自衛隊は、あらゆる国民の意見・動向を監視―戦前の憲兵の復活
自衛隊が監視していたのは、イラク派兵反対運動だけではありませんでした。
医療費負担増、年金改悪、消費税増税などに反対する運動、国民春闘、ヘリコプターの騒音への苦情電話まで監視していました。
国民の会話まで監視していた戦前の憲兵と同じです。テレビドラマや映画で必ずと言っていいほど当時の国民を弾圧・抑圧しているものとして出てくるお馴染みのものです。
実態は徹底的に追求されるべきです。
また、このような活動は自衛隊法に根拠はなく、憲法にも違反する違法なものであることに議論の余地はありません。絶対に放置できないものです。違法行為は厳しく取り締まらねばなりません。
この点につき、今朝のしんぶん赤旗の「潮流」が簡潔で分かりやすい説明になっていると思うので、OCRしてさしあたりこれを引用しておきます。
2007年6月7日(木)「しんぶん赤旗」
潮流
「あんなに東京を焼いてしまって天皇陛下もくそもない。戦に勝つから我慢しろと言いやがって百姓はとった米も自由にならぬ。骨を折るだけだ」。
東京大空襲後の1945年4月、ある国民がもらした言葉です。会話を記録していたのは、憲兵司令部。皇室への敬意を欠く「不敬造語」がふえた、との解説つきで。当時、憲兵隊は毎月、国民の「造語飛語」をまとめ報告しています。
彼らは、庶民の戦争への反発や反感を警戒していました。「国民言論の指導に関しては格段の留意を要す」と。報告には、「この戦争はどうしても負ける」と話した人が「憲兵に引っ張られ」た話も記しています(川島高峰『流言・投書の太平洋戦争』)。
憲兵はもともと、軍人の犯罪を取り締まる軍の警察です。ところが、庶民のふだんの会話にまで聞き耳をたて、取り締まるようになりました。とくに、太平洋戦争をはじめた東条内閣のときです。"憲兵政治"とよばれます。
日本共産党の志位委員長が、自衛隊の情報保全隊の活動を告発しました。隊は各地の反戦運動を、高校生の集まりから山田洋次監督の発言まで、細かく監視し記録しています。それだけではありません。
「16名で『医療費負担増の凍結・見直し』の街宣・署名」「同名は…(自衛隊の)駐屯地当直司令に対し、ヘリ騒音苦情電話を実施」。手当たりしだいに団体や個人を見張り、ひそかに言行を記していました。志位さんがいいます。「憲兵政治」を「復活させようとする」試みだ、と。
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