日本共産党東京都議団、猪瀬氏には同意しない
日本共産党の副知事人事への対応は、「政策的な違いによって判断するのではなく、あくまでも都民の代表としての資格にふさわしいか否かで判断し、これ以外では反対しない」というものです。
この点を明らかにするために、都議団は6月21日、猪瀬直樹氏に5項目の公開質問を行い、25日に回答を得ました。
ところが、回答は2項目についてしかなされず、回答した内容も不十分なものでした。
そこで、都議団は「同意できない」という態度を取ることに決めたそうです。
公開質問状と猪瀬氏の回答、都議団の判断を、リンクや報道記事とともに引用します。
猪瀬 直樹 殿
副知事提案にかかわる公開質問状
(これに関わる都議団作成の資料(PDF))2007年6月21日
日本共産党東京都議会議員団このたび石原知事より、東京都副知事として猪瀬直樹氏が提案されました。わが党は、この間、副知事人事への対応について、政策的な違いによって判断するのではなく、あくまでも都民の代表としての資格にふさわしいか否かで判断し、これ以外では反対しないという態度をとってきました。この立場から、貴方にいくつか質しておきたいことがあり、質問をいたします。緊急ですが6月25日正午までに文書をもって回答されることを要請します。なお、都民からも注目をされていることであり、本質問状及び回答は公開させていただきます。
質問1 憲法の尊重擁護について
憲法99条は、公務員にたいし「この憲法を尊重し、擁護する義務を負ふ」と明記しています。憲法の尊重擁護は副知事としての職務を遂行するうえで、大前提となる問題です。他の副知事は、入都時点で憲法遵守の誓約書を提出しています。そこで基本的問題として貴方は憲法99条の規定にもとづき、憲法を尊重し且つ擁護するか否かを明確にお答えください。
質問2 地方自治体の本旨への認識について
公務員は、地方自治の本旨を体するとともに公務を民主的且つ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として公正に職務を執行する責務があります。このことについてどのよう認識していますか。
質問3 DC特区について
貴方は、「東京駅を中心に新宿駅までの約5キロを半径として円の中」を国直轄の「東京DC特区」として「大政奉還」し、DC内の税収は地方自治体にまわすべきとの考えをくりかえし表明しています。こうした考えは、「特区」地域の住民の自治権を否定することにつながりますが、どう考えますか。
質問4 女性蔑視発言について
貴方は、政府税制調査会の基礎問題小委員会での配偶者控除の議論のなかで次のように発言しています。「働かないで家でごろごろしている主婦が、子どもを産まないんです」「パラサイト・ワイフというのがでてきた。つまり変な生命力のない人たちがたくさん生じていて、お金を持ってぶらぶらしている」「そういう人は淘汰してもらうなり何なりしてもらわないといけない」
この発言は明らかに女性を侮蔑し、人格、人権を否定する暴言であり、副知事としての資格にかかわる問題です。
この発言について、いまでも正当と考えるのですか。それとも撤回し、謝罪するのですか。質問5 知事の政策との違いについて
貴方の言動をみると、石原知事の公約や政策と明らかに違う点があります。この違いについてどのように考え、対処するのですか。中学3年生までの子ども医療費無料化にしぼって質問します。
貴方は、「片山前知事と地方分権を語る」のなかで、23区内で広がっている中学生までの医療費助成を「バラマキが起きている」と批判しています。しかし石原知事の知事選での重要公約の一つに、中学3年生まで医療費無料化を都の負担で実施することがあり、考えが違います。どうですか。以上について、回答されることを求めます。
日本共産党都議団 幹事長 吉田信夫
日本共産党東京都議会議員団御中
2007年6月25日
猪瀬直樹
6月21日付の質間状について、以下の通り回答いたします。
・憲法を尊重します。
・女性蔑視発言はしていません。女性の社会進出が進むなか、「働く女性が子供を産み、育てていくのに適した環鏡を税制面から整えるべきだ」という考えから、年収を103万円の枠内に抑えている人だけが税制優遇されてしまうことに疑問を投げかけたものです。子育てや仕事をしている女性はもちろん、ボランティア活動やPTAなどの地域活動をしている主婦など、むしろ社会で活躍していく女性を応援しています。詳しくは『AERA』(05年8月1日号)のインタビューをご参照いただけますと幸いです。
以上
日本共産党都議団の談話「第二回定例会を終えて」の副知事選任に関わる部分
一、石原知事が四人目の副知事として提案した猪瀬直樹氏について、わが党は不同意の態度をとりました。わが党の副知事選任にあたっての判断の基準は、政策的な違いではなく、都民の代表として公務を執行する資質に問題がないかどうかです。この立場から五項目にわたる公開質問をおこないましたが、同氏の回答は二項目にとどまるという不誠実なものでした。回答の内容も、憲法については「尊重」といいながらも、公務員としての「擁護」の責務はふれず、専業主婦を「パラサイト」あつかいし「淘汰」すべきとした女性蔑視発言への反省は示されませんでした。また、「全体の奉仕者として公正に職務を執行する責務」について回答しなかったことは、きわめて重大です。
全体として猪瀬氏の回答は、地方自治の趣旨を体して執行すべき副知事としての資格を疑わせるものといわざるを得ません。
2007年6月27日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党東京都議団は二十六日、都庁内で記者会見し、石原慎太郎知事が開会中の都議会定例会に提案した、作家の猪瀬直樹氏の副知事選任案について、同意できないと表明しました。選任案は二十七日の最終本会議で議決されます。
吉田信夫幹事長は、猪瀬氏が党都議団の公開質問状に対する回答で、(1)憲法の尊重・擁護について、「尊重します」としているものの、擁護するか否かには言及がない(2)「働かないで家でごろごろしている主婦が子どもを産まない」「そういう人は淘汰(とうた)してもらう」との女性蔑視(べっし)発言について、「蔑視発言はしていません」とした―ことを指摘。「五問中二問にしか回答がなく、回答した内容は不十分だ」とのべました。
さらに、重大なこととして、地方自治の本旨にもとづき「全体の奉仕者として公正に職務を執行する責務」についての認識や、石原知事が知事選で公約した中学三年生までの医療費無料化を「バラマキ」とする猪瀬氏の立場への質問などに回答しなかったと指摘。「全体として猪瀬氏の回答は不誠実で、地方自治の趣旨を体した執行をすべき副知事としての資格を疑わせる」と強調しました。
猪瀬直樹氏、東京都副知事就任決まる(朝日電子版 2007年06月27日22時30分)
作家の猪瀬直樹氏(60)を東京都の副知事に起用する人事案が、27日の都議会で賛成多数で可決された。28日に就任し、任期は4年間。民間人からの副知事起用は都では58年ぶりで、都庁出身の3人に加えて副知事は4人となる。
人事案は共産を除く自民、民主、公明など主要会派が賛成した。「国と戦うための仕事がやりやすくなる」。猪瀬氏は議会後、意気込みを語った。石原慎太郎知事は「心強い助っ人が来てくれた」と述べた。
副知事として担当分野を限定せずに活動するという。地方分権改革推進委員会委員など政府審議会の委員も続ける意向だが、「自治体の要職にある人が審議会委員をかねるのは中立性から問題」との声もある。
石原知事が民間人からの副知事起用を表明したのは4月の知事選直後。ある与党の都議は「石原知事は3期目で最後と宣言したため、日ごとに求心力は衰える。猪瀬氏の存在はその補強になる」と指摘した。
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