沖縄戦集団自決、検定意見撤回求め県議会が意見書可決へ
ついに沖縄県議会でも検定意見撤回の決議がなされる流れになったようです。
イデオロギー的・政治的なものに過ぎない検定意見の主張は、真実の前には無力であることを証明した、と言えるでしょう。
各紙の記事を引用しておきます。
沖縄戦集団自決、検定意見撤回求め県議会が意見書可決へ(朝日電子版 2007年06月14日23時03分)
高校生が使う日本史教科書の検定で、沖縄戦での住民の集団自決をめぐる記述から「日本軍の強制」が削除されたことについて、沖縄県議会(定数48)が検定意見の撤回を求める意見書を可決する見通しになった。与党最大会派の自民党(20人)が14日の議員総会で、野党3会派が提起している意見書の提案に賛成する方針を決めた。他の会派も賛成する構え。文言を調整したうえで、19日から始まる6月定例会で諮る。
沖縄では14日現在、県内41市町村の議会のうち、同趣旨の意見書を可決した議会が27に上っている。県議会事務局によると、残る議会の一部でも可決に向けた動きがあり、この問題をめぐる沖縄での反発は、大きな広がりを見せている。
自民党はこれまで「軍の強制があったという事実が確認できないという意見がある」として意見書への態度を保留し、独自に調査を進めていた。13日には、伊波常洋・党県連政調会長らが文部科学省を訪ね、削除に至った経緯を聞いた。文科省側からは「軍命があったと断定する確固たる根拠がない、というのが通説になっている」との説明があったという。
14日の議員総会では、これらの結果を報告。議員の中には「もっと情報を収集すべきだ」「判断するには時間が必要」との意見もあったが、「これまでの調査で、教科書から『軍の強制』を削除するような理由は見当たらない」との意見が大勢を占め、意見書可決に向けて取り組むことで一致した。
自民、意見書に賛成/「集団自決」修正撤回要求(沖縄タイムス 2007年6月14日(木) 夕刊 1面)
県議会最大会派の自民党は十四日、県議会内で議員総会を開き、結論を先送りしていた高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定に対する撤回などを求める意見書への対応を協議し、賛成する方針を決めた。同問題に対する意見書は全会派の同意を得て、六月定例会で可決される見通しになった。今後、所管の文教厚生委員会(前島明男委員長)を中心に文案調整に入る。
総会では、文科省の布村幸彦審議官と十三日に面談した伊波常洋政調会長や国場幸之助幹事長代理が、同省の見解や検定で軍命が削除された経緯を説明した。
多くの県議が「『集団自決』は事実。修正すべきではない」「採択を見送れば、県民の反発を招く」など賛成する意向を示した。
一方で、「軍命の有無に対する事実関係が確かではない」「裁判で争われている。意見書は司法への政治介入になる」など反対意見も根強かったが、相次ぐ市町村議会の意見書可決の流れや、採択されない場合の県民からの反発を懸念する意見が大勢を占め、採択賛成の方向でまとまった。
伊波、国場両氏と面談した文科省の布村審議官は、検定の撤回について「検定制度の信頼性を損ねる恐れがある。ほぼ無理だろう」との見解を示したという。「集団自決」への日本軍の広い意味での「責任、関与」については「自覚している」と認めた。
一方で、教科書用図書検定審議会は「渡嘉敷、座間味の両島で部隊長の直接の命令があったかどうかは断定できない」との意見で一致。「『集団自決』のすべてに軍命があったとは言い切れないという判断から、軍命を削除する検定意見に至った」―との趣旨を説明したという。
同問題に対する意見書で、自民党内部は賛否の意見が割れ、定例会冒頭の採択に賛成できない方針を固めていた。だが、相次ぐ市町村議会での意見書採択や県民からの反響が大きく、事態を重視した執行部は「軍の何らかの関与があったのは事実」という認識で一致、賛成の方向で調整に入っていた。
渡嘉敷村議会が意見書/名護・西原も可決
【渡嘉敷】渡嘉敷村議会(島村武議長)は十四日午前、六月定例会の本会議で、日本軍による自決強制の記述を削除するよう求めた文部科学省の高校教科書検定について、「歴史的事実を直視しない押し付けの教科書であり、到底容認できない」と抗議、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。
意見書は安倍晋三首相や伊吹文明文部科学相あてで、「日本軍による命令、強制、誘導などなしに『集団自決』は起こり得なかったことは紛れもない事実。(検定は)体験者による数多くの証言や歴史的事実を否定しようとするものだ」と批判した。
渡嘉敷島に米軍が上陸した翌日の一九四五年三月二十八日、住民ら三百二十九人が手りゅう弾や農具などを使い、家族同士で命を奪い合うなどの「集団自決」が起きた。
名護市議会と西原町議会も同日、同様の意見書を全会一致で可決した。これで四十一市町村のうち二十六の議会で意見書が可決された。
県議会も意見書を可決する方向で調整中で、意見集約ができていない自民党県連は十四日午前の議員総会で協議する。
「集団自決、軍に責任」 文科審議官が言明(琉球新報電子版 2007.06.14.9:42)
【東京】文部科学省の教科書検定で「集団自決」の日本軍関与について断定的記述をしないよう検定意見が付された問題で、布村幸彦文科省審議官は13日、審議過程の説明を求めるため同省を訪れた自民党の伊波常洋県議らに対し「軍の関与、責任は確かにある」と述べた。
同問題について文科省は国会答弁などで「軍関与を否定するものではない」と説明してきたが、この日の布村審議官の発言は、軍関与の存在や責任を従来より明確にしたものだ。
検定意見の撤回について布村審議官は「検定制度の信頼性を失うことになるので、検定前の表現に戻すのは難しい」と困難視した。面談後、伊波氏と国場幸之助県議が記者団に明らかにした。
伊波氏によると、布村審議官は軍命の有無については「誰が追い込んだかは今の学説では断定されない」と説明。軍関与は認めるものの、直接的な軍命の有無は明確ではないとの認識を示した。
1982年に住民虐殺の記述が検定で削除され、県民の抗議行動の結果、記述が復活したことについては「県民感情に配慮しての政治判断だった」と話した。
同省の諮問機関「教科用図書検定調査審議会」は今回、座間味島、渡嘉敷島の事例のみを議論し、本島でも起きた「集団自決」は対象にしなかったという。
伊波氏は布村審議官に対し「渡嘉敷と座間味に限定された事象で沖縄戦の全体を見るべきではない。歴史を検証して後世に伝えるのが文科省の責務だ。沖縄戦の実態を伝える表現にしてほしい」と求めた。
自民党県連は検定意見の撤回を求める野党の意見書案の提出について、近く議員総会を開き、対応を決める方針だ。
文科省は2008年度から使用される高校教科書の検定で、「日本軍の命令や強要を否定、疑問視する学説や書籍が出ている」などとして、集団自決の軍関与で断定的な記述は避けるよう初の検定意見を付した。伊吹文明文科相は4月20日の衆院教育再生特別委員会で、「集団自決に対して軍の関与がなかったとは書いていない」との見解を示していた。
(6/14 9:42)
県議会も撤回意見書へ 「集団自決」検定(琉球新報電子版 2007.06.14.9:42)
文部科学省の高校教科書検定で沖縄戦の「集団自決」に関し日本軍の関与の記述が修正・削除された問題で、自民党県連は14日午前、県議会内で議員総会を開き、野党が提起している検定意見撤回要求意見書案への対応を協議、19日開会する6月定例県議会の会期中に全会一致で可決するよう努力することを確認した。自民党が賛成することで、県議会も教科書検定撤回要求意見書案を可決することが確実になった。今後、文教厚生委員会を中心に意見書案提案・可決に向け調整が進む見通し。
同県連は、野党会派から提案のあった定例会冒頭の意見書提案・可決には党内意見が一致せず、「大事な問題であり事実関係を確認したい」として同意しなかった。その後、8日の議員総会では6月定例会中の提案・可決に同意する方向で協議を進めていた。
この日の総会には、13日に文科省で布村幸彦審議官から検定の審議経過を聴取した伊波常洋政調会長の報告を踏まえて協議。
「調査をしたが、従来の記述を覆すには至らない」(池間淳総務会長)と、情報収集の結果、従来の記述を変更する理由はないと判断。また市町村議会の動向なども踏まえ結論を出した。
議員総会後、伊波政調会長は「意見書採択に向け県議会挙げ全会一致の方向で努力していくとの結論に達した」と説明。「各会派との文言調整はこれからだが、中身は撤回要求の方向で調整したい」と述べた。
(6/14 16:03)
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