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2007年4月13日 (金)

改憲手続き法案は有料CM垂れ流しで「憲法を金で買う」ことになる

 12日の衆院憲法調査特別委員会での改憲手続き法案の強行採決の後、中山太郎・同委員長も「混乱の中で採決をしたことは残念だが、国民の手に主権が確立されるとの観点から、これで正しかったと思う」と強調したそうです。

 しかし、この法案の実態が、国民主権を徹底的にないがしろにするものであることは明らか。

 国民主権とは、国の政治を決めるのは国民だという原理です。ところがこの法案は、最低投票率を定めず、かつ、白票を有効票に含めないで有効投票の過半数で改憲を決めるというもの。国民の1割の賛成でも改憲ができちゃうという代物です。1割の国民の意思で国の根本を定める憲法が決まっちゃうのですから、たった1割の国民の意思を全国民の意思だと擬製してしまうもので、3割、4割の得票でも6割、7割の議席がとれる小選挙区制と同じようなものです。

 「国民の手に主権が確立される」のではなく、「極一部の国民」によって「国民主権がねじ曲げられる」とでも言うべきです。

 この「極一部の国民」の最有力候補は財界であることは間違いありません。なぜなら、この法案は、投票日の15日前まで有料CMを野放しにしているからです。何の規制もないということは、金があるものだけが意見表明できるということです。しかも、他方で500万人に上る教育者・公務員の意見表明は行政処分にさらされて禁止されるのです。

 実は、この点を改めて考えさせられたのは、siinokiさんがブログの記事の中で「弁護士会のマスコミに対する警戒心がきわめて弱いことには注意が必要です」と書かれていたから。

 自由法曹団が、今まさに強行採決されている最終的な与党修正案に対する批判(4月2日付の「改憲手続法案の修正案に反対する意見書」)の中で、この危険に触れている部分を以下に引用しておきます。

(5) 財力によるマスメディアの不平等利用の放置-カネで改憲が買われる危険性

 第5に、有料のテレビ、ラジオ、新聞などの広告が、資金力のある財界や改憲推進勢力に独占される大きな危険があることである。「金」の差による改憲賛成派と反対派の格差を解消するルールがどこにもないのである。全国的にある程度の効果があるテレビCMを作成するには数億円の費用がかかるとされている。消費者金融のCM自粛によって広告料収入の減少しているマスコミは1000億円規模のビジネスチャンスと見込んでいると言われている。今日の我が国の状況からみれば、豊富な政党助成金と財界・大企業の献金を受けている政権政党自民党、そして9条改憲をつよく主張し、そのための「カネ」は惜しまない財界や、その援助を受ける改憲諸団体は、思うままにマスメディアを利用しての改憲宣伝に巨費を投入できるのは明らかである。にもかかわらず、修正案においては、5億、10億単位の広告費用により生ずる財力格差による改憲賛成派の広告の垂れ流しについてはまったく規制がないのである。これでは資金力の多寡によって国民の意思形成が左右されることになる。

 自由法曹団では、イタリアの国民投票制度について調査を行ったが、イタリアにおいては、国民投票運動(選挙運動も含む)における有料政治広告は、全国放送局においては禁止されており、「無料政治広告の原則」とも言うべき原則が確立している。各政治主体がメディアに平等にアクセスすることを通じ国民の選択の自由を保障すべきだとの原則が、国民的コンセンサスとなっており、政治・行政・メディア・法曹関係者の法的確信となっている。有料政治広告を規制する2000年法28号(平等法)は、フォルツァ・イタリアの党首でありメディア王=ベルルスコーニ元首相によるメディア支配を経験し、資金力のある者が「カネで政治を買う」ことの恐ろしさを体験したイタリア国民の智恵の結晶だといえる。日本においても国民のメディアアクセスと国民の正確な意思形成を尊ぶイタリアの例に学ぶべきである。

 しかし、修正案にはイタリアのような国民のメディアアクセスの保障、国民の正確な意思形成の確保という視点は皆無である。このような修正案によって、有料広告の野放しがされれば、財界をバックにした改憲賛成派と改憲反対派とで圧倒的にCMの量の差がつくことは明白であり、両者の不公平は火を見るよりも明らかである。しかもこうした不公平は、主権者国民が平等な情報のもとで自主的に判断する権利を侵害することになるのである。有料広告の洪水を浴びせかけることによって、結局は国民の世論を一方的に誘導し、「金で憲法を買う」ことを可能にするのである。これが憲法96条の予定するものでないことは論を俟たない。

 メディアを利用する広告においては、資金力の有無が決定的に重要であり、しかも、テレビやラジオのCMが与える効果は極めて絶大である。投票日前14日間の規制だけでは期間として不十分であり、公正中立の確保はまったく期待できない。有料広告はイタリアのように全面的に禁止とすべきであり、有料広告の野放しは断じて容認できない。

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