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2007年11月 6日 (火)

教科書調査官・照沼康孝氏は「新しい歴史教科書をつくる会」の伊藤隆氏の紹介

 文科省の教科書調査官も教科用図書検定調査審議会の委員も伊藤隆氏の人脈であることが明らかになっていましたが(10月15日の記事)、そのうち調査官の照沼康孝氏は伊藤氏の直接の紹介で調査官になっていたことが明らかになりました。縁故採用であって、全然公正に選ばれてないんですね。

 この伊藤隆氏、取材したしんぶん赤旗記者に「『赤旗』なんかつぶしてやりたい」とまでわざわざ言ったというのですから(引用の記事参照)、相当偏っている頑なな「イデオロギー」を持っている人なのでしょう。まあそう言いたいなら言ったっていいですが、自民党や公明党の議員に取材してもこんなことまで普通思ってても言わないでしょう。

 このような人物がこのように選ばれている教科書検定制度の、一体どこが「公正・中立」なのでしょうか。極めて「政治的」、「イデオロギー的」と言うべきです。

 教育に政治やイデオロギーを持ち込んではなりません

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 しんぶん赤旗日曜版の記事を引用しておきます。

2007年11月4日(日)「しんぶん赤旗 日曜版」

沖縄戦「集団自決」の軍強制削除
問題の教科書調査官は「つくる会」人脈だった

20071104kyokashochosakan  沖縄戦「集団自決」の教科書記述から軍強制を削除する原案をつくった文部科学省の教科書調査官。その4人のうち1人が、調査官に就任したのは、元「新しい歴史教科書をつくる会」の中心メンバーの紹介であることが明らかになりました。(前田泰孝記者)

 この教科書調査官は照沼康孝氏。現在、主任調査官です。

 照沼氏を紹介したのは東京大学の伊藤隆名誉教授。「つくる会」設立当初から理事です。

 照沼氏の、教科書調査官就任の経緯は、時野谷滋氏(元教科書主任調査官)の回想記(『時野谷滋博士還暦記念制度史論集』1986年12月1日発行)で次のように記されています。

 「58年(1983年)度の増員(教科書調査官―編集部注)に当たって、どうしても必要な日本近現代史専攻の方を求めたところ、幸いにも伊藤隆東大教授のお力によって、同教授門下の照沼康孝調査官を10月1日付でお迎えすることが出来た」

 時野谷氏は当時、主任調査官で、調査官の欠員が生じるたびに、自身が評価する人脈に頼って、採用していた様子を詳しく書いています。

 伊藤氏は本紙の取材に、時野谷氏の記述について「その通りだ」と認め、照沼氏は「そちらの解釈に任せる」と否定しませんでした。

 「つくる会」は、かつての日本の侵略戦争を美化・肯定する「靖国」派です。

 同会がつくった中学生用歴史教科書『新しい歴史教科書』(出版・扶桑社)は、過去01年、05年の2回、教科書検定に合格しています。伊藤氏は01年に執筆・監修し、05年には監修者として名を連ねています。

 01年検定では、照沼氏が教科書調査官として扶桑社版を担当しています。

4人のうち2人が弟子

 照沼氏は東京大学文学部国史学科(現、日本史学研究室)出身で、伊藤氏の教え子です。

 伊藤氏は本紙の取材に「『赤旗』なんかつぶしてやりたい」と言い放ちました。同氏は日本のかつての侵略戦争を次のように正当化しています。

 「この結果起こったのは世界中から植民地が一掃されたという事態です」(『正論』1999年1月号)

 この特異な戦争観は、伊藤氏が執筆、監修した『新しい歴史教科書』にも表れています。

 日本のアジア・太平洋戦争を、当時の軍部の呼び名そのままに「大東亜戦争」と呼び、侵略を「東南アジアやインドの多くの人々に独立への夢と勇気を育(はぐく)んだ」と美化。

 沖縄戦については、軍による強制はおろか住民虐殺や「集団自決」そのものに触れていません。

 「集団自決」の軍強制を削除させた検定意見原案をつくった調査官4人の中には、もう1人、東大文学部日本史学研究室出身で、伊藤氏の教え子の村瀬信一氏がいます。

 日本史担当教科書調査官4人のうち2人が靖国史観の伊藤氏と師弟関係にある―。

 「公正・中立」の看板のもとで、こんな事態が進行していたのです。検定制度の根本にかかわる問題です。

 渡海紀三朗文部科学相は教科書検定について、日本共産党の石井郁子議員の質問に「透明性をあげるよう検討したい」(10月24日、衆院文部科学委員会)と答弁しました。ただちにとりくむべきです。

教科書調査官制度なくせ
教科書執筆者、歴史教育者協議会委員長 石山久男さん

 教科書調査官は人選の基準が不透明です。

 照沼調査官が伊藤氏の紹介で調査官になったという事実は、教科書調査官制度がいかに、特定の思想的グループに偏ったものであるかを示したといえるでしょう。

 文科省の常勤職員である教科書調査官が検定の主役を担う現行制度は、1956年、政府・文科省が自らの考え方にもとづき教科書の書き直しを強制するために導入したものです。

 検定で「集団自決」の軍関与を削除するという政治的介入を許したのは、教科書調査官制度の弊害を典型的に示したものです。こんな制度はなくすべきです。

"仲間内検定"だとは
「つくる会」歴史教科書採択に反対した東京・杉並区の母親(55)の話

 まるで"仲間内の検定"だったんですね。

 だからでしょうか。杉並区で強引に採択された「つくる会」教科書には間違いが多くて、先生も子どもも親も困っています。

 検定のこんな実態が明らかになった以上、この教科書は一日も早く教室から一掃してもらいたいです。

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