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2007年6月15日 (金)

パレスチナ統一政府崩壊(1)アメリカ好みのパレスチナ政府樹立への道(引用記事追加)

 ガザがハマスの支配下におかれ、ファタハのアッバス議長は非常事態宣言を出してハマスのハニヤ首相を解任し統一政府を解散しました。

 一方、英紙ガーディアンは、アルバロ・デソト元国連中東特使の、アメリカが中東和平を妨害しているとの内部報告書を暴露しました。

 今回の事態は、ハマス・ファタハの政治的欠点によってもたらされたものですが、その背後にこのパレスチナの政治的未熟さを利用するアメリカがいたことを見落としてはならないと思います。

 2月8日のハマス・ファタハによるサウジアラビア・メッカでの統一政府樹立の合意、3月28日のアラブ連盟首脳会議によるアラブ和平案復活決議、そしてこれらの動きと平行するアメリカのライス国務長官の中東歴訪と精力的な会談。さらに、パレスチナ内部ならびにイスラエルの武力闘争・軍事行動。

 これら一連の動きからは、パレスチナにアメリカ好みの政府を樹立しようとするアメリカの内政干渉的信念・行動が透けて見えてきます。昨年1月25日に評議会選挙でのハマス勝利を経て3月29日にハマス単独政府ができてからのEUなどの経済制裁(4月7日)はこのアメリカの意思を貫徹する助けになったと言わざるを得ません。

 こうなってしまった今でも、アラブ連盟のアラブ和平案に示された方向で各政治主体が努力していくことこそが、パレスチナ問題の真の解決をもたらすことに変わりはないと思います。目先の利害や感情に惑わされず、またアメリカの内政干渉的行動に乗せられることなく、この努力を何とか続けていって欲しいと思います。

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 各紙の記事を引用しておきます。

2007年6月15日(金)「しんぶん赤旗」

「米が中東和平妨害」
国連元特使 内部報告書で批判

 【ロンドン=岡崎衆史】五月に退任したアルバロ・デソト元国連中東特使が内部報告書で、米国のイスラエル支持政策が中東和平実現のために活動する四者協議(米、ロ、欧州連合、国連)の公平性を奪い、和平を妨げていると批判していたことが分かりました。英紙ガーディアンが、元特使による五十三ページの報告書を入手し、十三日付で報じました。

 「任務終了報告」(五月五日付)と題された報告書は、中東和平に関する四者協議について、「二〇〇七年初め以降、公平性が、かつてないやり方で、屈服させられてきた」と指摘。「米国と良好な関係を保ち、イスラエルと国連の関係を改善することに(同協議の)優先順位が置かれている」として、四者協議が米国とイスラエルとの関係のみを重視する著しく不公平な協議機関となっていることを警告しました。

 また、武装抵抗組織ハマス参加のパレスチナ自治政府に国際社会が支援停止など制裁措置をとったことに関連して、デソト氏が、ハマスと対話しイスラエルへの強い批判も行うよう主張したところ、米国の激しい反発にあったことを明らかにしています。

 さらに、米政府内には、ハマスと、アッバス・パレスチナ自治政府議長を支持するファタハとの衝突を歓迎する声があるとし、ある米政府関係者が「この暴力は好ましい。ハマスに対して他のパレスチナ人が抵抗していることになるからだ」と述べたことを紹介しています。

 報告は、国際社会が「すべてハマスの欠点に焦点を当てる」一方で、「イスラエルの入植活動や、(ヨルダン川西岸での)分離壁の建設は中断されずに続いてきた」ことには関心が払われてこなかったと指摘。米国のイスラエル支持が、イスラエルの横暴を助長し、和平を妨げていることに警鐘を鳴らしました。

内部報告の存在認める
国連報道官

 【ワシントン=鎌塚由美】英紙ガーディアンが、国連のデソト前中東特使の内部報告を暴露したことについて、国連のモンタス報道官は十三日、内部報告の存在を認め、デソト氏の「個人的意見」だと強調しました。

 モンタス報道官は、報告は、事務総長特使が任務の最後に行うもので、特使が「自らの意見を率直に述べる」ものであると説明しました。

パレスチナの挙国一致内閣崩壊、自治区分裂の恐れ パレスチナ問題(読売電子版)

 【エルサレム=三井美奈】パレスチナ自治政府のアッバス議長は14日夜、イスラム原理主義組織ハマスが自治区ガザの治安警察本部などを占拠したのを受け、ハマスのハニヤ首相を解任すると発表、自治区全域に非常事態を宣言した。

 アッバス議長が率いるファタハとハマスの連立による「挙国一致内閣」は発足から3か月足らずで崩壊した。

 一方、ハマスは同日、「ガザ地区全域を制圧した」と発表、自治区はファタハが支配するヨルダン川西岸と、ハマスが支配するガザ地区に分裂する可能性が高まっている。

 アッバス議長は西岸ラマッラの議長府で出した声明で、ハマスによるガザ地区のファタハ系治安組織への攻撃を「軍事クーデター」と批判、新内閣を設立すると発表した。また、評議会(国会)選挙を前倒し実施する方針も示した。

 これに対し、ハニヤ首相は、議長の決定を「性急で、これまでの合意に反する」と批判した。

 アッバス議長の声明について、米国は支持を表明。イスラエルは公式な反応を示していないが、自治区への武力介入は否定している。

 ハマスは14日、ガザ市にある議長府を占拠し、建物の屋根に緑色のハマス旗を掲げた。ハマスはこれに先立ち、同市内の治安警察本部などファタハの治安拠点を次々と制圧。ファタハ治安部隊は相次いで投降し、議長府はわずか数時間で陥落した。ハマスは「(米国やイスラエルの)協力者を処罰する」と発表し、ファタハ治安組織の幹部らを追跡、殺害している模様だ。

 ロイター通信によると、ファタハ系の警察官約100人が同日、エジプト側に逃走した。両派の交戦による死者も同日だけで30人を超えた。

 ハマスはガザ制圧を「イスラム法が支配する正義の時代が来た」と位置づけており、独自の統治を行う方針を示している。

 一方、ファタハはヨルダン川西岸各地のハマス拠点を相次いで襲撃し、ハマス支持者を拘束した。

(2007年6月15日11時19分  読売新聞)

パレスチナ分断 現実味
ヨルダン川西岸ファタハ支配
ハマスはガザ掌握
(日経新聞 2007年6月15日夕刊)

 【カイロ=森安健】イスラム原理主義組織ハマスがガザ全域を掌握したことで、パレスチナ自治区はハマスがガザを支配し、アッバス議長のファタハがヨルダン川西岸を握る権力の並立状態に陥った。イスラエルのオルメルト首相は十九日のブッシュ米大統領との会談でガザと西岸を切り離し、交流を遮断することを提唱する方針で、パレスチナ自治区の「分断」が現実味を帯びつつある。

 ハマス戦闘員らは十四日、ガザにあるファタハ系の治安部隊本部を次々と占領し、ハマスの緑の旗を掲げた。ガザ北部、南部の要所をハマス管理下のミリタリー・ゾーン(軍区域)に指定し、区域内に住む住民に十五日夜までに武器を差し出すよう命令した。

 一連の行動についてレバノンにいるハマス幹部オサマ・ハムダン氏は「一部のファタハ治安部隊が法を無視し行動し始めた。アッバス議長も抑えられないため、誰かが治安を維持しなければならなかった」と説明。一方、シリア在住のムーサ・マルズーク政治局次長は、政治体制に変わりがないことを強調した。

 アッバス議長は非常事態を宣言し、ガザの治安を維持するためアラブ連盟などが主導する国際部隊の派遣を要請。イスラエル側もハマスが武器・資金の補給ルートに使うエジプトーガザ国境を監視する国際部隊の必要性を強調している。

 イスラエル紙ハーレツは十四日、オルメルト首相が近く訪米する際にブッシュ大統領にガザと西岸の分断を提唱する、と報じた。これは直接的にはガザー西岸間の人やモノの流れを遮断することになる。だが、長期的にはガザを無視し、アッバス議長が掌握する西岸のパレスチナとのみ和平交渉を進めることを意味する、との見方が出ている。

 一九九〇年代のオスロ合意以来、中東和平は西岸とガザの両方を基盤にしたパレスチナ国家樹立を目指してきた。両地区の分断が現実化すれば中東和平そのものが変質しかねない。

米国務長官「アッバス議長を全面支持」(日経電子版 2007.06.15)

 【ワシントン=加藤秀央】ライス米国務長官は14日、パレスチナ自治政府のアッバス議長が非常事態宣言を発令したことについて「危機を終わらせるための議長の決断を全面的に支持する」と述べた。

 ライス長官は非常事態宣言に先立ち、アッバス議長に電話をかけ、同議長を支援する姿勢を改めて伝えた。国務省のマコーマック報道官によると、長官は12日から14日にかけてエジプトのアブルゲイト外相やスレイマン情報長官らと相次いで電話協議。国務省はヨルダン政府とも連絡をとり、アッバス議長への「政治的・外交的な支援」を求めた。

 米政府はハマスとファタハの衝突がガザ地区からヨルダン川西岸に飛び火する事態を警戒している。ガザ地区についてマコーマック報道官は、主要な都市や道路や港湾などのインフラはハマスの支配下に入ったとの見方を示した。(11:01)

パレスチナ統一内閣解散 アッバス議長声明 自治区は分裂(東京新聞電子版 2007年6月15日 夕刊)

 【カイロ=萩文明】パレスチナ自治区ガザで続く事実上の内戦で、イスラム原理主義組織ハマスは十五日未明、ガザ全域を制圧した。一方、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハを率いるアッバス自治政府議長は十四日夜、声明を発表し、両派などの統一内閣の解散と非常事態令の発令を宣言。統一内閣は三カ月の短命に終わり、パレスチナはハマス支配のガザとファタハ支配のヨルダン川西岸に分断される新局面に突入した。

 議長は声明で、ハマスのハニヤ首相の更迭と内閣解散を発表。ハマスを「違法民兵」と断定、同派によるガザ実効支配を「軍事クーデター」「犯罪的戦争」と指弾した。

 議長はさらに、両派に属さない人物を首相に据えた臨時内閣を発足させ「状況が許せば速やかに選挙を実施する」と明言した。自治評議会(国会に相当)選挙の前倒し実施を想定しているとみられる。評議会はハマスが多数派を掌握している。

 一方、ハマスは声明を「価値がない」と指弾。「拒否する。議長が内閣を解散しても、首相は職にとどまる」と述べ、声明を無視し選挙も拒絶する考えを示した。

 ハマスが実権を握ったガザに、現状では議長権限は及ばない。このためヨルダン川西岸の穏健派ファタハ政権と、ガザの「ハマス政権」に分裂する形となり、対イスラエル和平交渉の早期再開の道は完全に消滅した。

 議長は国際社会の支持を受け、米欧や穏健派アラブ諸国から事前に、声明への承諾を得ていた。

 ハマスはファタハに総攻撃を仕掛け、十四日に最重点施設の治安機関本部などを攻略。さらに翌日未明、最後に残っていたファタハ拠点の自治政府議長府を陥落させた。

 欧米がテロ組織とするハマスはイランとシリアに支持されている。綱領で「イスラエル破壊」を掲げ、イラン型イスラム国家を樹立することが目標。ファタハは、交渉によるイスラエルとの二国家共存を目指している。

2007/06/15-19:50 ガザ制圧のハマス内に亀裂=在外勢力が強い影響-パレスチナ(時事電子版)

 【エルサレム15日時事】15日にパレスチナ自治区ガザ全域を支配下に置いたイスラム原理主義組織ハマス内で、自治政府首相を解任されたハニヤ氏をはじめとする比較的穏健な政治指導者と、パレスチナ外の強硬派から支持を受けて行動しているとされる軍事部門の間で、今後の路線をめぐる亀裂が生じている。

 ハニヤ氏は15日未明、ガザで記者会見し、「われわれの連立内閣は続投する。アッバス議長の判断は性急だ」と主張。議長令を無視して内閣にとどまり、議長の支持基盤ファタハとの対話を模索する意向を示した。

 一方、ハマス軍事部門はこの会見とほぼ同時に、パレスチナ議長府に激しい攻撃を加え、陥落させた。ハマスは一連の作戦で多数のファタハ高官の身柄を拘束。軍事部門は「(敵とみなす)米国やイスラエルから密輸された武器などが発見された」と主張し、殺害も辞さない姿勢をちらつかせている。

2007/06/15-20:17 ガザの議長府を大モスクに=ハマス高官が計画披露-パレスチナ(時事電子版)

 【エルサレム15日時事】イスラエル放送によると、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの高官は15日、ハマスが運営するテレビ局の番組の中で、同日未明に陥落させたガザ市内のパレスチナ議長府の敷地に大きなモスク(イスラム礼拝所)を建設する計画を披露した。

ハマスがファタハ系の警備隊司令官ら拘束、自治区ガザ(CNN電子版)
2007.06.15
Web posted at:  19:46  JST
- CNN/AP

 パレスチナ自治区ガザ――パレスチナ自治政府の内閣を主導するイスラム強硬派勢力ハマスの治安部隊がほぼ全域を制圧した自治区ガザの情勢で、ハマスは15日、アッバス自治政府議長の支持母体ファタハ系の治安組織の司令官10人を拘束したと述べた。

 議長直属の警備隊司令官や治安機関の責任者らを含む。ハマス報道官は、ファタハ系の拘束者はすべて解放するとも述べた。

 同時に、ガザとエジプトとの越境業務はすべてハマスが管理するとも発表した。越境に関する業務はこれまで、イスラエルとパレスチナ自治政府との間の取り決めで欧州諸国の監視員が配置されていた。また、アッバス議長の警備隊が警戒任務にも当たっていた。

 イスラエルがハマスの宣言を受け入れているのかは不明。

 ハマスは14日、ガザの自治政府治安機関を完全制圧したと発表。これに対しアッバス議長はハマスとの連立内閣を解散し、非常事態宣言を発令している。今年3月に発足したハマスとファタハの連立政権は完全に崩壊した。

 ガザはハマス勢力の拠点となっている。

パレスチナ:ガザ地区が事実上、ハマスの「支配下」に(毎日電子版)

 【エルサレム前田英司】イスラム原理主義組織ハマスは14日、パレスチナ自治区ガザ市で攻撃していた穏健派ファタハ系の治安機関施設を制圧した。同市内の他のファタハ系拠点施設への攻撃も続けている。ファタハ幹部の多くがガザ地区を脱出したとされるほか、イスラエルとエジプト境界にある検問所は現在、すべて閉鎖されており、ガザ地区は事実上、ハマスの「支配下」に入った。

 背景には、自治政府の治安権限を巡るファタハとの対立に不満を募らせてきたハマスが、組織的に武力での権限奪取を強行している事情がある。

 ロイター通信によると、ガザ地区では9日以降、ハマスとファタハの戦闘で既に80人以上が死亡した。ハマスはガザ地区一帯にあるファタハ系の治安・情報機関施設や、主要道路の監視所などを次々と攻撃している。

 両者の衝突の根源はパレスチナ自治政府の治安権限を巡る対立だ。ファタハによる長年の「一党独裁」で、自治政府の治安機関はファタハ系が占めている。昨年3月にハマス単独政権が発足した後もその支配構造は変わらず、ハマスは独自の治安部隊「執行部隊」を創設して対抗。ファタハ系の治安機関との衝突を繰り返してきた。

 ハマスは今回の戦闘に先立ち、5月中旬、唐突にイスラエル領内への激しいロケット弾攻撃を再開した。イスラエル軍が報復空爆に出て、昨年11月にイスラエルとパレスチナが合意したガザ地区の停戦は崩壊したが、パレスチナ政策調査研究センターのシカキ代表は「ハマスの狙いは停戦を崩壊させることだった」と分析する。ファタハ出身のアッバス自治政府議長がイスラエルとの再度の停戦合意を模索するのは明らかで、ハマス側はそれに応じる取引材料として議長に治安再編実現を確約させる舞台をつくる狙いがあったという。

 ハマスとファタハはその後、エジプトの仲介で事態打開の交渉に入り、統一政府樹立を実現した2月のメッカ合意の再来を模索したが、不調に終わった。これを受けハマスが武力での「ガザ制圧」を強行したようだ。

 イスラエル軍筋によると、13日までにガザ地区に通じるイスラエル、エジプト境界の検問所はすべて閉鎖された。エジプト国境のラファ検問所に常駐する欧州連合(EU)監視団もイスラエル領内に出ている。ガザ地区は孤立状態に陥っており、ファタハ系からは「(我々は)ガザを失った」との声が漏れている。

毎日新聞 2007年6月14日 20時46分 (最終更新時間 6月15日 2時21分)

パレスチナ:ファタハ、西岸でハマス拘束作戦を開始(毎日電子版)

 【エルサレム前田英司】穏健派ファタハ系の治安部隊は13日夜から、ヨルダン川西岸の自治区ラマラなどでハマス関係者の拘束作戦を開始した。イスラエルのメディアによると、西岸内のハマス系武装集団や市長、学識者ら約1500人を拘束対象としている。ハマスが自治区ガザ地区を拠点とするのに対し、西岸ではファタハの勢力が優位にある。ハマスの「ガザ制圧」に対し、本拠地での反撃・死守に出た模様だ。ファタハがハマスの本格的な拘束に乗り出したのは90年代末以降、初めて。

毎日新聞 2007年6月14日 20時50分

パレスチナ:PLOが「統一政府」解体を勧告(毎日電子版)

 【エルサレム前田英司】パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラム原理主義組織ハマスの攻勢を受け、パレスチナ解放機構(PLO)の執行委員会は14日、アッバス自治政府議長に対し、非常事態宣言を発令するとともに、PLO主流派ファタハとハマスの連立で3月に発足した「統一政府」を解体するよう勧告した。

毎日新聞 2007年6月14日 23時21分

パレスチナ:議長が非常事態宣言 ハニヤ首相を解任(毎日電子版)

 【エルサレム前田英司】パレスチナ自治政府のアッバス議長は14日夜、イスラム原理主義組織ハマスが自治区ガザ地区を事実上制圧した事態を受け、自治区全域に非常事態を宣言、ハマス最高幹部ハニヤ自治政府首相の解任と政府の解散を発表した。これによって、3月に発足したばかりの議長派ファタハとハマスの「統一政府」は崩壊。自治区は、ハマス支配のガザ地区とファタハ支配のヨルダン川西岸に分断される恐れが高まり、パレスチナの自治体制は重大な危機を迎えた。

 アッバス議長は声明で「(ハマスによる)ガザ地区での犯罪的な戦闘と軍事クーデター」に対処するため、非常事態宣言を発令したと説明。近く「非常事態政府」を発足させるとともに、事態の収束を待って「市民の判断をあおぐ」ため、議長選挙や評議会(国会に相当)選挙を前倒し実施する考えも明らかにした。

 一方、ハニヤ首相は「職務を遂行する」と述べ、議長の決定に従わない姿勢をみせている。

 ハマスとファタハによる武力衝突が始まった9日以降、死者は110人を超えた。ハマスはガザ地区で、ファタハ系が占める自治政府の治安機関施設を次々に攻撃。14日夜までにガザ市の警察本部や保安本部、総合情報局に続き、議長府施設も制圧。ガザ地区内のすべての主要拠点を事実上、支配下に置いた。

 ハマスは昨年1月の評議会選挙でファタハを下し、同3月に単独政権を樹立した。これに対し、米欧などはアッバス議長を支援する一方で、ハマス政府に対しては「イスラエル承認」などに応じない制裁として直接支援を凍結した。ハマスとファタハは権力闘争の末、今年3月に統一政府樹立を実現したが、その後も対立は解消できず、暴力の連鎖に陥った。

毎日新聞 2007年6月15日 11時37分 (最終更新時間 6月15日 14時04分)

パレスチナ:自治区分断で議長の指導力は著しく低下(毎日電子版)

 【エルサレム前田英司】パレスチナ自治区ガザ地区を制圧したイスラム原理主義組織ハマスに対し、アッバス自治政府議長は14日、自派ファタハとハマスの「統一政府」解散という強硬策に打って出た。だが、自治区がガザ地区とヨルダン川西岸に事実上分断されたことで、議長の指導力は著しく低下することになり、非常事態政府が設立されても状況のさらなる混乱は避けられない情勢だ。

 ロイター通信によると、ハマス最高幹部のハニヤ首相は14日、「現政権はこれからも職務を遂行する」と述べ、アッバス議長の決断に従わない方針を明らかにした。ハマスが武力で支配権を握ったガザ地区は「銃が法に勝る」状況に陥っており、西岸に拠点を置くアッバス議長の命令を執行する治安部隊は存在せず、行政機能はまひしているのが実情だ。

 アッバス議長が発令した非常事態宣言の先行きにも大きな不安がある。基本法(憲法に相当)によると、議長に非常事態政府の設立とその後の新政府発足に向けた権限が付与される期間は、30日間に限られる。延長には評議会(国会に相当)で3分の2以上の賛成を取り付ける必要があるが、評議会の過半数はハマスが占めている。

 さらに、新政府の発足に向けアッバス議長が新たな首相を指名した場合にも、評議会の承認なしに組閣することはできない。また、基本法には評議会選挙(総選挙に相当)の前倒し実施に関する規定はなく、実現性には疑問符が付いている。

 ハマスがガザ地区を制圧する一方で、議長派のファタハは議長や閣僚が多くいる西岸で優位を占める。イスラエルのメディアなどは既に、ガザ地区を「ハマスタン」と呼んで西岸と区別しており、自治区の分断を既成事実化しつつある。

 アッバス議長とイスラエルのオルメルト首相は、暗礁に乗り上げた中東和平プロセスの再生に向け首脳会談を続けてきたが、ハマスのガザ支配によってイスラエル側が警戒感を強めるのは必至だ。欧米によるハマス包囲網の強化でガザ地区が一層孤立化することも予想され、住民生活のさらなる困窮が懸念される。

毎日新聞 2007年6月15日 11時51分 (最終更新時間 6月15日 12時23分)

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