NHK33カ国共同製作・民主主義「南米 ボリビア “先住民たちの革命”」、「アフリカ リベリア “女の内閣”」、そしてベネズエラ
ボリビアでは2005年12月の大統領選挙で先住民出身のモラレス氏が当選し、翌06年の1月から就任します。番組ではモラレス大統領と共に下院議員に当選した女性議員の当選後の苦闘を描きます。2人とも社会主義運動党(MAS)の出身。
しかし、ボリビアはまだ財政の貧しい国であり、思うように貧困対策が進みません。女性議員はそのために支持者から激しくつるし上げられもします。またスタッフにも裏切られ、その元スタッフが扇動する支持者からも突き上げを食らいます。
リベリアは、1989~2003年の14年間の内戦を経て、2005年10月の大統領選挙で、サーリーフ氏(女性)が当選し、新たな国造りが始まります(ここまでの歴史は1月7日の記事を参照)。しかし、内戦の傷跡は深く、そう簡単には進みません。やはり不満を持つ国民から突き上げられたり、政治的反対派の圧力もあります。サーリーフ氏はボリビアの女性議員同様、苦悩の日々を送ります。中国の胡錦涛国家主席の訪問を受けながらその援助を基本的に断り(1月30日の記事、2月6日の記事、2月16日の記事を参照)、他方アメリカから債務免除の約束を得て国造りに希望が出てきます。
どちらを見ても、国・社会の変革のためには、科学的展望・方針・政策とそれに基づく国民の組織が必要不可欠であることを今更ながら改めて感じます。
そう感じていたら、今朝のしんぶん赤旗に、ベネズエラ東部にあるボリバル県の国民参加・社会発展局で地区住民評議会を援助する仕事をしているアンドレア・マルティネスさんのインタビューが紹介されていました(3面「ひと」欄)。
彼女は、この間の経験で学んだことは、問題を抱えている人自身がそれを解決していく力を持っていることと述べ、「変革の基本は“組織された国民”だと思います」と語っています。
この記事を引用しておきます。番組のホームページはこちら。
2007年10月20日(土)「しんぶん赤旗」
ベネズエラのボリバル県で地区住民評議会を援助する
アンドレア・マルティネスさん
ボリバル県グアヤナ市に祖母と両親、叔母と住む。32歳「きつい仕事だけど、住民が必要とする事業を手伝える満足感があります」
「地区住民評議会」―。ベネズエラで、昨年四月からつくられた新しい住民自治機関です。東部ボリバル県の評議会を統括する県の国民参加・社会発展局で働いて一年ニカ月。「会の実績を知らせるため、いま地元記者のツアーを組んでいるところなのよ」。車やガイドの手配で大忙しです。
住宅や上下水道の改修などの生活改善事業を住民が立案し、政府から予算を受け取って具体化します。
同局はアルコールや麻薬中毒患者のリハビリセンターも管轄しています。「以前は病気を治し、牧師が説教して終わり。いまは彼らの職業訓練にまで責任を持ちます」。社会復帰した人が、中毒者をセンターに連れてくる事例もあります。
この間の経験で学んだことは、問題を抱えている人自身が、それを解決していく力を持っていること。「変革の基本は"組織された国民"だと思います」
公務員になる前は日立エンジニアリングで働いていました。労働組合を結成しようとしたら「別の部屋に隔離されて仕事をさせてもらえず、退職に追い込まれた」と唇をかみます。
一九七八年、ピノチェト軍政下のチリから両親が亡命。三歳でした。ベネズエラ共産党員になった父親は地域の世話役です。一家が営む小さな食料品店には、政府の社会政策についての間い合わせが絶えません。
「こんな家だから、私も住民と結びつく仕事を希望したのね。特権層のための政治は、もうごめんです」(松島良尚)
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