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2006年10月18日 (水)

周辺事態法の適用は、北朝鮮制裁決議1718違反(追加)

 麻生太郎外相や中川昭一自民党政調会長は、15日のテレビ番組で、国連安保理の北朝鮮制裁決議1718の採択を受け、アメリカ軍が北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査を実施する場合、周辺事態法を適用して対応すべきだとの考えを示しました。

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 周辺事態法は1999年5月に成立した法律で、同法にいう「周辺事態」の場合に、アメリカ軍と日本の自衛隊が海外で軍事的な共同行動を行うことを定めたものであり、アメリカ軍が実際の戦闘行為をやり、自衛隊が兵站(へいたん)支援をするという仕組みを定めたものです。

 日米安保条約を超えた、アメリカ軍と自衛隊の海外での共同軍事行動を定めたものであるので、当然憲法9条に反する法律であり、当時の国会でも紛糾した代物です。

 そのうち、同法1条に「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)」と定めてあるこの「周辺事態」とは何かは、大きな論点となり、政府はその審議の中で、1999年4月に6つの類型を例示する統一見解を示しました。

 その6つの類型は、この1条の文言の前半部分である「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」の部分を、切り口を変えて言い換えたものであり、

 (1)その6つの類型に該当し、しかも

 (2)「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれ」ある場合で、かつ

 (3)「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」と言える場合に、初めて「周辺事態」に当たると説明されました。

 この6つの類型の中の6番目として、「ある国の行動が、国連安保理によって平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為と決定され、その国が国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような場合」という類型が示されていました。

 麻生外相らは、今回の北朝鮮制裁決議は、この類型に当たるというのです。

 しかし、まず第1に、当時の政府の説明でも、この類型に形式的に該当すれば(つまり要件の(1)を満たせば)直ちに周辺事態となるのではなく、条文の文言の前半にあるように「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれ」があると言えるような場合でなければならないとされていました(要件の(2)がない)。

 第2に、上述したように、仮にそうであっても、さらに条文の文言の後半にあるように「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」とさらに言えなければ、「周辺事態」とは言えないとされていたのです(要件の(3)がない)。

 要するに、今回の事態は、当時の政府説明からしても「周辺事態」ではないと言わざるをえないのです。

 しかし、さらに重要な問題があります。

 上で述べたように、そもそも周辺事態法は、アメリカ軍と自衛隊の海外での共同軍事行動を定めたものです。

 他方、今回の決議1718は、国連憲章第7章41条に基づく「兵力の使用を伴わない措置」をとることを決め、北朝鮮の核問題の平和的・外交的解決を図ることを決めたものです。

 しかも、さらに、決議1718の第13項では、「朝鮮半島の検証可能な非核化を達成し朝鮮半島および北東アジアの平和と安定を維持するために、2005年9月19日に中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国により発表された共同声明の速やかな履行をめざして、外交努力を強め、緊張を激化させる可能性があるいかなる行動も慎み、および六カ国協議の早期再開を促進するすべての関係諸国による取り組みを歓迎し、さらに奨励する」とまで決議されているのです。

 このような「兵力の使用を伴わない措置」をとることを決めた決議の履行のために、日米の共同軍事行動を定めた法律を適用することは、ためにするものであって、真剣に決議を履行しようとするものではないのはもちろん、真正面から決議に違反する行動であることは疑問の余地のないことです。

 日本政府は、国際社会の一致した意志として示された決議1718をまじめに実行すべきであって、自分たちの政略ないしイデオロギーの実現のために利用して、これ以上の軍事的緊張を高めるようなことをすべきではありません。

 なお、決議1718等の国連安保理決議は、以下のページにあります。

   http://www.un.org/Docs/sc/unsc_resolutions06.htm

 また、決議1718の全文の日本語訳(しんぶん赤旗17日付)は、以下のページにあります。

   http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-10-17/2006101704_04_0.html

 さらに、良い国作ろう鎌倉幕府さんの以下の記事にもトラックバックを送りました(2006/10/20 00:56)。

   日本核武装論の波紋

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