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2008年1月17日 (木)

小牧薫「『大江・岩波沖縄裁判』の経過と論点」

 この訴えが、教科書検定問題と共に、政治的意図で仕組まれたもので、それ以外の何ものでもないことが、端的によく分かります。引用させてもらいます。

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2008年1月16日(水)「しんぶん赤旗」

「大江・岩波沖縄戦裁判」の経過と論点
法廷で語った「集団自決」の真実
軍の命令・強制・誘導・・・
生き残った人々が口々に

小牧薫

 ノーベル賞作家で、「九条の会」呼びかけ人の大江健三郎氏が被告とされた沖縄戦強制集団死(「集団自決」)をめぐる裁判は、二〇〇七年十二月二十一日に結審しました。渡嘉敷島で強制集団死が起こった三月二十八日の午前十時、大阪地裁で判決が言い渡されます。

提訴から1年後本をパラパラと

 この訴訟を起こしたのは、沖縄・座間味島の守備隊長であった梅澤裕元少佐と渡嘉敷島の守備隊長であった故・赤松嘉次元大尉の弟、赤松秀一氏です。

 彼らは、岩波書店発行の家永三郎著『太平洋戦争』(一九六八年初版、二〇〇二年に岩波現代文庫となる)と大江健三郎著『沖縄ノート』(一九七〇年初版)には、梅澤・赤松隊長の命令によって「集団自決」が起こったと書かれているが、これは事実に反するとして、出版停止と名誉棄損などを理由に慰謝料を請求しています。事件が起こって六十年、出版されてからでも三十五年もたって提訴されたのです。

 なぜ、これほどたってから訴訟を起こしたのでしょう。この訴訟に踏みきらせたのは、赤松嘉次氏の陸軍士官学校の同期で戦後も自衛隊員となった山本明元一佐の説得であったことが法廷で明らかになりました。しかも、梅澤氏が『沖縄ノート』を読んだのは提訴後一年もたってからで、赤松氏は「難しいですね。兄のことが書いてある個所をパラパラ読んで」と証言しました。結局のところ、歴史修正主義を唱える自由主義史観研究会や右派政治家と「靖国応援団」の弁護士たちの後押しで、裁判に訴えたのです。この一事をとっても、裁判に訴える資格がないことが明らかになりました。

主張は二転三転「無理心中」とは

 梅澤氏は「自分は断じて命令していない」といい、赤松氏は「兄はそんなことをするはずがない」と言っています。ところが、日本兵から「米軍にあったときには一発を投げ、もう一発で自決を」と二個の手りゅう弾を渡されたと多くの人が証言しているのに、梅澤氏は「貴重な武器である手りゅう弾は隊長の許可なしに住民に渡すことはない」と言っているのです。

 そして、命令は助役が出したと責任を押しつけ、のちには、那覇あたりの上司(県知事)が出したになり、最後は、「愛する家族を米軍に捕まらないようにするための無理心中」で、「国に殉ずる美しい死」と二転三転する始末でした。

 『沖縄ノート』には、梅澤氏も赤松氏も名指しされていません。上地一史著『沖縄戦史』を引用しているだけなのです。それなのに、曾野綾子氏の誤読に導かれて、「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦の教訓を抹殺し、「戦争する国づくり」のために、教科書や歴史事典などの記述の訂正をねらったのです。そのことは、この訴訟の座間味島の守備隊長の「陳述書」が出されたことを根拠にして、二〇〇六年度高校日本史教科書の検定で「日本軍の命令、強制」を書き換えさせたことが如実に物語っています。

教科書の記述を回復して後世に

 被告側代理人は、研究者や体験者の協力を得て、沖縄戦強制集団死の真実を掘り起こし、法廷に提出しました。体験者である金城重明氏は、軍からの命令が出たらしいとの情報が伝えられて、村長が「天皇陛下万歳」を唱えたのをきっかけに、「集団自決」が行われ、家族に手をかけたことを証言しました。

 また、吉川勇助氏は防衛隊員が村長に「軍命」を耳打ちしたことを、宮平春子氏は兄・宮里盛秀助役兼防衛隊長が父に「軍からの命令で、敵が上陸してきたら玉砕するように言われている。国の命令だから、いさぎよく一緒に自決しましょう」といい、子どもたちを抱きしめて泣いたと証言しています。そのほかにも多くの生き残った人々が軍の命令・強制・誘導・指示なしに集団死が起こりえなかったことを証言しました。

 「国体護持」のための捨て石作戦によって、住民が陣地構築などにかり出されたうえ、戦闘にまきこまれ、軍の足手まといにならないために、強制されて家族・親せき同士が殺しあったのです。

 法廷でのようすから、勝利を確信していますが、歴史の真実を後世に伝え続けるためにも、裁判勝利と教科書の記述回復が望まれます。

(こまき・かおる 大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会事務局長)

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