こんな労働契約法・最低賃金法では、貧困はさらに増える
この28日、労働2法が成立しました。もちろん日本共産党は2法とも反対ですが、労働契約法は自民・公明に加えて民主党も賛成しました。最低賃金法は、この3党に加えて社民党も賛成しました。
しかしながら、この2法に賛成するようでは、「国民の代表」とは言えません。
今解決を迫られている根本問題は、拡大・増大する貧困をどう食い止め、かつ無くしていくかということです。生活保護水準にも達しないワーキング・プアと呼ばれる世帯が400万ないし500万にも上り、年収200万以下の労働者がついに1,000万を超えて1,023万人、22.8%にも上っています。その怒りと嘆きが7月29日の参院選での自民・公明の大敗北という形で現れるまでになりました。
この根本原因が、ここ5年、10年の政府の雇用破壊政策と社会保障抑制政策にあることは、もはや誰の目にも明らかです。世界第2の経済大国、景気が回復したと言いながら、それと共に貧困が拡大・増大しているのですから、この雇用政策・社会保障政策の誤りはきわめて罪深い、重大なものです。
今回の労働2法は、この政府の誤った政策が引き起こし、今も日々生み出している貧困に対抗して、貧困を減少させる実効的なものになっているか。
まず、最低賃金法ですが、これは地域別に定める最低賃金が生活保護水準を下回らないよう「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護との整合性に配慮する」との文言を加えたと一般に報道されています。
しかし、これだけでどうして最低賃金が抜本的に引き上げられるのでしょうか。貧困は減らせるのでしょうか。ここ数日生活保護の引き下げが厚労省で真剣に検討されているという報道がされています。ならば、最低賃金は引き上げられるどころか、引き下げられることになってしまいます。厚労省も生活保護基準と共に最低賃金が引き下げられる可能性をはっきりと肯定しています(11月7日の高橋千鶴子・日本共産党衆院議員への厚労省の答弁)。
そもそも、最低賃金は労働者全体の賃金水準を引き上げるものでなければならず、そうである以上、全国一律最低賃金制の確立を基本とせねばなりません。ところが、今回成立した法律ではそれに逆行して地域別最低賃金を必ず定めるものとまでしているのです。地域別最低賃金なぞを導入しているのは、世界でわずか9カ国に過ぎず、圧倒的多数は全国一律最低賃金制なのです。
さらに、最低賃金を定める基準につき、この法律は以前から「事業者の支払い能力」を盛り込んでいますが、そんなことを定めているのは、OECD30カ国中、日本とメキシコだけです。最低賃金は、憲法25条の生存権保障であることを明確にし、「事業者の支払い能力」は削除すべきです。
そしてそのために、労働者の8割が働く中小企業で確実な引き上げが行われるように、親企業による下請け単価の買いたたきをやめさせるなど取引の適正化や、中小企業への財政・税制・金融面の支援策を政府に義務付けねばなりません。
次に、労働契約法ですが、これは採用や解雇などのルールを明確にしたと一般には報道されています。
しかし、この法律は、労働契約の締結・変更について労使合意を原則と定めながら、使用者が一方的に決める就業規則による労働条件の不利益変更を例外として認めました。
他方、一般の企業での実態は、労働条件の変更の7割が就業規則の変更によって行われ、うち2割は労働者との協議がされておらず、さらに就業規則を見ることさえできない職場も多いというものです。
すなわち、この法律は、使用者側が労使合意の原則を踏みにじる手段として利用してきた、就業規則による労働条件の不利益変更を、法律で真正面から認めるものなのです。
このような法律が、雇用破壊という貧困の原因を拡大・増大しこそすれ減少させるものでないことは明らかでしょう。
これらの法律を成立させた自民・公明はもちろん、野党でありながら賛成した民主党や社民党は、自らの不明を大いに恥じ、真摯に反省せねばなりません。こんなことでは「国民の代表」とは言えないのです。
日経としんぶん赤旗の報道を引用しておきます。また、10月22日発表の「最低賃金制改善のための日本共産党の要求」と、11月22日提案の日本共産党の最低賃金法改正案の修正案にリンクしておきます。
改正最低賃金法が成立・民主要求入れ修正(日経電子版 2007.11.28)
地域別に最低賃金の引き上げを促す改正最低賃金法と雇用条件や転籍などの雇用ルールを明文化する労働契約法が28日午前の参院本会議で、与党と民主党などの賛成多数で可決、成立した。参院での与野党逆転後、政府提出の重要法案が成立するのは初めて。与党が民主の修正要求を受け入れたためで、政府・与党はねじれ国会での法案処理のモデルケースとしたい考えだ。
改正最賃法は地域別に定める最低賃金が生活保護の給付水準を下回る逆転現象の解消を目指すのが主な内容。民主の意向に沿い、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」に配慮する文言を加えた。労働契約法は就業の実態に応じた均衡待遇を求めており、正規雇用と非正規雇用の格差を是正する狙いだ。
政府が一括処理を期待していた労働基準法改正案は、残業代の割増率引き上げに伴う企業の負担増に与党内からも懸念する声が出て、今国会での採決は見送る方向だ。(14:02)
2007年11月29日(木)「しんぶん赤旗」
最低賃金法改定案と労働契約法案が二十八日の参院本会議で自民、公明、民主などの賛成多数で可決され、成立しました。日本共産党は最賃法改定案は抜本的な引き上げにならないとして反対。労働契約法案は、使用者が一方的に労働条件を引き下げる仕組みをつくるものだとして反対しました。社民党は労働契約法案のみ反対しました。
最賃法改定案は、最低賃金が生活保護水準を下回らないよう、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護との整合性に配慮する」との文言を加えるだけで、国民が願う抜本的な引き上げにつながる保障がありません。また、地域別最賃を必ず定めるとしており、地域格差を固定しかねないものです。
日本共産党は、参院厚生労働委員会で全国一律最賃制度や中小企業支援強化を柱とする修正案を提出しましたが、否決されたため、改定案に反対しました。衆院の審議で民主党は、生計費原則と全国一律最賃制度を盛り込んだ修正案を出していましたが、政府案に憲法二五条の文言を加えるだけの修正で自民と合意しました。
労働契約法案は、労働者と使用者が対等の立場で結ぶ労働契約の原則を定めるものにもかかわらず、労働者の合意がなくても、使用者が就業規則の変更によって一方的に労働条件を引き下げる仕組みを盛り込んでおり、労使の合意原則に反するものです。
労働2法案について
小池氏の反対討論 大要
参院厚労委最低賃金法改定案と労働契約法案を採決した参院厚生労働委員会で二十七日、日本共産党の小池晃議員が行った反対討論の大要は次の通りです。
◇
労働契約法案に反対する理由は、労働契約の締結・変更について労使合意を原則と定めながら、使用者が一方的に決める就業規則による労働条件の不利益変更を例外として認めたからです。
労働条件の変更の七割が就業規則の変更によって行われ、うち二割は労働者との協議がされていません。就業規則を見ることさえできない職場も多く、この実態を是正し真の労使対等を実現することこそ必要です。
ところが、使用者の横暴を是正するどころか、「合意原則」を踏みにじる手段として利用してきた就業規則による労働条件の不利益変更法理を法律化したのです。しかも、判例の七要件を四要件に後退させています。
厚生労働省は、合理性がなければ就業規則による労働契約変更は無効としていますが、合理性の有無は裁判で決着をつけるしかありません。裁判は手間と費用と時間がかかり、多くの労働者は泣き寝入りせざるをえません。裁判に勝つまでは労働条件の引き下げを押し付けられ、勝ったとしてても失われた時間は返りません。貧困と格差の拡大が問題となっているときに、労働条件の不利益変更を可能にする法律を作ることは断じて認められません。
最低賃金法に反対するのは、労働者・国民の切実な願いである現行最低賃金の抜本的引き上げに結びつかないからです。
現在の最低賃金は、年収二百万円にもならない低水準の上、四十七都道府県ばらばらで大きな地域格差があります。法案には生活保護水準との整合性が盛り込まれましたが、大幅引き上げや格差解消には不十分です。
事業者の支払い能力を最低賃金決定の際に考慮に入れている国はOECD三十カ国中メキシコと日本だけです。支払い能力基準を削除し、最低賃金が憲法二五条の生存権保障であることを明確にする必要があります。
法案によって地域別最低賃金は必ず定めるものとされました。地域別最低賃金を導入しているのは、世界でわずか九カ国で、圧倒的多数は全国一律最低賃金です。深刻化する地域格差を解消し、すべての労働者の賃金引上げを実現するためにも、地域別最低賃金を必須のものとせず、中小企業支援の抜本的な強化とあわせて、全国一律最低賃金の導入こそが必要です。
物価や生計費の違いは全国一律最低賃金に上乗せして地域別最低賃金を定めればよく、全国一律最低賃金を導入しない理由にはなりません。
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