« 「格差論議」を封じ込めたい安倍首相の矛盾・破綻 | トップページ | 胡錦濤国家主席、2年連続のアフリカ歴訪 »

2007年1月30日 (火)

第2・「従軍慰安婦」番組訴訟の東京高裁判決(南敏文裁判長)

 判決は、安倍晋三官房副長官(当時)の番組への直接的介入は認めなかったものの、番組改変と政治家との面会は無関係としてきたNHKの主張を退け、安倍氏の発言を受けて番組を改変したものであると認定しました。

Banner←励みになりますのでクリックお願いします(^^)v

 安倍氏は「政治家が介入していないことが、極めて明確になった」などと息巻いていますが、あくまで直接的介入が否定されただけで、その発言を受けて番組が改変されたこと、いわば間接的介入が認定された判決です。安倍氏は自らの言動への責任を回避してはいけません。「自己責任」を自覚すべきです。

 高橋哲哉・東大教授は、「政治家の発言に過剰反応した幹部が、制作現場に圧力を加えたことを認めている。おおむね妥当な判決だ」と評価しつつも、「政治家から『公正・中立にやれ』と言われれば圧力になることを理解しておらず、腰が引けている。判決は、何が圧力になりうるのかを示すべきだった」と話しているそうですが、全くその通りだと思います。

 判決の意義を正確に理解しているしんぶん赤旗の記事を引用しておきます。ついでにしんぶん赤旗に載った判決要旨も掲載しておきます。さらに一連のasahi.comの記事も引用しておきます。

2007年1月30日(火)「しんぶん赤旗」

政治家発言受け改変
NHKに賠償命令
「従軍慰安婦」番組訴訟で東京高裁

 「慰安婦」問題を扱ったNHKの番組「ETV2001~問われる戦時性暴力」(二〇〇一年一月三十日放送)の改ざんをめぐって、取材に協力した市民団体がNHKなどに賠償を求めた訴訟の控訴審判決が二十九日、東京高裁でありました。南敏文裁判長は、NHKに責任があるとし、原告バウネットジャパン(「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)へ二百万円の損害賠償金を払うことを命じました。

 控訴審で新たな争点となったのは、政治介入と番組改変の関係です。判決はNHK幹部が国会議員と接触し、議員から「番組は公正に」と言われ、それを「必要以上に重く受け止め、その意図を忖度(そんたく)して、当たり障りのないような番組にすることを考え」て修正を繰り返したとしています。改変と政治家との面会は「無関係」としてきたNHKの主張は退けました。NHKは即日、上告しました。

 判決は、NHK幹部が試写を繰り返し、番組の修正に乗り出したことをあげ、「制作に携わる者の制作方針を離れた形で編集がなされていった」と指摘。その結果、放送当日になって日本軍兵士と元慰安婦女性二人の証言が削られました。

 そこに至る背景として、判決は右翼団体からの抗議やNHK予算の国会審議を控えていたことからNHK幹部が「国会議員等との接触を図った」と述べています。

 二〇〇四年の一審判決では制作会社だけが責任を問われ、NHKについては原告の請求を棄却しました。控訴審は、〇五年一月に結審の予定でしたが、NHKの長井暁デスク(放送当時)が政治介入を内部告発したことで、審理は延長。裁判の中で、NHK幹部と会って「公正に」と注文したのは、安倍晋三官房副長官(当時)だったことが明らかになりました。

 判決を受け、弁護団長の飯田正剛弁護士は、「主張がほぼ全面的に認められた。政治家の圧力とは言っていませんが、NHKにジャーナリストとしての自律した行動を求めたことの意味は大きい」と述べました。

2007年1月30日(火)「しんぶん赤旗」

NHK番組改変認定 東京高裁判決
現場の編集権の尊重求める

 政治介入について、どこまで言及するか。これが最大の注目点でした。判決が出された一月二十九日は、くしくも六年前、NHK幹部が首相官邸に向かい、安倍晋三官房副長官(当時)に面会した日。判決は「政治家が一般論としてのべた以上に…具体的な話や示唆をしたことまでは、認めるに足りない」と直接的介入は認定しませんでした。しかし、安倍氏の言動が大きく影響していることを認めました。NHK上層部が政治からいかに自立できていないかを示したものといえます。

 判決は政治家の発言を「忖度(そんたく)して…その結果、そのような形へすべく本件番組について直接指示、修正を繰り返して改編が行なわれたものと認められる」とNHKの「自律的改編」という主張は否定したのです。NHKは、昨年三月の新ガイドラインに自主自律の堅持を明記しました。ほんとうに自主自律というならこの判決の結果を重く受け止めるべきです。

 また判決は、現場の意向を無視した上層部の編集権の行使の乱用は認められないとしています。現場での編集は「よりよい番組を作ろうとした純粋な姿勢に基づくものと評価され、この段階における編集の自由は尊重されるべきである」と現場での編集権を重んじた内容になっています。この点でも画期的でした。(板倉三枝)

2007年1月30日(火)「しんぶん赤旗」

NHK番組改変
東京高裁の判決(要旨)

 NHKの番組改変をめぐる訴訟で、東京高裁が29日に出した判決の要旨は次の通り。

第1〈主文〉

1、①被告NHKは原告バウネットに対し、200万円を支払え

 ②被告NHKエンタープライズ21(NEP)及び被告制作会社ドキュメンタリージャパン(DJ)は、原告バウネットに対し、各自100万円を支払え。

第2〈事案の概要〉

 原告バウネットが中心になって慰安婦問題を裁く国際的な民衆法廷を開催し、NHKがETV2001シリーズ「戦争をどう裁くか~問われる戦時性暴力」として放送したが、バウネットはNHKらの取材申し込みやその後の経過により、法廷の内容をつぶさに紹介する趣旨の放送がされると信頼(期待)を抱いた。

 にもかかわらず被告らが当初説明した番組の言動等により趣旨とは異なる番組を制作・編集・放送して、原告らの信頼、法的に保護された利益を侵害する共同不作為行為とし、損害賠償金を請求した。政治家または、右翼団体等の外部からの干渉により不法行為又は債務不履行を根拠に、損害賠償金の支払いを求めた。

前提事実(略)

第3〈判断の要旨〉

1、①番組NHKがNEPとDJと共同制作としてNHKが放送した

 ②番組制作者の編集の自由と、取材対象者が取材に応ずるか否かの自己決定権の関係は、取材対象者が期待を抱く事情が認められるときは、番組対象者の編集の自由もそれに応じて一定の制約を受け、取材対象者の番組内容に対する期待と信頼が保護されるべきである。期待と信頼を侵害する行為は、法的利益の違法な侵害として不法行為となると解するのが相当である

 ③番組は、いわゆるドキュメンタリー番組ないしそれに準ずるような内容の番組となるとの認識に達して期待と信頼を被告らが抱いたことが認められる。

2、①ドキュメンタリー番組ないしそれに準ずるような内容の番組とは、相当程度乖離(かいり)したものとなっていると認められる

 ②平成13年1月24日のNHK教養番組部長試写の段階の番組内容は、原告らの期待と信頼を維持するものになっていた。

 同年1月26日に普段、番組制作に立ち会うことが予定されていない放送総局長の松尾、国会担当である総合企画室担当局長の野島が立ち会って試写が行われ、意見が反映された形で1回目、の修正が行われた。

 番組放送前にもかかわらず、右翼団体等からの抗議等多方面からの関心が寄せられてNHKは敏感になっていた。予算につき国会での承認を得るために各方面への説明をする時期と重なり、NHKの予算担当者及び幹部は神経を尖(とが)らせていた。

 番組が予算編成等に影響を与えることがないようにしたいとの思惑から、説明のために松尾と野島が国会議員等との接触を図り、その際、相手方から番組作りは公正・中立であるようにとの発言がなされたというものであり、この時期や発言内容に照らすと、松尾と野島がを相手方の発言を必要以上に重く受け止め、その意図を付度(そんたく)してできるだけ当たり障りのないような番組にすることを考えて試写に臨み、その結果、直接指示、修正を繰り返して改編が行われた。

 NHKの同月26日以降の編集(改編行為)は、当初の本件番組の趣旨とはそぐわない意図からなされた編集行為である。

3、放送番組の制作者や取材者は、番組の内容やその変更などについて、説明する旨の約束がある等、特段の事情があるときに限り、説明する法的義務を負うと解するのが相当である。被告らが説明義務を果たさなかった結果、その法的利益を侵害されたものというべきである。

4、NHKは、原告らに対して、期待と信頼を侵害したことによる不法行為責任を負う。NHKは、1月24日以降、次々と番組を改編し、説明義務を怠ったことによる不法行為責任も負う。NHKはDJ及びNEPを排除し、番組制作担当者の制作方針を離れてまで、国会議員等の意図を忖度して当たり障りのないように番組を改編したのであるからその責任は重大であることは明らかである。

「NHKが番組改変」 200万円賠償命じる 東京高裁(asahi.com)
2007年01月29日20時42分
 旧日本軍による性暴力をめぐるNHKの番組が放送直前に改変されたとして、取材を受けた市民団体がNHKなどに総額4000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。南敏文裁判長は「制作に携わる者の方針を離れて、国会議員などの発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度(そんたく)し、当たり障りのないよう番組を改変した」と指摘。「憲法で保障された編集の権限を乱用または逸脱した」と述べ、NHKに200万円の支払いを命じた。NHK側は同日、上告した。

 判決は、そのうち100万円について下請け制作の「NHKエンタープライズ21」(当時)と孫請けで取材にあたった「ドキュメンタリージャパン」(DJ)にも賠償責任があるとした。NHKに編集の自由を認め、DJのみに100万円の賠償支払いを命じた一審・東京地裁判決を変更。NHKにも改変行為と、その内容を説明する義務を怠ったことに不法行為責任があると認めた。

 訴えていたのは「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」(バウネットジャパン)。旧日本軍の性暴力を民間人が裁く「女性国際戦犯法廷」を00年12月に共催した。NHK教育テレビで01年1月30日に放送された「ETV2001 問われる戦時性暴力」が「法廷」を取り上げた。

 訴訟では、取材を受ける側に番組内容に対する「期待権」が認められるかどうかが大きな争点だった。南裁判長はまず、「取材者の言動などにより期待を抱くやむを得ない特段の事情がある場合、編集の自由は一定の制約を受け、取材対象者の番組内容に対する期待と信頼は法的保護に値する」と、一審判決と同様の一般判断を示した。

 その上で、DJが本来は取材対象者には示さない「番組提案票」を示した点などを重視。提案票には「女性国際戦犯法廷の過程をつぶさに追い、戦時性暴力が世界の専門家によってどのように裁かれるのかを見届ける」などと記載されていたことから、バウネット側が、「法廷」をつぶさに追うドキュメンタリー番組になると期待してもやむを得ない特段の事情があったと認めた。

 さらに、判決は、01年1月26日に松尾武・放送総局長(当時)と野島直樹・総合企画室担当局長(同)が立ち会った試写後の内容変更について、「当初の趣旨とそぐわない意図からなされた編集行為で、原告の期待と信頼を侵害した」と違法性を認めた。

 また、放送直前の同月29日に松尾氏らと面会した安倍晋三官房副長官(当時)が「公正・中立の立場で報道すべきではないか」と発言したことなどを受け、「その意図を忖度して指示、修正が繰り返された」とした。

 ただ、政治家が直接に指示や介入したとの原告側の主張については、「政治家が一般論として述べた以上に本件番組に関して具体的な話や示唆をしたことまでは、認めるに足りる証拠はない」とした。

 NHK広報局の話 判決は不当であり、極めて遺憾だ。番組趣旨の説明やその後の取材活動を通じて、相手側に番組内容に対する期待権が生じるとしたが、番組編集の自由を極度に制約するもので、到底受け入れられない。また、判決は、政治的圧力は認められなかったとしているが、NHKが編集の権限を乱用・逸脱した、国会議員等の意図を忖度して編集したと一方的に断じている。NHKは放送の直前まで、放送法の趣旨にのっとり、政治的に公平であることや、意見が対立している問題についてできるだけ多くの論点を明らかにするために、公正な立場で編集を行ったもので、裁判所の判断は不当であり、到底承服することはできない。

 〈キーワード:期待権〉将来、一定の法律上の利益を受けられることを希望したり期待したりできる権利。侵害すれば不法行為となるが、どの程度法的保護の対象になるかは、期待権の内容や事案による。医療過誤訴訟では、患者が期待した適切な治療を怠った場合に「救命期待権」の侵害が認められ得る。再雇用の期待を抱かせる説明をした雇用主が契約更新をしなかった際、「更新期待権」を侵害したとして賠償を命じられた例もある。

NHK番組改変訴訟 判決理由の要旨(asahi.com)
2007年01月29日20時47分
 東京高裁が「NHK番組改変訴訟」控訴審で29日、言い渡した判決理由の要旨は次の通り。

 【国会議員等との接触等】01年1月25~26日ころ、担当者らは自民党の複数の国会議員を訪れた際、女性法廷を特集した番組を作るという話を聞いたがどうなっているのかという質問を受け、その説明をするようにとの示唆を与えられた。

 26日ごろ、NHKの担当部長が安倍官房副長官(当時)と面談の約束を取り付け、29日、松尾武放送総局長らが面会。安倍氏は、いわゆる従軍慰安婦問題について持論を展開した後、NHKが求められている公正中立の立場で報道すべきではないかと指摘した。

 【バウネットなどの本件番組についての期待と信頼】一般に、放送事業者が番組を制作して放送する場合、取材で得られた素材を編集して番組を制作する編集の自由は取材の自由、報道の自由の帰結としても憲法上も保障されなければならない。これが放送法3条の趣旨にも沿うところで、取材過程を通じて取材対象者が何らかの期待を抱いても、それによって番組の編集、制作が不当に制限されてはならない。

 他方、取材対象者が取材に応ずるか否かは自由な意思に委ねられ、取材結果がどのように編集・使用されるかは、取材に応ずるか否かの決定の要因となり得る。特にニュース番組とは異なり、本件のようなドキュメンタリー番組または教養番組では、取材対象となった事実がどの範囲でどのように取り上げられるか、取材対象者の意見や活動がどのように反映されるかは取材される者の重大関心事だ。番組制作者の編集の自由と、取材対象者の自己決定権の関係は、取材者と取材対象者の関係を全体的に考慮して、取材者の言動などにより取材対象者が期待を抱くのもやむを得ない特段の事情が認められるときは、編集の自由も一定の制約を受け、取材対象者の番組内容に対する期待と信頼が法的に保護されるべきだ。

 ドキュメンタリージャパン(DJ)の担当者の提案票の写しを交付して説明した行為、バウネットの協力などにかんがみれば、バウネット側が、番組は女性法廷を中心的に紹介し、法廷の冒頭から判決までを概観できるドキュメンタリー番組かそれに準ずるような内容となるとの期待と信頼を抱いたと認められる。

 【バウネット側の期待と信頼に対する侵害行為】放送された番組は加害兵士の証言、判決の説明などが削除されたため、女性法廷の主催者、趣旨などを認識できず、素材として扱われているにすぎないと認められ、ドキュメンタリー番組などとは相当乖離(かいり)している。バウネット側の期待と信頼に反するものだった。

 01年1月24日の段階の番組内容は、バウネット側の期待と信頼を維持するものとなっていた。

 しかし、同月26日に普段番組制作に立ち会うことが予想されていない松尾総局長、野島直樹国会担当局長が立ち会って試写が行われ、その意見が反映された形で1回目の修正がされたこと、番組放送当日になって松尾総局長から3分に相当する部分の削除が指示され40分版の番組を完成されたことなどを考慮すると、同月26日以降、番組は制作に携わる者の制作方針を離れた形で編集されていったと認められる。

 そのような経緯をたどった理由を検討する。本件番組に対して、番組放送前にもかかわらず、右翼団体などからの抗議など多方面からの関心が寄せられてNHKとしては敏感になっていた。折しもNHKの予算につき国会での承認を得るために各方面への説明を必要とする時期と重なり、NHKの予算担当者や幹部は神経をとがらせていたところ、番組が予算編成などに影響を与えることがないようにしたいとの思惑から、説明のために松尾総局長や野島局長が国会議員などとの接触を図った。その際、相手方から番組作りは公正・中立であるようにとの発言がなされたというもので、時期や発言内容に照らすと松尾総局長らが相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図を忖度(そんたく)してできるだけ当たり障りのないような番組にすることを考えて試写に臨み、直接指示、修正を繰り返して改編が行われたものと認められる。

 なお、原告らは政治家などが番組に対して指示をし介入したと主張するが、面談の際、政治家が一般論として述べた以上に番組に関して具体的な話や示唆をしたことまでは、証人らの証言によっても認めるに足りない。

 バウネット側は、中川昭一議員が事前にNHKに対し放送中止を求めたと主張し、同議員はフジテレビ番組でアナウンサーの質問に対し、放送法に基づき公正に行うべきことをNHKに申し入れたと発言するなど、事前のNHK担当者との接触をうかがわせる発言をしている。しかし、同議員はこのインタビューでは01年2月2日に会ったことを明言しており、同議員が番組放送前にNHK担当者に番組について意見を述べたことを認めることは困難だ。

 【説明義務違反】放送番組の制作者や取材者は、番組内容や変更などについて説明する旨の約束があるなど特段の事情があるときに限り、説明する法的な義務を負う。本件では、NHKは憲法で保障された編集の権限を乱用または逸脱して変更を行ったもので、自主性、独立性を内容とする編集権を自ら放棄したものに等しく、原告らに対する説明義務を認めてもNHKの報道の自由を侵害したことにはならない。

 バウネットには番組の内容について期待と信頼が生じた。被告らはそのことを認識していたのだから、特段の事情がある。

 番組改編の結果、当初の説明とは相当かけ離れた内容となった。バウネットはこの点の説明を受けていれば、被告らに対し番組から離脱することや善処を申し入れたり、ほかの報道機関などに実情を説明して対抗的な報道を求めたりすることができた。

    ◇

 朝日新聞はNHK番組改変問題の報道で「改変」と表記していますが、判決理由要旨では判決文の表記に従って「改編」を使用しました。

首相「政治介入ないこと明確に」 中川氏「私は被害者」(asahi.com)
2007年01月29日21時31分
 安倍首相は29日、東京高裁がNHKに賠償を命じる判決を出したことについて、首相官邸で記者団に対し、「この判決ではっきりしたんじゃないですか。政治家が介入していないことが、極めて明確になったと思います」と強調した。

 また「番組放送前に政治家が番組担当者と会うことは適切か」との質問には「向こう(NHK)側が会いたいと言って来て、それで最初から会う、会わないなんていうことは言えないじゃないですか」と語った。

 さらに首相は「当然、報道の自由という観点から、政治家は常にそのことを頭に入れておかなければいけないと思います。しかし私が(NHKに)圧力をかけたということについて、間違ったことを間違ったと認めるのが、私は報道機関ではないかなと思います」と述べた。首相が官房副長官当時に「放送前日にNHK幹部を呼んで内容の偏りを指摘した」などとした朝日新聞の報道を批判したものだ。

     ◇

 自民党の中川昭一政調会長は29日、判決について、「あの番組やあの(女性国際戦犯法廷の)活動自体には、興味は全くない」としたうえで、「あたかも私が番組に圧力をかけたかのように朝日新聞などから非難され、私は証拠をもって『放送前にNHK関係者とは一切会っていない。従って、話し合いも圧力のかけようもない』と(主張してきた)。これははっきりしてもらわないと」と語った。国会内で、記者団の質問に答えた。

 中川氏はさらに、「朝日新聞は依然として我々の面会要求に応えておらず、うやむやにされているのは大変心外だ。私は事実無根の報道で、大変迷惑している被害者だ」と強調した。

表現の自由への危うさはらむ「期待権」 NHK訴訟判決(asahi.com)
2007年01月29日22時58分
 「期待権」という耳慣れない権利が、29日のNHK訴訟の控訴審判決で認められた。「特段の事情が認められるときは取材対象者の期待と信頼は法的に保護される」と。表現の自由を制限しかねない期待権が、取材のあり方や制作現場へ影響を与えるのかどうか。

 期待権を条件つきで認めた判決の評価は、原告と被告で対照的だ。

 被告側のNHKは「番組編集の自由を極度に制約する」、NHKエンタープライズは「表現の自由を制約する」、ドキュメンタリージャパンも「取材の自由を脅かす」と批判した。

 一方、原告側の飯田正剛弁護士は「取材行為に法が入り込むのは確かに危なっかしい」と認めた。しかし、「期待権が認められる『特段の事情』について、バランスをとって要件を述べている。期待権を政治家や官僚らが悪用できない形で法的救済が図られてよかった」と高く評価した。

 マスコミ問題に詳しい識者らは、「メディアが萎縮(いしゅく)する必要はない」という姿勢で一致する。

 右崎正博・独協大法科大学院教授(憲法)は「期待権を認めたのは妥当」ととらえる。「メディアは、当初伝えた趣旨に変更があった場合には取材相手に知らせ、再取材するなどの対応が求められていることを認識すべきだ」。ただ、「取材対象が政治家などの公人の場合は免責される部分も多いだろうし、取材相手の期待が過度な場合もある。個別に判断すべきだ」と述べた。

 また、元NHKプロデューサーの津田正夫・立命館大教授(市民メディア論)は「市民感覚から言えば、期待権は当然ある」と冷静に受け止める。「普通の市民は政治家やジャーナリストと違って公に発言する機会は少ないので、取材される側として説明を求めたり内容に期待したりするのは当然の防衛策だ。だからといって期待権がいつでも発生するとなると、政治家などに悪用される恐れもある」と危険な側面も指摘した。

 川上和久・明治学院大教授(政治心理学)も、今回期待権が認められたのは、公共放送だからこそ取材する素材には慎重になるべきだ、と裁判所が警鐘を鳴らした特殊なケース、とみる。「疑惑について取材を受けた企業などから、『自分たちの言い分通りに編集しろ』と言われるような問題に波及してしまうと、言論の自由を脅かす恐れがある」と話した。

「政治への自己規制」認定 NHK番組改変訴訟(asahi.com)
2007年01月30日03時02分
 「国会議員の意図を忖度(そんたく)して当たり障りのないよう修正した」。東京高裁で29日に言い渡されたNHK番組改変訴訟の控訴審判決は、NHK幹部の政治家に対する過剰反応ぶりを明確に言い切った。政治に対する放送局の「自己規制」が裁判所に認定されたのは初めてとみられ、局内には衝撃が広がった。

 「NHKが否定してきたにもかかわらず、政治家に弱いと認定されたのは、相当厳しい」

 あるNHK幹部は、判決を深刻に受け止める。

 「視聴者からの信頼を損ないかねない」

 判決は、放送前日の01年1月29日、安倍晋三官房副長官(当時)と面会した国会担当幹部が番組の試写で、プロデューサーに踏み込んだ改変を指示した、と指摘。番組制作局長が「自民党は甘くなかった」と発言したことも認めた。

 さらに、通常では知り得ない番組出演者の発言削除部分などを、政治家と関係する関係団体が把握していたことを認定。NHKから情報がいち早く提供されていた、と述べている。

 ある報道局プロデューサーは「訴訟になった番組は、他の番組と比べて政治家とのかかわりが極めて突出したケースだった」と、敗訴を当然と受け止めた。「当時、局内に閉塞(へいそく)感があったのは確かで、(国会担当幹部の)関与はあってもおかしくないと思っていた」

 改変された番組にコメンテーターとして出演していた高橋哲哉・東大教授は、「政治家の発言に過剰反応した幹部が、制作現場に圧力を加えたことを認めている。おおむね妥当な判決だ」と評価した。その上で「判決は自主規制について厳しく批判している。NHKは深刻に受け止めて反省すべきだ」と話した。

 一方で、番組改変への政治家の介入は、判決では「認めるに足りない」とされた。高橋教授は「政治家から『公正・中立にやれ』と言われれば圧力になることを理解しておらず、腰が引けている。判決は、何が圧力になりうるのかを示すべきだった」と話した。

« 「格差論議」を封じ込めたい安倍首相の矛盾・破綻 | トップページ | 胡錦濤国家主席、2年連続のアフリカ歴訪 »

司法4(戦争-従軍慰安婦)」カテゴリの記事

政治1(日本11-日本の侵略戦争-従軍慰安婦)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/190737/13719210

この記事へのトラックバック一覧です: 第2・「従軍慰安婦」番組訴訟の東京高裁判決(南敏文裁判長):

« 「格差論議」を封じ込めたい安倍首相の矛盾・破綻 | トップページ | 胡錦濤国家主席、2年連続のアフリカ歴訪 »

最近の記事

カテゴリー

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のコメント

興味のあるHP・Blog

無料ブログはココログ