「検定意見の撤回は必要、訂正申請は記述の早期回復のため」―執筆者懇談会の声明
2007年11月6日(火)「しんぶん赤旗」
沖縄戦「集団自決」をめぐる教科書検定問題で五日、「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」など三団体の連名で代表の三人が、沖縄県民の揺るがぬ思いは検定意見の撤回であることを認識し、文科省の責任で検定意見を撤回するよう要求しました。
検定問題では、教科書五社のうち四社が文部科学省に訂正申請を提出しています。琉球大学の高嶋伸欣教授は訂正申請が進むなか、文科省が責任転嫁をしたまま問題の決着が図られていることを危ぐしていることを表明。改めて検定意見の撤回を求めました。不適切な検定を実施した審議会委員とほぼ同じ顔ぶれによる訂正申請の審査は公平性に欠け、執筆者にとって不安だと指摘。「是正措置なしでは済まされない」とのべました。
今回のような問題が繰り返されないよう、教科用図書検定基準に「沖縄条項」の新設を提起しました。対応した初等中等教育局教科書課の松木秀彰課長補佐は、慎重な取り扱いが必要だとしました。
「沖縄の真実を広める首都圏の会」呼びかけ人の俵義文さんは、五日現在で沖縄を除く地方自治体の三十五議会が「意見書」を採択し、運動が広がっていることを指摘。早期の解決を決断するよう求めました。
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が同席しました。
2007年11月6日(火)「しんぶん赤旗」
高校日本史の「集団自決」をめぐる教科書検定問題で五日、社会科教科書の執筆者らが第三回の懇談会を開き、この間の各社の訂正申請をめぐる動きなどについて情報交換しました。執筆者懇談会として声明を発表することなどを決めました。
また、懇談会では今後の取り組みとして、検定制度そのものの改善に向けて他教科の執筆者とも連携していくこと、検定意見の通知があった段階で情報交換のできる場を設けていくことなどを話し合いました。
ある社の執筆者は、訂正申請について、日本軍が「集団自決」を強いたという意味内容で元の記述に戻すとともに、琉球の歴史についてほかの部分も補強したことを明らかにしました。
2007年11月8日(木)「しんぶん赤旗」
検定意見の撤回必要
訂正申請は記述の早期回復のため
執筆者懇が声明
沖縄戦「集団自決」高校日本史の沖縄戦「集団自決」をめぐる問題で、解決に向け協議を重ねてきた社会科教科書執筆者懇談会は七日、記者会見し、訂正申請提出にあたっての声明を発表しました。問題の根本的解決のためには検定意見の撤回が必要だとの姿勢を改めて示しました。
声明は、文部科学省が検定意見を撤回せず、訂正申請に対しての基準も明らかにしていないもとでは、「訂正申請によって問題が正しく解決されるとは到底考えられない」と指摘。「問題の根本的解決のために検定意見の撤回をあくまでも求める立場に変わりはない」とのべています。
一方で、記述が回復・改善された教科書を来年四月に高校生に手渡したいという思いがあるとし、教科書の供給に間に合わせるため、「一つの方法として、この時点での訂正申請の提出に踏み切った」と模索した思いを語っています。
今後の取り組みとして、教科書調査官や検定審議会委員の人選の透明化と公正化、審議の公開など検定制度の改善に向け、他教科の関係者らとともに検討し、具体化して文科省に働きかけていきたいとしています。
同会呼びかけ人で歴史教育者協議会委員長の石山久男さんは、今後検定意見の問題があいまいにされることがないよう注視し、「(声明の内容を)国民に広く呼びかけたい」とのべました。
併せて、「沖縄戦の事実を歪(ゆが)める教科書検定の撤回を求める歴史研究者・教育者のアピール」に六百四十六人が最終的に賛同したことを報告しました。呼びかけ人は二十七人。
2007年11月8日(木)「しんぶん赤旗」
訂正申請審議
専門家聴取へ
教科書検定審沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史の教科書検定問題で、日本軍の強制があったとする記述を削除した教科書会社からの訂正申請について審査するため、教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会が開かれ、沖縄戦の専門家から意見を聞くことを決めたことが七日、分かりました。
訂正申請に基づく審議会開催は初めて。今後、数回の会合を重ね、渡海紀三朗文部科学相に審査結果を伝えます。これを受け文科省は、年内にも訂正を承認するか決定する予定。
関係者によると、小委は今月五日に東京都内で第一回会合を開き、集団自決に関して沖縄戦の専門家から意見を聞くことを決めました。人選などはこれから詰めるといいます。会合には文科省の教科書調査官も出席しました。
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