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2008年1月 5日 (土)

温暖化防止対策が取れるような「ルールある経済社会」への転換が求められる

20071230co2  今年は京都議定書(1997年)が定めた温室効果ガス削減目標達成期間(2008-2012年)の1年目です。NHKも「地球エコ2008」キャンペーンを開始し(HPはここ)、新年から優れた番組を立て続けに放送しています。僕も、NASAゴダード宇宙研究所所長のジェームズ・ハンセン氏や、元世界銀行上級副総裁でロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授のニコラス・スターン氏のインタビューを見て改めて考えさせられました。ニコラス・スターン氏は5日付の日経新聞にもインタビューが掲載されています(いわゆるスターン・レビュー(気候変動の経済学)についてはこちらを参照)。

 ここ数年内に努力を始めるか否かが決定的だという今の危機的状況、またヨーロッパを中心に始まっている世界中の様々な努力を見ると、アメリカと共にその足を引っ張っている日本政府(自民・公明政権)の対応を、早急に改めさせる必要を強く感じます。

 昨年6月6-8日に開かれたハイリゲンダム・サミット(第33回主要国首脳会議)では、平均気温が2度上昇すれば地球は壊滅的な打撃を受けるとの科学者の警告に基づき、それを防ぐため、ドイツを含むEUは2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比で半減することを提案しましたが、アメリカは終始これに抵抗し、日本はこれに追随して1990年比でなく現状比で半減する案を提示して抵抗しました。

 結果としては、温室効果ガスの地球的規模の排出を「少なくとも半減」することを「真剣に検討する」ことで合意し、また、温暖化防止問題を交渉する枠組みとして「国連のプロセスが適切だ」と確認し、これは確かに重要な成果ですが、排出規制の基準年など具体的な数値目標の設定は今後の課題となりました。

 また、昨年12月3-15日にインドネシア・バリ島で開かれた国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)と京都議定書第3回締約国会合(COP/MOP3)では、EUや発展途上国は「先進国グループが2020年までに温室効果ガスを1990年比で25-40%削減する」との文言を採択文書に盛り込むことを主張しましたが、アメリカが強力に反対し、日本もカナダと共にこれに追随して、結局文書には盛り込まれませんでした。ただ、他の諸国の努力によって、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次報告」(昨年11月17日発表)に基づき気候変動に対処する「緊急性」が盛り込まれました。

 今年7月には洞爺湖サミットが開かれ温暖化防止は重要なテーマとなります。

 そもそも日本は京都議定書により1990年比6%の削減目標が定められていますが、2006年には逆に6.4%も増えています。

 この増加の大きな要因は、1990年以降、石炭火力発電所が激増し、CO2排出量を約10%増やし、その他の企業や家庭のCO2削減を帳消しにしてしまったことにあります。経産省の見通しでは石炭火力の設備利用率を66%に引き下げる方針だったのが、2005年には75%に増えているのです。電力会社のものだけではなく、「電力自由化」により大口事業所も安い石炭火力の自家発電所の利用を進めた結果です。原油高の下、石炭への課税が石油などよりも軽いことも石炭利用に拍車を掛けました。その結果、1990年には発電所からの排出は年間7,800万トンだったのが、2005年には2億1,000万トンに激増、自家発電も同じ時期に年間2,000万トンから3,300万トンに増え、合計1億4,500万トンも増えています。

 日本のCO2排出量の8割は産業・公共部門によるものです。この中の3割分は発電所によるものであり、この3割を含む大口180事業所だけで5割超分を占めます(上記円グラフ参照、しんぶん赤旗日曜版2007年12月30日・2008年1月6日合併号第2部より)。

 京都議定書の目標を達成し、また2020年に大幅削減に向かうには、これら大規模排出源への対策を取ることが重要です。

 ところが、政府(自民・公明政権)による、京都議定書の温室効果ガス削減目標達成期間の排出削減計画は、日本経団連の「自主行動計画」にまかせたままです。このままでは目標達成など不可能でしょう。

 政府が産業界と削減協定を結び、また排出権取引を導入し、炭素税(環境税)などの強力な対策を取ることが求められています。ここでも自民・公明の行う政治を根本的に改め、「基本的ルールの確立した経済社会」へ転換することが、待ったなしで求められているのです。

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 ニコラス・スターン氏の日経インタビューでの発言を引用し、続いて日本共産党のこの分野での政策を以下に引用しておきます。

 「大気圏に蓄積されたCO2など温暖化ガスの大半は先に工業化し、大量排出した先進国の責任だ。だからこそ2050年までに世界全体で温暖化ガスの排出50%削減という07年のハイリゲンダム・サミットの目標に向け、先進国はより重い80%削減を達成すべき責任がある」

 「ポスト京都の枠組みに途上国も含め、世界中の国が参加するには『人が排出する温暖化ガスの量を国に関係なく同じ水準にする』という考えに立つ必要がある。(先進国が現在の排出量を既得権とするなど)格差をそのままにして(現状水準から)一律に今後の排出量を抑制するやり方では過去に野放図にガスを排出して成長した先進国が責任をとらず“勝ち逃げ”することになる」

 「先進国が新興国(中国やロシアなど)に経済成長を減速するよう求める権利はない。重要なのは成長を止めることではない。環境を悪化させることのない新しい成長モデルをみつけることだ。新興国が成長と温暖化防止を両立できるよう技術面などで支援するのが先進国の責務だ」

 「重要なのは省エネ技術を開発する企業に対し投資促進策を導入したり、排出権取引を活性化させるなど税制や規制などで企業活動を温暖化対策へ誘導することだ」

 「以前に比べ、過去1年で取り組みは加速した。一部の専門家が警鐘を鳴らす段階から人々が幅広く問題意識を共有する段階に移った。早急な対処が必要と国民が声を上げ始めたために、政治家が問題を先送りできなくなった。・・・政治は国民の期待に沿って動く」

 「削減目標の設定、排出権市場の整備、省エネ技術の普及、途上国支援などで(洞爺湖サミットの)主催国の日本は議論を主導すべきだ」

2007年参議院選挙にのぞむ日本共産党宣言(12の重点政策)(2007年6月15日)から

【9】京都議定書の約束を達成し、さらに低エネルギー・低炭素社会への転換を進めます

 安倍内閣は「世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して2050年までに半減する」方針を閣議決定し、独ハイリゲンダム・サミットでも、「2050年」に「半減」という長期の目標にかかわる言葉が盛られました。しかし、いま日本は、直近の目標である京都議定書での約束(2012年までに90年比6%削減)を達成する見込みがたたず、二酸化炭素排出は逆に8%も増えています。

 京都議定書で公約した「6%削減」の達成に、あらゆる手をつくします……京都議定書の目標達成には、排出量の8割を占める企業・公共部門での削減がカギです。ところが、政府は財界の要求に屈し、日本経団連の「自主」行動計画まかせにしています。また家庭(排出量の2割)でも、電気製品台数の増加や自動車の大型化、単身化による世帯増の影響で、二酸化炭素の排出が増加しています。

――経済界と政府の間で削減協定を締結し、達成責任を公的に裏うちします。

――小規模水力、風力、太陽光・熱、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの開発・活用を抜本的に進めます。

――現行のエネルギー課税を見直し、二酸化炭素の排出量を考慮した環境税の導入をすすめます。

――商品や施設の省エネ促進とともに、二酸化炭素の排出を増やす長時間営業・労働や、都市再生の名による大規模な高層マンション・建物の建設、郊外店の増加などに歯止めをかけ、生活スタイルや経済活動の改善を図ります。

 中長期の目標を明らかにして、低エネルギー・低炭素社会への転換をすすめます……科学者やEU、NGOは、気候変動を破局的な危険のレベルに達するまえに抑えるためには、工業化以前に比べて2度未満に気温の上昇を抑えることが必要だと考えています。それには、増え続けている二酸化炭素の排出量を2050年までに50%以下(1990年比)に削減する取り組みが求められ、とくに先進国は60%~80%という大幅な削減をしなければなりません。

――日本も2020年までに30%、50年には70%削減することを目標に掲げ、それにむけて経済システムや生活スタイルなどを改革して、低エネルギー・低炭素社会へ転換すべきです。

 原子力発電所の新増設をやめ、原発から段階的に撤退する……政府と電力会社は、温暖化対策を原発の新増設にたよろうとしています。しかし、原発は、技術的に未確立であり、耐震性を含めた安全性の問題、事故隠し・データねつ造が示す管理能力の欠如、放射性廃棄物の処理など、環境にとって大きな危険をかかえています。原発から計画的・段階的に撤退すべきです。

参院選にのぞむ日本共産党の各分野の政策(2007年6月22日)から

京都議定書の目標を達成し、日本の中長期の温暖化ガスの削減目標を明らかにして、世界の温暖化抑制に貢献します

 安倍政権は温暖化ガスの「世界全体の排出量を現状に比して2050年までに半減する」方針を閣議決定し(「21世紀環境立国戦略」)、独ハイリゲンダム・サミットでも、「2050年」に「半減」という長期の目標にかかわる言葉が盛られたと宣伝しています。しかし、いま日本は、直近の目標である京都議定書での約束(2012年までに90年比6%削減)を達成する見込みがたっていません。

 京都議定書で公約した「6%削減」の達成に、あらゆる手をつくす……EUはすでに削減目標の達成を見越していますが、日本は削減するどころか、逆に8%も増加しており、現在のままでは期限(2012年)までに目標を達成することは、極めて困難です。

 石炭や石油などの化石燃料を燃やした時点で排出量を計算すると、エネルギー・産業部門が日本の二酸化炭素排出量の65%をしめています。とくに産業部門の割合は主要国のなかで最大となっています。発電所、高炉製鉄所など180の事業所が日本全体の排出量の半分を占めています。日本経団連は、日本の製造業が世界一効率がいいと強調していますが、欧米の先進国と比べ、ほぼ同じか中には日本が劣るものもあります。90年代にエネルギー効率を上げる投資を企業がしなかったことや、火力発電所が増加したことによって、景気が上向けば排出量が増える状況になっており、政府が頼みにしている日本経団連の「自主」行動計画では、総量目標を達成する裏づけにはなりません。

 安倍内閣は、こうした問題を放置したまま、二酸化炭素の排出量の「1人1日1キログラム削減」をスローガンに「国民運動」を提唱しています。生活スタイルの見直しは大切ですが、家庭部門の排出量は、全体の5%であり、それを削減の決め手とするのは無理な話です。

 やはり日本の排出量の8割を占める企業・公共部門での削減がカギです。政府は日本経団連の「自主」行動計画まかせにせず、経済界と政府の間で削減協定(自主協定)を締結し、達成責任を公的に裏うちすることが大切です。排出権取引を実施し、そのさい各企業の排出状況と実効性のある削減目標を明らかにさせることが重要です。

 排出量の多いエネルギー部門では、小規模水力、風力、太陽光・熱、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの開発・活用が決定的です。自然エネルギーの活用を広げるため、目標量を抜本的に引き上げるとともに、電力会社が買い取り価格を引き上げ、固定価格で買い取ることが必要です。既存のエネルギー税制を見直して、温暖化ガスの排出量を考慮した環境税を導入すべきです。

 家庭でも、電気製品台数の増加や自動車の大型化によるエネルギー消費の拡大、核家族化・単身化による世帯増の影響で、温暖化ガスの排出が増加しています。また、労働規制の緩和や残業規制の不徹底、深夜労働による長時間営業・労働や帰宅・出勤時間の不規則化、大規模小売店舗法の廃止による大型店の郊外出店による自動車の多用、都市再生の名による大規模な高層マンション・建物の建設促進によるエネルギーの多用なども、エネルギー消費をふやしています。

 地域でも路面電車など公共交通機関へのシフトや、パーク・アンド・ライドの推進、ロード・プライシング制の検討などで都市部への自動車流入の抑制をはかります。都市の気温が上昇するヒートアイランドを防止するため、都市の過密化を避け、緑化の促進をはかります。エネルギーのロスを減らし省エネをすすめるためには、廃熱利用、ヒートポンプの普及、エネルギーの“地産地消”、建物の断熱と交通輸送の切り換えや共同化によるまちづくりが重要です。

 商品や施設の省エネをすすめ、「省エネ生活」への支援を強めるとともに、生活スタイルや経済活動を変えることが必要です。

 中長期の目標を明らかにして、低エネルギー・低炭素社会への転換をすすめる……温暖化対策でいま重要なことは、気候変動が危険なレベルに達しない温度上昇の上限を共通の認識にし、その範囲におさえるために、空気中の温暖化ガス濃度をどう抑えるのか、そのために何が必要かを考えることです。

 科学者やEU、NGOは、気候変動を破局的な危険のレベルに達するまえに抑えるためには、工業化以前に比べて2度未満に気温の上昇を抑え、温暖化ガスの濃度は1.7倍以内(480ppm程度)で早期に安定させることが必要だと考えています。それには、増え続けている温暖化ガスの排出量を基準年である1990年比で、2020年までには下回らせ、50年までには50%に削減するとりくみが求められています。

 2050年に世界全体で温暖化ガスの排出量を90年比で半分にするには、日本をふくむ先進国が60%~80%という大幅な削減をしなければなりません。それを見越してEUは2020年までに20%削減する方針を明らかにしており、50年までにフランスは75%、ドイツは80%の削減を検討しており、イギリスは60%の削減を目標にする法案を国会に提出しようとしています。

 日本も、2020年までに30%、50年には70%削減することを目標に掲げ、それにむけて経済システムや生活スタイルなどを変革して、低エネルギー・低炭素社会への転換を目指すべきです。

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