包括的和平を求め、和平プロセスへの具体的な行程表を要求しています。

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