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2007年12月 8日 (土)

沖縄戦「集団自決」、軍の命令・強制を偽り続ける検定審議会

 昨日から報道されていますが、数々の証言、しかも新しい証言までありながら、教科用図書検定調査審議会は、検定意見の誤りを認めて撤回することをしない態度を表明しました。

 このような人々のどこが専門家であり学者なのでしょうか。そんな資格は全くないものとして審議会委員から解任されるべきですし、「日本軍による日本人の大量殺害行為」を事実を偽って否定するなど、そもそも重大な反社会性を持った人物として社会そのもから排除されてしかるべきものです。

 一般に暴力団の関わる殺人事件について、親分が子分に「殺してこい」などと明言することなどありません。目で合図するなどの行動を取ります。裁判ではそれを親分が命令したと認定します。親分は当然殺人罪の共同正犯です。そういう認定もしないような裁判官は当然裁判官失格です。自決用と言って手榴弾を配っておいて命令はなかったなどとはとうてい言えるものではないのです。

 「日本軍による日本人の大量殺害行為」をあくまでも偽ろうとするなど、殺人の共同正犯に匹敵するものとして処遇されるが当然と言うべきです。

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 今朝のしんぶん赤旗の記事を引用しておきます。

2007年12月8日(土)「しんぶん赤旗」

沖縄戦「集団自決」
検定意見撤回拒む
審議会が「指針」 「軍の命令」認めず

 沖縄戦「集団自決」についての高校日本史教科書の記述に対し文部科学省が検定で「軍の強制」を削除させた問題で、教科用図書検定調査審議会(文部科学相の諮問機関)は七日までに、訂正申請をした教科書会社に対し、「集団自決」の背景を書き込むなどの「指針」を文科省を通じて示し、再申請を求めました。

 この問題では、日本史教科書を発行している六社が「集団自決」における軍の強制性を明記した訂正を申請しています。

 関係者らによると、文科省は各社の担当者を呼び、口頭で「指針」を伝えました。同省は、「軍が『集団自決』を直接命令した事例は確認できない」とし「軍の命令」との表現は認めないとしました。同時に、「集団自決」には複合的な要因・背景があったことを書き込むよう求めました。

 具体的には、軍が手りゅう弾を住民に配ったり、壕(ごう)から追い出したりしたこと、皇民化教育や捕虜にならず死ななければならないという感情を植え付けられたことで、住民が「集団自決」に追い込まれたことなどを記述するよう求めました。「日本軍の強制」などの表現が認められるかどうかについては説明がなかったといいます。

 文科省は検定意見撤回は拒否しており、検定審議会でも「強制や命令といった一面的な記述は妥当ではない」という意見が大勢だといいます。

 これについて沖縄県議会の仲里利信議長は「日本軍という主語や強制などの言葉を抜くことで、あいまいな表現に修正するのは到底許されない」と懸念を示しました。仲井真弘多知事も同日の県議会本会議で「県としては検定意見の撤回と(削除された)記述の回復がなされることを期待している」と答弁しました。

 審議会は年内に結論を出す予定です。

事実と違うなぜ認めぬ

 「沖縄戦の歴史わい曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」の山口剛史事務局長(琉球大学准教授)の話 文科省は「軍の命令については断定できない」として、軍強制削除の検定意見をつけました。今回の「指針」はその枠から一歩も出ていません。県民の怒りや証言を再検証したものとはいえません。

 「集団自決」(強制集団死)は日本軍の強制・命令・誘導・強要によって引き起こされました。それを記述の中心にすべきです。手りゅう弾を配ったことを「複合的要因」の一つとして書けといいますが、手りゅう弾の配布は軍の命令があった証拠なのに、それがあいまいになってしまいます。「日本軍」を主語にした記述が認められるかどうかもあいまいです。

 沖縄県民は検定意見が事実と違うから怒っているのです。審議会はこれをまったく受けとめていません。騒がれたからちょっと手直しをして逃げようという姿勢です。誤りを認め、検定意見を撤回するよう求めていきたいと思います。

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