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2007年1月 6日 (土)

ホワイトカラーエグゼンプションがなぜ強引に導入されようとしてきたか、その歴史

 与党の中でも見送り論が強まっていると言われているホワイトカラーエグゼンプション。他方で、それでも今国会で強引に導入されようとしています。その発端は厚生労働省がサービス残業根絶の通達を出したことにありました。

 今朝のしんぶん赤旗で昆弘見さんが、この制度を導入しようという動きの歴史を振り返っていました。とても有益だと思うのでその全文を引用しておきます。ついでに先ほど上がっているasahi.comの記事も引用しておきます。

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ホワイトカラーエグゼンプション導入
強引な決定の裏にあるもの
(しんぶん赤旗2007年01月06日)

 厚生労働省の労働政策審議会は昨年末、毎日8時間を超えて働いても残業代が出なくなる「ホワイトカラーエグゼンプション」という新制度の導入を決めました。労使の委員が真っ向から対立し、まとめる状況になかったにもかかわらず、強引に押し通したやり方といい、中身どいい、異常としかいいようがありません。

 労働者委員が「新たな制度の導入は認められない」と明確な態度表明をしているのに、まったく聞く耳もたず。厚生労働省の姿勢は、最初から導入ありきで固まっていました。そのことは、新制度がいつ、誰が、何のためにいいだしたのかをみればあきらかです。

閣議決定ありき

 ホワイトカラーエグゼンプションがはじめて政府機関の検討のテーブルに乗ったのは、2001年7月24日、オリックスの宮内義彦氏ら財界人を中心に構成する総合規制改革会議(首相の諮問機関)が出した「重点6分野に関する中間とりまとめ」という文書でした。このなかの人材(労働)の分野で、「多様な就業・雇用形態に対応」するために、「ホワイトカラー・イグザンプションなどの考え方も考慮」した労働基準法の見直しを主張しています。

 それが同年12月の第1次答申、翌02年3月の「規制改革推進3カ年計画」にもりこまれて閣議決定されていきます。「3カ年計画」は、何度か改定されて閣議決定になっています。このようにホワイトカラーエグゼンプションの導入は、財界が仕掛け、閣議決定という強いしばりがかかった状態で労働政策審議会にもちだされたものです。

 しばりだけでなく、規制改革・民間開放推進会議(総合規制改革会議の後身)からの直接の圧力も加えられました。昨年6月に審議会の労働条件分科会で労使の意見が対立し、厚生労働省の対応の不手際もあって、審議がストップしたことがありました。これに怒った推進会議が7月21日、法整備は閣議決定だと主張する異例の「意見」を出しています。

 労働政策審議会は、利害が異なる労使の意見調整の場。そこに途中で政府機関が横やりを入れるのは異常です。しかも審議の中身について、「数多くの疑問や懸念をいだかざるを得ず」と文句をいい注文をつけているのがなお異常です。

 たとえば労働契約法制について「労働者の個別同意がない限り、労働条件の変更ができないという趣旨を含むのであれば…疑問がある」と。またホワイトカラーの労働時間法制についても「新たな制度を創設したとしても要件を厳格に規定するあまり、それが利用されない(利用できない)というのでは意味がない」などなど。

 企業の論理をむき出しにして、労働側の主張など聞く必要はないという姿勢がありありです。この威圧的な言動からは、労働のルールを取り仕切るのは、厚生労働相の諮問機関ではなく首相官邸だということを思い知らせる意図がみえます。

衝撃与えた通達

 財界が残業代取り上げのホワイトカラーエグゼンプションの導入に執着するのはなぜか。総合規制改革会議が最初に検討をいいだしたのが01年7月だったことに重要な意味があります。

 その3カ月前の01年4月。厚生労働省がサービス残業根絶の通達を出しました。

 財界・大企業にとって衝撃的な大事件でした。受け入れがたい最大の問題は、労働時樹の管理責任が企業にあることを明確にしていることです。しかも労働時間の把握について、タイムカードやICカードを使って始業から終業時刻まで毎日きちんと確認し、記録することなど細かく義務付けています。

 これは労働者と家族の告発の広がりとあわせて、日本共産党が、残業時間を労働者に「自主申告」させるやり方がサービス残業の原因だとして、労働時間の把握と管理を企業に義務付けるよう国会で粘り強く追及してきた結果です。

 この通達は絶大な威力を発揮し、労働基準監督署の指導が強まり、トヨタはじめ大企業の多くが是正を余儀なくされました。この事態を放置しておけないという危機感が財界のなかに広がり、ホワイトカラー労働者を労働時間法制の適用対象から除外(エグゼンプション)する制度をもちだしてきたのです。

 労働者がたたかいとった成果を急いで骨抜きにし、労働時間管理に気を使うことなく労働者を働かせる仕組みをつくりたいという、実に身勝手な動機です。このため世論の批判も強く、通常国会への法案提出に与党内からも慎重論が出始めています。労働法制の改悪を阻止するために、労働者、労働組合、国民のたたかいがますます重要になっています。

(昆弘見)

残業代ゼロ見送り論、与党に強まる 厚労省に戸惑い(asahi.com)
2007年01月06日20時49分
 一定の条件で会社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入する労働基準法改正について、今年の通常国会では見送るべきだとの声が与党内で強まっている。労働界が猛反対しており、「サラリーマンを敵に回しては、夏の参院選は戦えない」との懸念からだ。だが、この制度導入は安倍首相が掲げる成長戦略の支えであるほか、ほかの労働法制見直しともからんでおり、簡単には見送れない事情もある。

 この制度では、労働時間を1日原則8時間などと定めている労基法を見直し、一定年収以上のホワイトカラーを対象に規制を除外する。厚生労働相の諮問機関の労働政策審議会では導入に積極的な経済界と、反対の労働側が対立。先月27日に同審議会は「導入は適当」としつつも、労使の主張を併記し、年収条件も明記しない玉虫色の報告書を公表した。厚労省は25日からの通常国会に関連法案を提出する方針だ。

 しかし、ここへきて、公明党が「サービス残業などの問題に手をつけずに制度を導入すれば、長時間労働を助長しかねない」(斉藤鉄夫政調会長)と反対姿勢を打ち出した。残業代が支払われないうえに長時間労働も増えることになれば、サラリーマンのメリットはないからだ。

 厚生労働行政に影響力のある自民党の丹羽雄哉総務会長も4日、「法改正は極めて慎重に対応しなければならない。経営者は人件費の削減ばかりでなく、従業員が報われるような雇用環境の整備にもっと力を入れるべきだ」と指摘した。

 与党幹部の発言に、厚労省幹部は戸惑いを隠さない。今回の労働法制の見直しでは、残業代ゼロのほかにも、最低賃金の引き上げやパートの正社員化を促すパート労働法改正など、さまざまな課題がある。「最低賃金引き上げなどで労働側の顔を立て、エグゼンプションは経営側の主張を採り入れる。寄せ木細工のように双方の利害を調整したのに、これだけ認めないとなれば、全体が崩れかねない」と懸念する。

 また、エグゼンプションは、安倍政権の成長戦略の一翼を担っているという事情もある。自民党の中川秀直幹事長は昨年11月の講演で、「企業の生産性をいうとき、ホワイトカラーが最大の問題だ」と指摘した。成果主義を徹底して日本の競争力を高めるとの狙いだ。制度導入を早々に断念すれば、政権の路線転換とも受け取られかねない。

 自民、公明両党は近く協議会を設置し、労働法制見直し全体の議論に入る。同制度についても検討するが、さらに異論が噴出する可能性があり、先行きは不透明だ。首相は5日、「経営者の立場、働く側の立場、どういう層を対象にしていくか、もう少し議論を進めていく必要がある」と記者団に述べ、与党内調整を見守る考えを示した。

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