« 沖縄戦首都圏の会・学習会(1)高嶋伸欣「教科書検定─沖縄からの異議申し立て」 | トップページ | 女性自衛官人権訴訟、第1回口頭弁論で原告・女性自衛官本人が意見陳述(意見陳述全文追加) »

2007年6月10日 (日)

自衛隊・情報保全隊のやっていることは特高警察・憲兵隊のやったこと

 法政大学大原社会問題研究所・編著の『日本労働年鑑 特集版 太平洋戦争下の労働運動』からの引用が、exod-USさんの所にあったので、読みました。「第四編 治安維持法と政治運動」の「第一章 治維法・特高・憲兵による弾圧」の「第二節 流言飛語の取締り」です。

 exod-USさんは、情報保全隊の国民監視に関わってブログの記事にしているんですが、まさにドンピシャ、情報保全隊のやっていることは戦前・戦中に特高警察と憲兵隊がやってたことと全く同じなんです。改めてびっくり。

 個人の素朴な発言や投書を問題視してきちんと処罰しているんですね。情報保全隊も、騒音に抗議する電話を掛けただけできちんと調査してます。小さな集会での発言や報道機関の記者の取材もしっかりとチェックしてます。後は処罰する法律さえあればすぐに処罰できます。

 特高警察・憲兵隊は、「反戦反軍」を最も警戒してますが、情報保全隊は「反自衛隊行動」をしっかり分類しています。要するに、当時は軍隊自体と政府の戦争行為に反感を述べただけで刑事処罰され、今は自衛隊に抗議しただけで、また自衛隊を取材しただけで「反自衛隊」と分類するんですね。

 しかも、特高警察・憲兵隊は、特別の性格や思想が動機となっているのでなく、「大衆一般の戦局悪化に伴う厭戦敗戦感と戦時生活の逼迫から自然発せる苦痛の中に根源を持つ具体的生活的動機のもの」を最も警戒し、これらの動機に出るものは、「反戦反軍的思想感情の広汎なる〔ウン〕醸地を準備するものとして注目に値する傾向」だとして、特に「意識的計画的なる態様のもの」、「宣伝、煽動的意図に出でたる態様のもの」に「厳重警戒を要する」としています。

 すなわち、国民の生活の実情から出る自然の気持ちに基づいて、意識的な政治改革が行われることを「厳重警戒」しています。

 そうすると、この特高警察・憲兵隊と同じことをやっている自衛隊・情報保全隊は、「今の自衛隊」がやっている行動を抑えるような「政治改革」を「厳重警戒」していると言わざるを得ません。

 「国民主権」ではなく、「自衛隊主権」の体制を断固として守るべく既にしっかりと行動しているということです。

 僕たちは、断固として「国民主権」を貫きたい。

Banner←励みになりますのでクリックお願いします

« 沖縄戦首都圏の会・学習会(1)高嶋伸欣「教科書検定─沖縄からの異議申し立て」 | トップページ | 女性自衛官人権訴訟、第1回口頭弁論で原告・女性自衛官本人が意見陳述(意見陳述全文追加) »

政治1(日本06-自衛隊-国民監視)」カテゴリの記事

コメント

ご紹介ありがとうございます.
今回は勇気ある告発者からの内部資料の提供を得てはからずも情報保全隊の活動の一旦が暴露されましたが,政府は「すべて合法的な活動」と言い逃れして是正要求をかわそうとしています.デモ参加者の公安警察による写真撮影ですら違法という最高裁判決が出ているくらいですから,まして軍の一部である保全隊の現在の活動が不法なものであることは明らかです.もし政府の言うとおり「なんら問題性のない通常の活動」というのであれば,政府は国民の前にその実態を資料に基づいて全面公開する責任があります.さすがに今回はこの内部告発者を処罰するという話は出てこないようですが(監視活動の非合法性を自ら認めることになるので),次はありません.今日を逃したらこの問題を解決するチャンスは2度と来ないでしょう.

 exod-USさん、わざわざコメントをありがとうございます。また資料の発見と紹介をありがとうございました。
 この問題は具体的に知るほど恐ろしいものを感じます。
 ああいう居直りのまま逃がしておく訳にいきません。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

» 太平洋戦争下の労働運動 4-1.治維法・特高・憲兵による弾圧(法政大学大原社会問題研究所) [エクソダス2005《脱米救国》国民運動]
憲兵隊+特高でググったら,2006年5月に愚民党さんが大原社会問題研究所刊行の日本労働年鑑 特集版という大部な文献から興味深い一ページを切り取って阿修羅の政治・選挙板に投稿しているのを見つけた.タイトルは「第2節 流言蜚語の取り締まり」.仲間内で戦争を批判したり軍人や天皇の悪口を言っただけで特高や憲兵につかまるという暗黒時代の記録だ. 岐阜県の24歳の陶工は,「今度の支那との戦争は侵略的である。支那と戦争して領土を占領しても我々無産者には何等の利益等ない。結局戦争は資本家が金儲けするだけでこん... [続きを読む]

» 何を監視し何を失うのだろうか;自衛隊の国民監視 [花・髪切と思考の浮游空間]
自衛隊が国民を日常的に監視していたことを共産党が明らかにしました。監視していたのは情報保全隊という自衛隊の部隊。同党によれば、情報保全隊は、防衛庁長官直轄の情報部隊として、2003年3月に、それまでの「調査隊」を再編・強化してつくられた部隊である。陸海空の3自衛隊に設置され、隊員数は約900人とされる。……その任務は、表向きは「自衛隊の機密情報の保護と漏洩の防止」とされてきた。(同党HPから)とすれば、今回の日常的監視は、防衛秘密の保護と漏洩防止のためと考えざるをえないわけですが。しかし対象となった... [続きを読む]

» 戦争をしない、争わないために [関係性]
 「『反戦の母』活動停止」(朝日新聞5月30日付け夕刊)や「反戦の母『引退』表明」(しんぶん赤旗5月31日付け)が載った。  米兵だった息子をイラクで殺された母親シンディー・シーハンさん(49)は反戦運動の象徴的存在だったが、共和党と民主党に幻滅して、活動を停止した。  戦争終結に向けた運動ではなく、両党の次の大統領候補への宣伝として利用されたくなかったからである。「この国は、イラクで兵士たちが何人殺されるかよりも誰が次の米国のアイドルになるかを気にしている」(朝日)、「もしこの腐敗した『二大』政党... [続きを読む]

» 第213号 俺の経験+「キャットルーキー」=市民監視問題に対する... [「ちょっと、寄ってけらっせん」−伊東勉のページ。]
 今晩は。伊東です。 どうにも体調が行ったり来たり、という状況の中で、できる事からの活動をしていますが、ちとダメージが残っているので、明日は抑え目の活動になりそうです。 このブログでは、毎日のように「自衛隊の市民監視問題」について記事を起こしていますが...... [続きを読む]

» 国家暴力装置を考えてみる [日本国憲法擁護連合〜法大OBのブログ]
今回の自衛隊による国民監視は、公安警察と同様に警察や軍隊とは、国家権力の暴力装置であって、民衆を守るものではない!という証明になっているだろう。 すでに沖縄では新基地建設に反対する住民に対して軍艦が銃口をつきつけて接近しているのだから! 沖縄戦の否定もどんどん権力側や権力御用達のサンケイあたりから推進されてきたのもそういうわけだ。 だが、逆に住民側からは沖縄戦の事実や証言が相次いで登場しマスコミ各紙も報道するようになってきている。 公安デカの陰湿な嫌がらせもそ... [続きを読む]

» 護憲派候補者リストの見直し:社民党推薦候補は必ずしも全員9条堅持ではないのではないか? [エクソダス2005《脱米救国》国民運動]
当ブログで作成した「護憲候補者リスト」は①社民党支援ブログのsdpj_2007さんが作成されたリストに②反戦な家づくりの明月さんらの改憲アンケートの調査結果と③平和への結集ブログの東本高志さんのリストを加味したものである.この他に参照した資料としては,④中日新聞候補者聞き取り調査(アンケート),⑤共産党公式サイトなどがある.参議院には衆議院のような解散がなく,今回改選議員は向こう6年間参議院議員の地位を保証されるのだから,候補者の所見を十分吟味して慎重に判断する必要がある.もう一度これらのリストを再... [続きを読む]

« 沖縄戦首都圏の会・学習会(1)高嶋伸欣「教科書検定─沖縄からの異議申し立て」 | トップページ | 女性自衛官人権訴訟、第1回口頭弁論で原告・女性自衛官本人が意見陳述(意見陳述全文追加) »

最近の記事

カテゴリー

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のコメント

興味のあるHP・Blog

無料ブログはココログ