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2007年10月 1日 (月)

「集団自決」検定意見撤回を求める世論が国政を動かし始めた

 既に新聞でもブログでもたくさん取り上げられていますが、9月29日に沖縄県で「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が開かれ、人口137万余人の同県で11万人を超える人が集まりました。その力が早速国政を動かし始めています。

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日本軍強制削除、修正も=文科相に検討指示-教科書検定の集団自決問題・官房長官(2007年10月1日19時1分配信 時事通信)

 高校日本史の教科書検定意見で、沖縄戦の集団自決に日本軍の強制があったとする記述が削除された問題で、町村信孝官房長官は1日午後の記者会見で「修正できるのかどうか、関係者の工夫と努力と知恵があり得るかもしれない」と述べ、渡海紀三朗文部科学相に検討を指示したことを明らかにした。

 文部科学省令に、教科書会社が検定後に誤りを自主的に修正する「訂正申請」の規定があり、文科省が訂正申請を勧告することも可能。同省はこれらを含めた具体策の検討に入る。

検定見直し国会決議も/超党派視野民主が検討(沖縄タイムス 2007.09.30)

 民主党の菅直人代表代行は二十九日、政府や文部科学省に「集団自決(強制集団死)」で軍強制を削除した検定のやり直しを求め、応じない場合は超党派で国会決議案提出を検討する意向を示した。また、国会の委員会審議の参考人として「集団自決」体験者を招き、証言を直接聴取する考えも明らかにした。

 教科書検定撤回を求める県民大会に出席した後、記者団の取材に応じた菅代表代行は「臨時国会の代表質問や予算委員会審議で取り上げ、文科省の調査官のコントロールでねじ曲げられた検定のやり直しを求める」と強調。「検定の見直しや規則を変えることに応じなければ、国会の意思を問う」とした。野党共闘を軸に、与党にも働き掛け、超党派で提出する考えを示した。

 大会に出席した共産党の市田忠義書記局長は「県民大会の決議の趣旨であれば賛同する」、社民党の照屋寛徳副党首も「検定撤回を求め、国会の意思を示すべきだ」と賛同。国民新党の亀井久興幹事長も「決議に賛成したい」とし、野党各党とも国会決議案提出に賛成する意向だ。

 一方、与党側は、参加した公明党の遠山清彦宣伝局長が「撤回を求めるのは同じだが、国会決議で個別の検定を見直すことは今後の政治介入を許す危険性もあり、慎重に対応したい」との考え。自民党の県選出・出身でつくる「五ノ日の会」の仲村正治衆院議員は「今回の大会決議で要請することが先だ。今後の対応は党の協議次第だ」と述べるにとどまった。

 琉球新報の号外をアップすると共に、沖縄タイムス、しんぶん赤旗の記事をリンクないし引用しておきます。

2007.09.29.(琉球新報)教科書検定意見撤回を求める県民大会(PDF)

沖縄タイムス「沖縄戦『集団自決』問題」

2007年10月1日(月)「しんぶん赤旗」

「醜くても真実を知りたい」
沖縄県民大会高校生代表の訴え

 沖縄で二十九日に開かれた教科書検定意見撤回を求める県民大会での高校生代表・津嘉山拡大さん(読谷高校三年生)と照屋奈津美さん(同)の訴えを紹介します。

 「沖縄戦での集団自決に日本軍の強制があったという記述は、沖縄戦の実態について誤解する恐れがある表現である」

 ある日の朝、私の目に飛び込んできたこの新聞記事。私は"誤解"という検定意見書の言葉に目を奪われました。この記述をなくそうとしている人たちは、私たちのおじぃ、おばぁたちが、うそをついていると言いたいのでしょうか。それとも、思い違いだったと言いたいのでしょうか。

 私たちは戦争を知りません。ですが、一緒に住む、おじぃ、おばぁたちから戦争の話を聞いたり、戦跡を巡ったりして沖縄戦について学んできました。おじぃ、おばぁたちは重い口を開き、苦しい過去を教えてくれました。死体の山を越え、誰が敵で誰が味方か分からなくなる怖さ、大事な人を目の前で失う悲しさ、そして悲惨な集団自決があったことを。

 なぜ沖縄戦で自ら命を絶ったり、肉親同士が命を奪い合うという残酷なことが起こったのでしょうか。

 住民は事前に「敵につかまるくらいなら死を選べ」「米軍の捕虜になれば、男は戦車でひき殺され、女は乱暴され殺される」という教育や指示を受けていたといいます。さらに、手りゅう弾が配布されました。極限状態におかれた住民たちはどう感じたでしょうか。手りゅう弾を配った日本軍は明らかに自決を強制していると思います。

 私たちが住んでいる読谷村には、集団自決が起こった「チビチリガマ」があります。ガマの中は、窒息死をするために火をつけた布団の煙が充満し、死を求める住民が毒の入った注射器の前に列をなしました。母が我が子に手をかけたり、互いを刃物で刺し合い、八十人以上もの尊い命が奪われました。そのなかには年寄りから、まだ五歳にもならない子どもまでもが含まれていたのです。

 集団自決や教科書検定のことは私たち高校生の話題にもあがります。「教科書から集団自決の真相のことが消されるなんて考えられない」「たくさんの犠牲者が実際に出ているのに、どうしてそんなことをするのだろう」。私たちは集団自決に軍の関与があったということは、明らかな事実だと考えています。

 なぜ、戦後六十年以上を過ぎた今になって、記述内容を変える必要があるのでしょうか。実際にガマの中にいた人たちや、肉親を失った人たちの証言を、否定できるのでしょうか。

 私は将来、高校で日本史を教える教師になりたいと思い、勉強をしています。このまま検定意見が通れば、私が歴史を教える立場になった時、教科書の記述通り事実ではないことを教えなければいけません。分厚い教科書の中のたった一文、たった一言かもしれません。しかし、その中には失われた多くの尊い命があるのです。二度と戦争は繰り返してはいけないという沖縄県民の強い思いがあるのです。

 教科書から集団自決の本当の記述がなくなれば、次は日本軍による住民虐殺の記述まで消されてしまう心配があります。

 うそを真実と言わないでください。私たちは真実を学びたい。そして、次の世代の子どもたちに真実を伝えたいのです。教科書から軍の関与を消さないでください。あの醜い戦争を美化しないでほしい。たとえ醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい。

2007年10月1日(月)「しんぶん赤旗」

主張
沖縄県民大会
「集団自決」検定を撤回せよ

 沖縄県の宜野湾市で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が十一万人もの県民の参加で開かれました。沖縄県知事をはじめ行政と県民が一体になった、燃え上がるような大集会となりました。

 参加者は高校教科書検定で政府が沖縄戦での「集団自決」が日本軍と無関係かのように書き換えさせたことに怒りの声をあげました。米兵による少女暴行事件に抗議して八万五千人が参加した一九九五年の県民総決起大会を上回る規模となったのは、「日本軍による強制」の記述を教科書から削除させた政府・文部科学省にたいする県民の怒りが頂点に達していることを示しています。

侵略戦争美化と一体

 大会決議は、今年三月の高校教科書検定で、文科省が沖縄戦の実態を「誤解する」といって、「日本軍による命令・強制・誘導」の表記を削除したことを糾弾しました。沖縄戦で戦闘による犠牲だけでなく、日本軍による住民虐殺、「集団自決」の強制という悲痛な体験をもつ県民が検定結果に猛反発するのは当然です。

 沖縄県議会と県下四十一市町村議会すべてがこの間意見書を採択し、検定結果を「歴史的事実を直視しない押し付け」と指弾し、検定撤回と「日本軍の強制による」との記述の復活を求めてきたにもかかわらず、安倍政権が拒絶した以上、県民から糾弾されるのは当たり前です。

 自国民を守るはずの日本軍が沖縄県民を死に追いやり、親子兄弟が殺しあう「集団自決」を強制したことは、侵略戦争の非人間的本質を端的に示す「代表例」であり、忘れてはならない歴史の事実です。

 「集団自決」は「日本軍による強制」という表現を削除したのは、日本軍が侵略した南京では「大虐殺はなかった」、「慰安婦」を「日本軍が強制した事実はない」といって侵略戦争と日本軍の行為を正当化する政府の策動と一体です。

 しかも「新しい教科書」の監修者と同じ研究グループで活動していた経歴をもつ教科書調査官を今回の検定作業にかかわらせました。侵略戦争を正当化する「靖国」派が主導したことはあきらかです。

 「集団自決」検定の撤回は、沖縄県民だけにとどまらず、全国民的な課題です。検定撤回を求める意見書を採択する地方議会も全国に広がってきており、こうしたとりくみを加速することが求められます。

 「公式の命令がない」から日本軍の強制はなかったという政府の言い分がそもそも通用しません。各地域に駐屯している日本軍の幹部が行事のたびに住民に、米兵に捕まる前に「玉砕すべし」と訓示していたことは、生存者の証言で明白です。

 体験者の証言は無視する一方で、当時の日本軍幹部の言い分だけを取り上げた検定は、「客観的な記述となるように指導をする」(八四年六月二十八日衆院内閣委員会 森喜朗文相=当時)との歴代文科省の約束にさえ反します。侵略戦争を正当化する「靖国」派のいいなりでなく、体験者の証言をこそ大事にすべきです。

受け継がなければ

 教師をめざす高校生は県民大会で、「あの醜い戦争を美化しないでほしい」と訴え、採択された県民アピールは「歪(ゆが)められた教科書は再び戦争と破壊へと向かう」とつよく警告しました。日本の将来を託すべき高校生に誤った歴史を教えることは、うそを教えて若者を戦争にかりだした戦前の誤りにつながりかねません。「集団自決」検定は撤回させるしか道はありません。

2007年9月30日(日)「しんぶん赤旗」

沖縄 島ぐるみ11万人
「集団自決」検定撤回を
軍関与削除に抗議
教科書問題 県民大会

 歴史の事実通り、高校歴史教科書に沖縄戦「集団自決」で日本軍が強制・関与したと書き込め―。二十九日、文部科学省の歴史わい曲に沖縄の島では怒りのうねりが大きな一つの意思を示しました。同日、教科書検定意見撤回を求める県民大会(同実行委員会主催)が宜野湾市で開かれ、参加者は、会場となった海浜公園に入り切れず約十一万人に膨れあがりました。

 この日同じ目的で、宮古島市や多良間村は「宮古郡民大会」を、石垣市や竹富町、与那国町は「八重山郡民大会」を開き、それぞれ二千五百人が参加しました。参加者数は県民十人に一人が参加したことになります。

 「文科省は生徒たちに、沖縄戦の真実を教えよ」「文科省は県民の声を聞け」との横断幕などが海浜公園会場を埋めました。会場内は身動きが取れない状態となり、周辺に人があふれました。会場につながる道路では人の列が続きました。

 演壇には日本共産党、民主党、社民党、社大党、公明党の各政党代表や、沖縄本島三十六自治体のうち、三十四市町村長が並びました。共産党から市田忠義書記局長、赤嶺政賢衆院議員、仁比聡平参院議員らが演壇に登りました。県民大会は立場の違いを超えた取り組みとなりました。

 「子どもたちに、沖縄戦における『集団自決』が日本軍による関与なしには起こり得なかったことが紛れもない事実であったことを正しく伝え、沖縄戦の実相を教訓とすることの重要性や、平和を希求することの必要性、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにはどのようにすればよいのかなどを教えていくことは、我々に課せられた重大な責務である」との大会決議が確認されました。

 あいさつに立った仲井真弘多県知事は「沖縄県民を代表する者として、今回の文部科学省の検定意見に対して強く抗議し、遺憾の意を表明するとともに、検定意見が速やかに撤回され、記述の復活がなされることを強く要望する」と述べました。

 実行委員長の仲里利信県議会議長が「今こそ、全県民が一丸となって立ち上がり、教科書から沖縄戦における軍隊による強制『集団自決』の削除に断固、ノーと言おうではありませんか」と呼びかけると、会場からは拍手がわき起こりました。

 大会のあと十月十五、十六日には、県知事や県議会議員、市町村長らが、教科書検定撤回を求めて文部科学大臣や首相に要請するため東京を訪れる予定です。

 沖縄戦「集団自決」の教科書検定 今年三月、文部科学省が沖縄戦「集団自決」に関して軍が関与したとする記述の削除・修正を求めた検定意見を来年度から使われる高校歴史教科書につけたもの。すべての教科書が書き換えられ、日本軍による命令・強制・誘導があったことが教科書から消えました。

2007年9月30日(日)「しんぶん赤旗」

沖縄県民大会
県民の叫びを聞き検定意見書是正を
市田書記局長が会見

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十九日、復帰後の県史上最高の十一万人が集まった県民大会に参加した後、記者団に感想を問われ、「歴史の改ざん、侵略戦争肯定は許さないという県民の地鳴りのような叫びが伝わってきた」と語りました。

 このなかで、市田氏は「沖縄戦の真実を正しく知ることは沖縄県民にとどまらない全国民的な意義がある」と強調。「住民が犠牲になった唯一の地上戦である沖縄戦は、自国民を守るはずの日本軍が戦争遂行のため住民を動員し、肉親同士を殺し合わせた、戦争の非人間的本質をあらわしたもの。戦後、二度と悲惨な戦争を繰り返させないという憲法の原点を守る上でも、沖縄戦の真実を国民全体が認識することが大切だ」と指摘しました。

 また、日本軍の関与を削除した教科書検定の意見書について、市田氏は「許されない歴史の書きかえだ」と指摘。日本軍が住民に「敵につかまるぐらいなら自決せよ」と教え、自決のために手榴(しゅりゅう)弾を配ったことなどをあげ、“軍の命令は公式ではなかった”とする政府の主張を厳しく批判しました。

 そのうえで、市田氏は「教科書の検定に『文科省は口出しできない』などという政府の言い訳は通用しない」と指摘。一九八〇年代、「集団自決」そのものがなかったという教科書の書きかえがされようとしたとき、世論の猛反発を受けて撤回した経緯などを紹介し、「事実と異なる記述がおこなわれた場合、是正するのが政府・文科省の責任だ」と述べました。

 さらに市田氏は、教科書検定の調査官は文科省職員であり、審議会のメンバーも自由主義史観研究会などのグループと同じ立場にたつ人々で構成されていると指摘。「教科書検定の透明性、公平性の確保が不可欠だ」と強調しました。

 市田氏は最後に、先の参院選では、「戦後レジーム(体制)からの脱却」という名のもとに自公政治が進める憲法改悪、侵略戦争美化に、ノーの審判が下ったと指摘。「国会では、代表質問でも委員会論戦の中でも、今回の県民大会での県民の叫びを伝え、誤った検定意見書の是正をはかるよう主張していきたい」と語りました。

 会見に先立ち、市田氏は大会実行委員会を訪問。大会成功にむけて、日本共産党に寄せられた支援金を仲里利信・県民大会実行委員長(県議会議長)に手渡しました。

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