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2007年6月27日 (水)

クローズアップ現代「“集団自決”62年目の証言―沖縄からの報告」

 この21日に放送されたクローズアップ現代は、沖縄戦における「集団自決」を取り上げ、いくつかのブログでも言及されています。確かに良い番組でした。そこで、それをほぼ全部文字に起こしてみました。

 これを取り上げたブログの1つに「ささやかな思考の足跡」というものがありますが、そこのコメント欄には「自由主義史観研究会の木村」という方から「梅澤元少佐と赤松大尉の無実を主張する私達の意見や証言は、ことごとくカットされておりました」、「番組では私達の団体名すらマトモに紹介されなかった」というコメントが寄せられ、「私達は放送にあわせて急遽、沖縄集団自決特集をアップしました」ということで、そのページへのリンク(http://www.jiyuu-shikan.org/tokushu.html)が書かれていました。

 しかし、僕には十分慎重で公平な放送だったとしか思えません。

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クローズアップ現代
「“集団自決”62年目の証言―沖縄からの報告」
(2007.06.21)

導入部の説明

 日本軍によって自決に追い込まれたというのがこれまでの通説。
 ところが、教科書に検定意見がつき、たとえば、「日本軍に『集団自決』を強いられたり」という記述が「追いつめられて『集団自決』した人や」と書き換えられた。
 沖縄から抗議の声が起こり、証言の聞き取りが進められている。
 その中から、日本軍によって住民が追い込まれた状況が浮かび上がってきた。

国谷キャスターの説明

 軍民合わせて20万以上が亡くなる。住民の4人に1人。
 「集団自決」、すなわち、追いつめられた住民が崖から飛び降りたり、日本軍によって渡された手榴弾で命を絶ったり、それでも死にきれなかった人たちが斧やカミソリで互いを殺し合う。
 日本軍に強いられたとされるのが通説、実際20年以上に渡って歴史教科書にもそのように記述されてきた。
 ところが、今年検定意見がついて、日本軍が直接関与したという記述がすべて削除された。
 記述の削除は、将来「集団自決」が正しく記憶されなくなる恐れがある、体験者の多くの証言が否定されることになるとして、41市町村のうち36の市町村議会で修正の撤回を求める意見書がほぼ全会一致で可決されている。

教科書検定による書き換えの例

「日本軍に集団自決を強制された人もいた」→「集団自決に追い込まれた人々もいた」
「日本軍に『集団自決』を強いられたり」→「追いつめられて『集団自決』した人や」

300人を超える住民が自決した渡嘉敷島の現場

 金城重明さん(78歳)の証言。自らの手で家族3人を殺した。決して自ら進んで自決したわけではない。
 「進んで死んだという、殉国美談ですよ。大きな間違いです。殺したくて殺したんじゃない、死にたくて死んだんじゃないです。私は一生加害者として自分を意味づけている。しかしそれは国の大きな被害者です。」

なぜ文科省は突然大きな書き換えを求めたのか

 去年12月の教科書調査官(2人の職員)と出版社側の会話。
 「日本軍は・・・・・・日本軍のくばった手榴弾で集団自害と殺しあいをさせ、」が問題となる。「沖縄戦の実態について誤解するおそれがある」と指摘。
 執筆した石山久男さん(元高校教諭)。その場に立ち会っていた。具体的に何が問題なのか。以下、調査官との会話。

調査官「このままでは軍隊から何らかの強制力が働いたような受け取られ方をしてしまいますので、それはちょっとお避けいただければ。」

出版社「『日本軍の手榴弾で』というのはいいのでしょうか。」

調査官「ええ。」

出版社「では『日本軍が“配った”手榴弾で』というのもいいのでしょうか。」

調査官「はい。それも事実かと思います。」

 調査官が強調したのは、日本軍と自決が直接結びつく部分の表現を弱めて欲しいというものだった。上記の「させ」というのが一番の問題だった。

なぜこのような検定意見が付けられたのか

 文科省がその大きな根拠に挙げたのが、日本軍の元隊長の証言。2005年8月の会見。元隊長の梅澤裕さん。「お前たち死ねなんていうね、そんな兵隊は一兵たりともおりません。」
 この元隊長は集団自決の命令を下したとされてきた。本人がそれを全面的に否定し、一昨年裁判を起こした。
 裁判を支援してきた団体。自由主義史観研究会。元隊長本人が命令を出した確かな証拠はないのに、教科書に軍の命令があったかのように書くのはおかしいと主張している。
 代表の藤岡信勝さん。「集団自決という悲劇について、それが特定の軍人の命令によるものだというフィクションが、今までまかり通って信じられてきましたから、教科書の記述を是正するためにも、この裁判をきっかけにして、歴史の真実が広く明らかになるような」

 もう1つの根拠は、6年前に出版された、林博文著『沖縄戦と民衆』。この中に隊長による「自決命令は出されていない」という一節がある。

調査官「『沖縄戦と民衆』、これを見ても、軍の命令があったというような記述はないわけです。」「最近、集団自決に際して、軍の正式な命令はなかったと、ほぼ固まりつつあるように私どもは考えているわけです。」

 林博文さん(関東学院大学教授)は、住民の側から沖縄戦の研究をしてきた。「どこをどう読めばそんな検定意見が出るのか、私には全く理解できない。」
 この本では様々資料や証言から自決が日本軍によって強制・誘導されたと結論づけている。林さんは、文科省が引用したのはある隊長について書いた部分に過ぎない、と言う。断片的な事実によって教科書の記述が変えられることはあってはならない、と林さんは考えている。

林博文「決して、たまたま部隊長がいて命令をしたから起きたという問題ではなくて、まさに日本軍という組織全体が、あるいは日本軍によって主導された当時の日本の国家体制全体が住民を不幸に追いやったんだと。で、そのことを見なければならない。」

国谷キャスターが、様々な証言を集め、沖縄県史の編集にも携わっている大城将保さん(『沖縄県史』編集委員)にインタビュー

国谷「教科書から日本軍の直接的な関わりの部分を削除する、そのことが沖縄の人々の心に強い反発をもたらしているのはなぜですか。」

大城「大変なショックですね。沖縄戦というと4人に1人亡くなったとか、沖縄本島だと3人に1人が死んだという風に、大変な激戦地だと普通言われていますけれど、一番の傷は、何と言ったって、日本軍から裏切られたという記憶なんですよね。最初は飛行場作りとか陣地作りのために、もう大人から子どもたちまで、全部根こそぎ動員して、軍のために一生懸命協力させた。その間に沖縄の人たちはみんな軍の秘密を知ってしまうわけですよね。そうすると、今度は米軍が上陸してくると、もう米軍に捕まったら日本軍の秘密を全部敵に流してしまうから、お前たちはスパイと同じだと、スパイになっちゃいけないんだということをですね、非常に強く言われます。そのためには、もうアメリカ兵というのは鬼みたいに怖くて、もう捕まったら男は股裂きにされちゃうとか、女性は乱暴されちゃうとかいうことを、さんざん言い含めるわけですよね。だからもう怖くて、とても米軍の所に手を挙げていくというそういう勇気も出ないのに、でも、米軍と日本軍の谷間に追いつめられていきますから、もうどこへ行ったらいいか分からない。ちょうどそういうときに、軍の方から、日本軍の方から、非常に大事に保管されている手榴弾とか青酸カリとか爆雷とかいうものをですね、こうずっと下まで降ろしてくるわけですよ。で、防衛隊の手からみんなに配られちゃうと、もう手榴弾を見たとたんにですね、あ、これは自決命令だなと。そうするともう右を見ても左を見てももうどこも逃げ道がないわけだから、最後には手榴弾だけがですね、もう一種の逃げ道になってしまったという、そういう悲劇なもんですから、これはもう心の傷になってでですね、お互い自分の家族の中で自分だけが生き残ったという、もう非常な負い目があるわけですよね。もう罪悪感が強いわけですよ。その心の傷をですね、何かこう古傷を引っ掻きむしるように、この、このね、掻きむしったのがですね、今度の教科書問題だと思うんですよ。だと、ものすごい怒りが湧いてくるというのが当然だと思いますね。」

国谷「実際に軍命が正式にあったかどうか、そうしたものが文書としては残っていない、非常に乏しいと言われてますよねー。」

大城「もう乏しいどころか、始めっから米軍が来たらちゃんとそういう命令は口頭で伝えろっていう、そういうことですから文書も何も始めっからないわけなんですよ。そうしますと結局唯一の証拠は体験者の証言ということになるわけですよね。だから私たちはずっとですね、特に復帰後ですね、『沖縄県史』とか『市町村史』でですね、そういう証言記録をずーっと集める作業をやってきて、今でも続けているというとこですが、私があちこちでこの集団自決のいろんなケースを見た中でですね、結局ですね、軍隊と住民との間に起こったこれは事件なんですね。だから軍隊のいない島では殆ど集団自決は発生してないです。」

国谷「そうしますと、沖縄側からしますと、命令が実際あったかどうかというより、この全体状況を見て欲しいと。」

大城「そういうこと。始めからそういうものがセットされているわけですよね。軍の方針・作戦ですから、これには逆らえない。もう逃げ場がない。島としても逃げ場がないし、命令系統からしても誰もこれに逆らうわけにいかないわけですから、結局はですね集団自決に追いつめられていく、これをですね、強制、誘導と言わずにしてですね、何が強制ですかということになっちゃいますよねー。」

座間味島

 体験を語ることは余り無かったが、今体験を残そうと証言を残そうという試みが始まっていて住民も重い口を開き始めている。

 座間味村。集団自決でおよそ200人が亡くなった。村の教育委員会が聞き取り調査を今年始めた。
 調査の中心になっているのは、元教師の宮城恒彦さん(73歳)。宮城さん自身も集団自決を体験。生き残ったのは宮城さんと母ウタさん。一緒にいた姉は亡くなった。

宮平輝重さん(84歳)の証言。知り合いの男性が家族とともに焼身自殺を図った現場を目撃。「男性は家族を焼き殺し、自分も毒薬を飲んだ。家では家族全員が山羊のように焼かれていた。男性の妻と子ども、祖父母、叔母、5、6人いたのでは。」この男性は自分も死のうとしたが死にきれず戦後島を離れていった。

ある女性の証言。「うちなんかあっちから逃げているときに兵隊さんが『捕虜になってはいけないよ、これで死になさい』と言って(手榴弾を)くれた。」

ある男性の証言。「『アメリカに捕まったら耳切られる、鼻切られる、女は強姦されて殺される』とか何とか、そういう悪宣伝なもんだから、捕まるよりは自分で死んだ方がいいということで」

実の母親に殺されかけたという上洲幸子さん(85歳)の証言。アメリカ軍が上陸し、上洲さんは母親と山の中に逃げ込んだ。そのとき日本兵が現れた。その日本兵は、一緒に避難していた住民を集め、「もし捕まったら舌噛み切ってでも死になさい」と呼び掛けた。母親は上洲さんに、「死のう、死のう」と何度も言った。そして上洲さんにネズミを駆除するための毒を飲ませようとした。母親は「これを飲んで眠ろう」と言った。幸子さんは「これだけの量では効かないよ。アメリカに捕まるだけ」と答えて薬を捨てた。それで2人は生き残った。戦後親子の間でこの体験を語ることは1度もなかった。

宮城さんの言葉。「はっきり言えることは、日本軍がおったところで、僕はいつも言うけれど、集団自決は起こっているということ。体験した人の言葉にホントに耳を貸してもらいたいと思いますね。その真実を読み取ってもらいたい。」

再び、国谷キャスターの大城さんへのインタビュー

大城「いわゆる集団自決というのは、沖縄戦の極限だと言われてましてね。人間が人間でなくなる状態、これが戦争だとよく言われるんですよ。そこを生き残ってきた人たちは、何で自分だけ生き残ったのかといういつも罪の意識を抱えながら、普段はじーっと黙っていて家族にも語らないというのが普通なんですよね。それがですね、こうやって教科書なんかですね、当たり前のですね、軍の強制によって集団自決があったという、もうこれ沖縄で常識なんですよね。それを書き換えろなんて言われたらね、どんな人だってね、怒りが湧いてきます。だから最近でもあちこちの集会や集まりなんかで、自分から手を挙げて初めて自分の体験を語るっていうね、そういう方々も出てきたんです。」

国谷「実際、市町村レベルでの調査も進んでいますか。」

大城「県史だけでなくて、市町村、字史までずーっと末広がりに広がってまだまだこれでも足りないっていうぐらいですね、たくさんの人たちの戦場体験をきちんと記録に残しておこうという、地道な運動が今でもずーっと続いているわけです。」

国谷「今回教科書検定によって、集団自決が日本軍に強いられた、その部分がホントに短い部分ですけどもすべて削除されるということになったことで起きたこの沖縄の反発、これをどうとらえて何を考えるべきだと思っていますか。」

大城「これを考えると非常に大きな問題でしてね、たったこれだけの文句が消されることによって、逆にこれがこの沖縄の人たちは自ら進んで崇高なる犠牲精神で自ら命を絶ったんだという一方には前からそういう主張があるわけですよ。これ軍隊の論理で書かれた本ですけどね。それがよみがえってくるおそれがある。そうしますと、また軍隊と国民の間にそういう関係が復活して、再び集団自決のようなああいう悲惨な悲劇が繰り返されないとも限らない。そういうことでこれは決して沖縄だけの問題じゃなくて、教科書、これは全国に共通しますから、また子どもたちにそういう殉国美談ね、戦争とか軍隊を美化するようなね、そういう教育がもしも広がった場合、再びまた悲劇が繰り返されるんじゃないかと、私なんか、そういう危機感、ものすごいもってるんですね、今。」

国谷「沖縄であったこと、出来事をきちっと記憶して欲しいと。」

大城「そうなんです。それをむしろ全世界に訴えたいために、今後ろにある平和の礎というのはやっぱり沖縄の一番のキーワードである『ぬちどたから』、命こそ大事なんだというね、命に代えられるものはないんだというね、その昔からの言葉をですね、是非皆さんに伝えていきたいなという気持ちなんです。」

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