浅野史郎氏では石原都政は変えられないし、変える気もない―宮城県知事としての実績が物語る
6日に正式に都知事選への出馬表明をしましたが、やっぱり浅野さんではだめですね。
出馬理由を読み上げる中では「今、ここで立ち上がり、石原都政にストップをかけなければ、東京や都民にとってだけでなく、日本の政治にとっても取り返しのつかないところまでいってしまう」などと言った浅野さんですが、その後記者から質問を受けると、石原都政は、「基本的にはだいたい継承すべきだ」、「ほとんどは続けていくべきもの」、「がらっと変えたらけがしますから」と明言。さらには、石原都政は「1期目はよかった。私も期待していた。石原という政治家の目標とリーダーシップとか。輝かしい業績をあげてきた」と評価までしたんですね。
要するに、石原都政をストップさせる気なんてない。
さらに、宮城県知事時代(1993年~2005年)の実績を見ると、無駄・浪費としか言えない大型開発を聖域化して頑固に続け、その結果、河川・道路改修など県民のくらしに直結する公共事業を大幅削減し、福祉や教育を切り捨て、そして宮城県の借金を7,000億円から1兆4,000億円(県民1人当たり60万円)に倍増させているんですね。
福祉や教育で削られたものを並べてみると、
(1)介護手当の廃止、
(2)乳幼児や心身障害者、ひとり親家庭の入院給食費の切り捨て、
(3)民間保育所への補助や助成金の廃止、
(4)原爆被害者団体や民俗文化保存団体への助成金縮小、
(5)県立高校の統廃合、
(6)専修学校への助成金大幅削減、
(7)小中高校の教員大幅削減、
さらには、
(8)ゼネコン汚職で逮捕され辞職した前任者の本間知事ですら、資格証明書も短期保険証も「絶対発行しない」と確約し、「国保証取り上げゼロ県」であったのに、浅野時代の2005年には2,330世帯が国保証を取り上げられ資格証明書に替えられたというんですね。
その上、
(9)特別養護老人ホームの利用者の見込みを、県は国基準より低く設定し、それで「おおむね妥当」と言い切っていたとは。もちろん今でも特養ホームの待機者は解消されていません。
もともと宮城県の福祉水準は全国でも最下位クラスでしたが、浅野さんの時代に落ちたものはあっても上がったものはないんです。
要するに、「福祉日本一の宮城」などというのは偽り以外の何ものでもないんです。
場合によっては石原さんの方がましかもしれません。だって、浅野さんは今でも「景気対策のため公共事業を増やせと、(国から)圧力がかかった。国策ですからやっていかなくちゃならない」(4日のテレビ発言)などと開き直るばかりですが、中身の善し悪しは別として石原さんは逆らうときには逆らいますものね(^^;。
7日のしんぶん赤旗の記事を引用しておきます。他の新聞にはこんなことは書いてないでしょうから。実際、しんぶん赤旗読むまで僕も知りませんでした。
2007年3月7日(水)「しんぶん赤旗」
前宮城県知事の浅野史郎氏(59)が六日、東京都庁内で記者会見し、都知事選へ正式に出馬表明しました。
浅野氏は「石原都政にストップをかける」などとした出馬の理由を読みあげました。しかし、記者団から、石原都政のどこを継承するのかと問われ、「基本的にはだいたい継承すべきだ」「ほとんどは続けていくべきもの」と、石原都政の継続を強調し、「がらっと変えたらけがしますから」とのべました。
石原都政について「一期目はよかった。私も期待していた。石原という政治家の目標とリーダーシップとか。輝かしい業績をあげてきた」と評価したうえで、「もう四年やるというのはやめてください」と語りました。
三期十二年務めた宮城県知事時代の県債残高が七千億円から一兆四千億円に倍増した問題について、浅野氏は「数字は事実だ」と認め、当時の国策の景気対策に協力して公共事業につぎ込んだのが要因だとし、「財政的な身の丈をこえた形でやった。私の失政なんでしょうか」と開き直りました。
浅野氏は発表した緊急提言に盛り込んだオリンピック招致計画の見直しについて「白紙撤回なのか」と聞かれ、「いったん止まって考える。その結果、どっちの方向へいくのか、やっぱりこのままでいいということもあり得るし、やめようかなということもあり得る」とのべました。
2007年3月7日(水)「しんぶん赤旗」
都知事選への出馬を表明した浅野史郎前宮城県知事。浅野氏は、石原都政について、「基本的にはだいたい継承すべきだ」とのべました。「福祉日本一の宮城をつくる」を看板に掲げて県政を担った十二年の「実績」をみると、それもうなずけます。
一九九三年、ゼネコン汚職で本間知事が逮捕・辞職したことによる知事選で、厚生省のキャリア官僚だった浅野氏は、新生党、日本新党などの推薦を受けて初当選しました。二〇〇五年までの、三期十二年にわたり知事を務めました。
船こない巨大港建設
就任後、初の県議会で浅野氏は「確かに、今回の不祥事は、県民に大きな衝撃と不信を与えた。しかし、前知事が進めた諸施策は評価すべき点が多い」として、バブル経済時代につくられたゼネコン奉仕の大型開発(港湾・空港整備など)を盛り込んだ「総合計画」の継続を宣言をしました。
浅野県政が推進した大型開発事業の代表格が、仙台港と石巻港の大規模な港湾建設(総事業費六千四百五十億円)です。両港はわずか五十キロしか離れておらず、そこに二つの巨大港をつくるという無謀な計画です。
仙台港は、外国コンテナ貨物を中心にした輸入基地へ、巨大ふ頭の建設や土地造成をすすめています。しかし、同港のコンテナ貨物の取扱量は数%です。石巻港は四万トン級の大型貨物船に対応するために、大水深のふ頭六つを含め十二ものふ頭をつくるというもの。九八年に大水深バースができたものの、大型船の入港はなく、昨年初めて四万トン級が入港しニュースになりました。
仙台空港とJR名取駅間(七・一キロ)を結ぶアクセス鉄道(今年三月十八日開業)も無謀な事業(関連事業含め千二百億円)です。空港の利用客は横ばいなのに、過大な需要予測をもとに推進しました。
大型開発で借金倍増
浅野県政の十二年で、宮城県の借金は約七千億円から約一兆四千億円(県民一人当たり約六十万円)に倍増しました。
財政危機の原因の一つとして、浅野氏自身、「大型プロジェクトの推進が県債残高の増加に寄与したということは確かだ」(〇一年の県議会)と認めています。しかも「景気対策のため公共事業を増やせと、(国から)圧力がかかった。国策ですからやっていかなくちゃならない」(今月四日放映のテレビ番組)などと開き直っています。
国保証取り上げ急増
県は九九年に「財政危機宣言」を出し、全体の公共事業費は縮減されてきましたが、無謀な大型開発は「聖域化」しているために、河川・道路改修など県民のくらしに直結する公共事業が大幅に減らされました。
同時に、県民が切望する保健・医療・福祉の中核施設群の計画を中止したり、敬老祝い金などのささやかな事業まで廃止・縮小するといった福祉や教育切り捨てを進めました。
介護手当の廃止、乳幼児や心身障害者、ひとり親家庭の入院給食費の切り捨て、民間保育所への補助や助成金の廃止、原爆被害者団体や民俗文化保存団体への助成金縮小、県立高校の統廃合、専修学校への助成金大幅削減、小中高校の教員大幅削減などを進めてきました。
浅野氏は「(財政再建計画の削減リストに)いろいろ『福祉の浅野』が泣くようなものも入っている」「県民にとって痛みをともなう結果になることもあることも十分に認識しながら、県政運営に全力でとりくむ」といって強行してきたのです。
実際、宮城県の一人当たりの民生費は、「日本一」どころか、浅野県政になっても全国最下位クラスを脱していません(別図)。
国民健康保険証取り上げでも国の言いなり。本間前知事時代は、資格証明書も短期保険証も「絶対発行しない」と確約して「国保証取り上げゼロ県」でしたが、浅野県政のもとで、二千三百三十世帯(〇五年度)が国保証を取り上げられ資格証明書に替えられました。
浅野氏は「介護は在宅が基本」を理由に、施設整備には消極的です。
特別養護老人ホームの利用者の見込みを、県は国基準(高齢者人口比3・4%)より低い3%に設定。浅野氏は九九年、「在宅サービスが充実することによって、自宅生活継続の希望が増加するであろうと見込まれる」として、「3%はおおむね妥当」と言い切りました。ところが現在にいたっても、県内の特養ホーム入居希望者の平均待機期間は十八・七カ月(今年二月)。とても「妥当」とはいえません。
浅野氏は、障害者と家族の多くが「これでは自立破壊法案だ」と反対した、障害者自立支援法にも賛成してきました。
9条改定「議論必要」
平和の問題ではどうか。浅野氏は、県議会でイラク派兵と憲法改定について問われ、「今回のイラクへの自衛隊派遣については、人道支援を目的として実施されております」(〇四年三月)と評価しました。
イラク派兵に「憲法の拡大解釈」との意見があるとして、憲法については「時代の要請に合わない部分が出てくれば、国民の中で十分に議論が重ねられることがまず必要ではないか」(同)と答弁。憲法九条を堅持する立場にありません。
国策に忠実に従い、無駄な大型開発に熱心で住民のくらしには冷たい―浅野県政十二年をみれば、自民党政治と何ら変わらない姿がうきぼりになってきます。
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