イギリスのブラウン国防相が、タリバンとの話し合い必要
リンクはいずれも松竹伸幸さんのブログ「編集者が見た日本と世界」のものです。
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9月9日「テロ特措法と国連決議(中)」
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2007年9月18日(火)「しんぶん赤旗」
「米軍誤射は日常」の泥沼
インタビュー アフガン戦争6年
日本国際ボランティアセンター
(JVC)代表理事 谷山博史さんたにやまひろし 一九五八年生まれ。中央大学大学院卒。八五年からJVCに参加。ラオス、カンボジアで現地代表を経た後、〇二年から〇六年までアフガニスタン現地代表。〇六年十一月からJVC代表理事。
戦争と復興のプロセスが同時に進んでいるアフガニスタンで、私たちの活動も複雑な状況に置かれています。
増える犠牲者
私は二〇〇二年から四年間、日本国際ボランティアセンター(JVC)の現地代表としてアフガニスタン東部ジャララバードに駐在し、農村で医療支援や教育支援を行っていました。
最初の一年間は一人で外を歩いても危険を感じませんでした。しかし、〇三年に武装勢力タリバンが「ジハード(聖戦)」を宣言して、復興活動にかかわるNGO(非政府組織)も戦争の一端を担いでいるとして攻撃対象にして以来、NGO関係の犠牲者が年々増えています。
タリバン政権崩壊後の〇一年十二月にボン和平協定を結びましたが、「和平協定」といいながら戦争の当事者(タリバンなど)は排除されています。彼らにとって戦争は続いており、復興活動の関係者も敵になってしまうのです。
一方で、米軍の「対テロ」戦争が続き、毎年約一千人の住民が巻き添えになって死亡しているとみられています。〇五年四月に、私たちのスタッフのお母さんが乗合タクシーで移動している時に、前方から米兵が発砲し、後方の米軍の装甲車も発砲しました。彼女はわきと腹に三発の銃弾を受けて重傷を負いました。米軍は誤射を認め、私たちは謝罪と補償を要求しましたが、米軍の担当官は、「こういうことは日常茶飯事だから、いちいち調査をしていられない」と言いました。
こういうことが積み重なれば、米軍への反発や米軍に好き勝手させている政府への不信が一気に広がることを感じます。
診療所を占拠
私たちにとって最悪なのは、米軍が軍事活動の一環として行っている「復興」活動(PRT)です。ある日、私たちが支援している診療所を米軍が占拠して、医師を追放して「医療活動」と称して薬や石けん、シャンプーを配ったりした。これは医療活動とはいえない単なるばらまきです。
しかも、彼らは診療所の敷地から向かいの丘に向けて射撃訓練までしました。これについては赤十字国際委員会が「医療施設の中立性を侵害した。ジュネーブ協定違反だ」と指摘しました。
このPRTに自衛隊を参加させようという考えもありますが、絶対にやめてほしい。私たちは、てきめんに攻撃対象になってしまうでしょう。
インド洋での海上自衛隊の給油活動については、アフガンの人たちに知られていません。だからこそ、「あんたたちはちがう」と、どこでも判で押したように言われ、私たちは比較的安全に活動できるのです。
自衛隊が支援する米軍の「対テロ」戦争がアフガンの状況をいい方向に持ってきているとは思えません。泥沼にはまり展望が見えないのです。
最近、紛争当事者であるタリバンと米軍などが地域ごとに和平協定を結んで双方が撤退するという方式が和平と信頼醸成の方式として試みられています。「ピース・ジルガ」(平和のための会議)と名づけられています。
和平協定を結んだ後はその地域を中立にして、地域の自治で安定化させる。簡単ではないでしょうがこういった地域をたゆまなく広げていく。昨年、アフガン南部のある地域で英軍とタリバンが和平協定を結んで双方が撤退した例もあります。
外交的手段で
本来なら、日本がこのような取り組みを主導すべきです。アフガン本土に日本は自衛隊を派遣しておらず、歴史的にも侵略行為をしていないため信頼されています。イランやパキスタン、そして米国とも良好な関係を持っている日本は、外交的な手段で和平の主導権を担う立場にあるのです。(聞き手 竹下岳)
2007年9月28日(金)「しんぶん赤旗」
タリバンと話し合い必要
英国防相【ロンドン=岡崎衆史】ブラウン英国防相は二十四日、英南部ボーンマスで開催中の労働党大会の小集会で、アフガニスタン情勢について発言し、現在英軍も含む多国籍軍がたたかっている旧タリバン政権勢力との話し合いが必要になるとの見通しを示しました。
ブラウン国防相は、「アフガニスタンでは、ある時点で、和平プロセスにタリバンが関与する必要がでてくる」と述べました。
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