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2007年6月19日 (火)

パレスチナ統一政府崩壊(4)様々な動き

 パレスチナ統一政府の崩壊を受けて、アメリカ、イスラエル、EUは、ファタハを孤立化させる方向での動きを強めています。17日付の英日曜紙サンデー・タイムズは、イスラエルが数週間以内にガザ地区を攻撃することを検討していると報じました。

 他方、このハマス孤立化政策には、アメリカ政府自身まだ確信を持ててないようなのはライス国務長官の態度からも窺えます(「パレスチナ統一政府崩壊(3)の引用記事参照)。また、米メディアからも懸念が表明されています。

 さらに、今月末に首相に就任する予定のイギリス労働党のブラウン財務相は、中東和平前進のためにはパレスチナの貧困問題の解決が必要との認識を示し、そのための「経済ロードマップ」の発表を約束しました。

 これらの記事を引用しておきます。ついでに、非常事態内閣の発足やガザの市民の様子を伝えるしんぶん赤旗の記事も引用しておきます。

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イスラエル:ガザ地区攻撃を検討「数週間以内に」と英紙(毎日電子版)

 17日付の英日曜紙サンデー・タイムズは、複数のイスラエル軍高官の話として、18日に同国の国防相に就任する予定のバラク元首相が数週間以内に、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスが治安を掌握したガザ地区を攻撃することを検討していると報じた。

 バラク氏に近い筋は同紙に、イスラエルを敵視する“ハマスタン(ハマス国)”と境界を接することは容認できないと強調。ガザ攻撃は「いつ、どのように行うかという問題だ」と述べた。

 攻撃には、F16戦闘機などの支援を受けた2機甲師団と歩兵師団のイスラエル軍計2万人を投入。数日間で、ハマスの軍事能力に壊滅的打撃を与える計画という。

 ハマスは、ガザ制圧の際にアッバス自治政府議長の支持基盤ファタハ系治安部隊から没収した武器などで戦力を増強しているとみられる。イスラエル当局者らはガザ攻撃をきっかけに、ロケット弾攻撃や自爆攻撃など激しい抵抗が始まると予想しているという。(ロンドン共同)

毎日新聞 2007年6月17日 17時13分

2007年6月18日(月)「しんぶん赤旗」

パレスチナの貧困解決必要
英次期首相

 【ロンドン=岡崎衆史】今月末に退任するブレア英首相の後継首相となるブラウン財務相は十六日、ロンドン市内で開かれた与党労働党の演説会で、中東和平前進のためにはパレスチナの貧困問題の解決が必要との認識を示し、そのための「経済ロードマップ」の発表を約束しました。

 ブラウン氏は、パレスチナ自治区住民の七割が貧困下で暮らし、五割が失業していると指摘。また、イスラエル住民の平均年収が二万ドル(約二百四十六万円)なのに対し、パレスチナのガザ住民の平均年収が八百ドル(約十万円)だと述べ、「投資や貧困対策が大きな前進をつくりだす」と強調しました。

2007年6月19日(火)「しんぶん赤旗」

米、ファタハ支援へ
メディアは批判的論調

 【ワシントン=鎌塚由美】パレスチナ情勢の新たな展開を受け、米紙は、ブッシュ米政権が自治政府のアッバス議長(ファタハ)を支援し、ハマスを孤立化させる構えだと報じています。しかし、急場しのぎの「分離戦略」では、米政権がアッバス議長の体制強化をはかることができるかが不透明で、ファタハが人気を落とす可能性もあると指摘する見方もでています。

 ブッシュ政権は、アッバス議長への「全面的な支持」(十四日、ライス国務長官)を表明。十六日付のロサンゼルス・タイムズ紙は、米政権はヨルダン川西岸を支配するファタハの行政サービスを強化する一方で、ガザ地区の疲弊の責任はおもにハマスにあると対比させたい考えだ、と報じました。

 ブッシュ大統領は十九日には、ホワイトハウスでイスラエルのオルメルト首相と会談します。ニューヨーク・タイムズ紙十七日付は、イスラエル.側がファタハとハマスを分離して扱う米国の考えに同意する見込みだと伝えています。

 一方、米メディアや専門家からは、現在の事態を「ブッシュ政権の中東ビジョンの失敗」とする見方がでています。

 ワシントン・ポスト紙十五日付は、現在の事態の「原因の一つに、ブッシュ政権のとった行動がある」と指摘。ブッシュ政権がパレスチナ・イスラエルの和平案を含む中東政策を発表して二十四日で五周年となるが、それを記念する大統領のスピーチのめどは立っていないと報じています。

2007年6月18日(月)「しんぶん赤旗」

非常事態内閣が発足
ハマスは「謀略」と批判
パレスチナ

 【カイロ=松本眞志】パレスチナの二大政治勢力ファタハとハマスの対立が続くなか、パレスチナの非常事態内閣が十七日、発足しました。ファタハ率いるアッバス自治政府議長が統一政府崩壊後に署名した非常事態内閣設置の議長令に基づくものです。この日発表された閣僚は、ファイヤド首相(前財務相・無所属)、アブデルラザク・ヤヒア内務相(元パレスチナ解放軍司令官・ファタハ)など十二人。残り数人の閣僚名も後日公表される予定です。閣僚のほとんどが無所属で実業家、人権活動家なども含まれています。

 ハマスのアブズフリ報道官は、発足した新政権について、「メッカ合意を含むパレスチナ民族のすべての合意に打撃を与えるもので、米国とイスラエルの利益に奉仕する謀略だ」と批判。「立法評議会が承認しない組閣は憲法違反だ」と主張しました。

 パレスチナの憲法は、「例外的ケース、もしくは非常事態の期間中、議長は立法評議会の上にたち、単独で首相を指名する法令を発令できる」と定めています。アッバス議長は、ハマスがガザ地区全域を制圧しパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの拠点を含む議長関連施設を占拠した行為を「軍事クーデター」だと規定しており、「例外的ケース」が適用されるとの立場です。国連やアラブ連盟、欧米諸国は、すでにアッバス議長の措置を「合法」だとして支持する姿勢を固めました。

 イスラエルのオルメルト首相は十六日、非常事態内閣について、「ハマス政権ではないパレスチナ政権はパートナーとなり、共同できる」とし、平和に向けた「新たな機会」だと述べました。

 エルサレム駐在のウォレス米総領事も、アッバス議長に対パレスチナ経済制裁を解除する方向だと伝え、「来週にも(新政権に対する)米国の支援、財政規制(解除)にかんする報告を行う」と語っています。

 カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによると、ガザ地区では、ハマスがファタハのメンバーを次々と拘束。ファタハの支持者数百人がエジプト領に脱出したとの情報もあります。イスラエルはガザ地区周囲の検問所の規制を強化しました。

 ハマスのガザ制圧に対抗して、ヨルダン川西岸地区ではファタハがハマスの活動家や支持者に対する規制を強化し、ラマラではバハル副議長がファタハの武装部隊によって立法評議会から強制排除されました。

 ヘブロンではファタハ系武装集団アルアクサ殉教者旅団が検問所を設けてハマスのメンバーを摘発しています。

2007年6月19日(火)「しんぶん赤旗」

ガザ住民
戦闘激化、食料もない
ハマス制圧下で不安募らす

 【カイロ=松本眞志】パレスチナのガザ地区では、イスラム武装抵抗組織ハマスが同地区を武力制圧し、アッバス自治政府議長が非常事態政府を発足させる事態のなかで、住民が不安を抱えた生活を送っています。

 十八日、本紙の電話インタビューに応じた主婦オム・モハメドさん(32)は「隣人の息子が戦闘で殺害された」と治安の悪化について語り、「食料が少ない。給料をもらえず食料を買うお金もない。戦闘が激しく買い物をするのに通りに出ることもできない」と嘆きます。

 会社職員の男性ハッサンさん(31)は、非常事態内閣発足について「ハマスの反発が強まり、対立が激化して一般市民の犠牲が増える」と危ぐを表明。「イスラエルが検問所を閉鎖し、燃料供給をストップさせたことで住民生活は劇的に悪化する」として、両派の抗争とイスラエルの封鎖で住民が二重に苦しめられると懸念します。

 カタールの衛星テレビ・アルジャジーラ十五日付(電子版)は、ハマスが十三、十四の両日にガザ全域に攻勢かけたときの住民の声を伝えています。

 ガザ市内に住む学生リナ・シャリフさん(18)は、「戦闘は激しく、弾丸が部屋のなかに撃ち込まれ、窓ガラスが割れた」と語り、「ハマスの民兵が住居を接収してファタハの武装部隊と銃撃戦をした」と証言しました。リナさんは、いま学校は試験期だといい、「どこに行っても弾丸が飛びかっている。試験があるのに外出できない。どうしたらいいの」と不満をぶつけました。

 両派の争いをやめさせる集会に参加したという男性シャディさん(21)は、参加者が「われわれの兄弟を殺すな」と叫んだとたんに銃撃戦が始まったと証言。「ハマスがガザで『勝利』したことがよかったのか。僕はそうは思わない。外からの、特に米国とイスラエルの圧力がより強まるだろう」と述べ、ハマス主導のガザに対する経済制裁の強化でこれまで以上に生活が苦しくなると不安を語りました。

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