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2007年1月22日 (月)

友寄英隆「日本型の異常な『格差景気』」

 年初から格差論議を封じ込めようとする議論が広がっているそうです(21日付しんぶん赤旗)。しかし、友寄英隆さんは、今回の景気は「格差景気」と名づけるべきものだと指摘しています。

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 すなわち、今回の景気は、続けば続くほど「景気の2局化」がひどくなり、格差が拡大し、矛盾が噴出するようなものだそうです。

 特に日本の場合は、もともと欧米に比べて劣悪な労働条件だったところに、「新自由主義」改革による労働法制の改悪が強行されたために、格差と貧困が急速に広がっているのだそうです。

 日本型の異常な「格差景気」という捉え方はとても重要だと思います。

 このように特別に異常な「格差景気」だからこそ封じ込めの動きも出てくるのでしょう。

 友寄さんの論説(しんぶん赤旗2006年12月4日)と、21日付のしんぶん赤旗の記事を引用しておきます。

2006年12月4日(月)「しんぶん赤旗」

日本型の異常な「格差景気」

 大田弘子経済財政相は、十一月の「月例経済報告」の記者会見で、今回の景気拡大が五十八カ月となり、「いざなぎ景気(注1)を超えて、戦後最長記録を更新した」との政府見解を発表しました。同経財相は、一般紙の記者から「今回の景気の名前についてアイデアがあるか」と質問されたのにたいし、「ノーアイデアです。マスコミの方がいい名前をご提案くださるのを楽しみにしています」などと答えました。(内閣府のホームページによる)

「景気二極化」の矛盾が噴き出す

 すでに、一部の経済評論家からは、「実感なき景気」とか、「リストラ景気」「格差型景気」「蜃気楼(しんきろう)景気」「低体温景気」などなど、さまざまなアイデアが提案されています。

 いずれも、今回の景気拡大では、多国籍企業化した一握りの大企業が史上最高の利益をあげているのにたいし、労働者・国民にとっては、失業・雇用不安とワーキングプア、格差と貧困の拡大が長期化しているという特徴を表そうとしています。中小企業、農業、地域経済の停滞感もいちだんと深刻化しています。

 なかには、「いざなぎ景気」が古事記の「いざなぎ・いざなみ」に由来するところから、神話をさかのぼって「たかみむすひのかみ(高御産巣日神)景気」とか、小泉「構造改革」にちなんで「改革景気」などという人もいますが、これらは論外でしょう。

 私は、今回の「最長景気」が続けば続くほど、「景気の二極化」がひどくなり、格差が拡大し、矛盾がさまざまな分野、さまざまな形態で噴出しつつあるという特徴を一言で表現するために、かつてない日本型の異常な「格差景気」と名づけてみたいと思います。

「ルールなき資本主義」に「新自由主義」改革が加重された異常さ

 異常な「格差景気」の実態は、政府の統計からも明確に検証することができます。

 財務省の「法人企業統計」から試算すると、資本金十億円以上の巨大企業役員の報酬(給与と賞与)は、二〇〇一年度の千四百二十五万円から〇五年度には二千八百十一万円へ約二倍に激増しています。これにたいし、同統計で全法人企業の労働者(四千百五十八万人)の賃金は、三百七十五万円から三百五十二万円へ減少しています。資本金一千万円未満の零細企業労働者(六百九十六万人)の場合は、二百三十六万円から二百十九万円へ減少しています。

 景気の上昇期に、役員報酬は倍増しているのに、労働者の賃金は大幅に低下しているために、当然のことながら、格差は鋏(きょう)状(注、はさみのように先に行くほど広がった状態)に拡大しています(注2)。こうしたことは、日本の過去の景気回復期には例がないし、おそらく欧米諸国でもないでしょう。

 「新自由主義」経済路線のもとでは、アメリカやイギリスでも景気循環が二極化する傾向は、共通にみられる特徴です。しかし、日本の場合は、もともと「ルールなき資本主義」といわれるほど劣悪な労働条件のもとで、「新自由主義」改革による労働法制の改悪が強行されてきたために、サービス残業や偽装請負などの無法が横行し、格差と貧困がとりわけ急速に広がっています。まさに、日本型の「格差景気」としか言いようのない異常さです。

新たなたたかいの機は熟している

 今年一月の日本共産党の第二十四回大会の決議は、次のように述べています。

 「小泉内閣が、『構造改革』としてすすめてきた『新自由主義』の経済路線――大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義、弱肉強食をすすめる経済路線は、日本経済と国民生活の矛盾をあらゆる分野で深刻にしている」。

 今回の「戦後最長景気」=「日本型の格差景気」が続くにつれて、大会決議の指摘は、ますます実証されています。たんに経済的な矛盾だけでなく、社会的なモラルの荒廃、教育の荒廃など、新しい不安が日本社会全体を覆いはじめています。

 かつての「いざなぎ景気」のときには、景気拡大が長期化するなかで、公害・環境破壊や「新しい貧困」が広がり、列島騒然となり、一九六七年には革新都政が誕生し、革新自治体の大波が怒とうのような勢いで全国に広がっていきました。

 今回の日本型の「格差景気」のもとでは、雇用や賃金などの労働の現場で、そして税金や年金、医療などの暮らしの現場で、さまざまな困難が幾重にも積み重なり、苦しみを深めています。この現実とどう向きあい、どうたたかうか。職場から、地域から、政治を変え、日本経済の異常なゆがみを変えるための機は熟しています。

(友寄英隆 論説委員会)

(注1)一九六五年十一月から七〇年七月までの五十七カ月つづいた景気拡大。

(注2)試算の詳細は、『経済』二〇〇七年一月号

2007年1月21日(日)「しんぶん赤旗」

年始から口つぐむ首相・与党
「格差」論は時代遅れと言うが…

 年が改まったとたん安倍晋三首相や自公連立与党が格差問題に口をつぐんでいます。逆に格差を口にするのは時代遅れ、古くさい社会主義理論だといっています。

 ○…中川秀直自民党幹事長は十七日の自民党大会の党務報告で「格差」という言葉を口にすること自体が「国民の不安をあおり、国民の分断」をはかるもの、といわんばかりでした。安倍首相も席上のあいさつで「格差」という言葉をいっさい口にしませんでした。「正規・非正規(社員)の不均衡」と言い替えていました。「格差」という言葉が政府・与党内では禁句になっているようです。

 ○…代わって格差是正イコール「社会主義」といういい方です。

 塩崎恭久官房長官は最近の都内の講演で「格差を縮めることを目的にするのが安倍政策の向かうところではない。格差是正による結果平等というのは社会主義みたいなものだ。われわれは経済成長発展モデルの原則に立つ」と言い切っています。

 公朋党も“格差論は古い階級対立図式”(公明新聞12日付)などとして所得や地域の格差を問題にする庶民や地方の声を切って捨てています。

 ○…マスメディアにも格差論議そのものを封じこめる議論が広がっています。政治家の議論に影響を及ぼすキャスター・田原総一朗氏は12日の東京都内の講演で「格差がひどいという最近の本を読むと『危ないな』という気がする。結局最後まで読むと社会主義(がいい)ということになる。社会主義はよくない」と話しています。

 ○…格差問題抹殺論ともいっていい、この種の議論には、問題をこれ以上、政治・社会問題として拡大させずに封じ込めたいという願望がうかがえます。

 英紙フィナンシャル・タイムズは「貧困という言葉は日本にほとんど縁のない言葉だったが、過去数年闇における社会経済的な階級の分裂は爆発的」(昨年11月30日付)と、日本における格差拡大について指摘しています。世界も日本の資本主義の下での異常な格差拡大を問題にしているのです。

 ○…格差拡大で大もうけしたのは大企業です。いざなぎ越え景気に沸く大企業があつまる財界3団体新年パーティー(4日)に自民、公明、民主各党の幹部・議員が多く足を運びました。企業・団体献金に依存する自民党、民主党は新年早々から閣僚、党幹部の事務所費などの政治資金疑惑で揺れています。自民党大会には公明党、民主党大会には社民党、国民新党の代表が出席。国会に議席を持つ日本共産党以外の主要政党は自民、民主両党を軸にする2つの保守政党ブロックに分かれた観がします。

 ○…所得・地域間の格差是正を求め、憲法改悪を望まない国民の声を代弁する政党は、存在しないのか。選挙の年、自民党政治に対峙(たいじ)する日本共産党の存在に目を向ける識者もいます。

 「(参院選では自民、民主両党の争いだけでなく)筋を通しているということから、意外と共産党が選挙区によってはキャスティングボートを握ることがあるかもしれない」(岩井奉信日大教授、19日朝日ニュースター「ニュースの深層」)

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